日本初のvCloud Datacenter Services認定プロバイダに
ソフトバンクテレコム、ヴイエムウェアと提携でハイブリッドクラウド提供へ
2011/02/23
ヴイエムウェアとソフトバンクテレコムは2月22日、クラウドサービスにおける提携を発表した。ソフトバンクテレコムはヴイエムウェアの製品を全面的に採用したハイブリッドクラウドサービスを、7月に提供開始する。これに先立ち3月から、佐川急便グループのIT企業であるSGシステム、野村證券、および金融機関1社が、早期検証プログラムに参加するという。ソフトバンクテレコムは、「ホワイトクラウド」の次世代商品として、このサービスを位置付けている。
ソフトバンクテレコムは、世界で7番目、日本初の「VMware vCloud Datacenter Services」認定サービスプロバイダとなる。日本で今後、同様のサービスプロバイダが今後増える可能性はあるが、ヴイエムウェアの日本法人はvCloud Datacenter Servicesに関しては当面、ソフトバンクテレコムの支援に集中するという。
ポイントは、vCloud Datacenter Servicesが、VMware vSphereを採用したほかのIaaSとどう違うのかということだ。vSphereを採用したIaaS業者は国内外に多数存在する。ヴイエムウェアが昨年発表した、マルチテナントクラウド構築・運用支援ツールである「VMware vCloud Director」を採用したIaaSサービスも、CTCなどがすでに発表している。これらとの違いは何か。
vCloud Datacenter Services認定を受けるには、ヴイエムウェアが提示している参照アーキテクチャを全面的に採用する必要がある。そのなかにはvCloud Directorはもちろんのこと、セキュリティの「vCenter vShield」製品群、課金管理ツールの「VMware vCenter Chargeback」、その他パフォーマンス/SLA監視・管理ツールなどの製品を導入し、統合的に活用する必要がある。vCloud Datacenter Services提供プロバイダは、自社のデータセンターにおけるvSphereインフラ全体から、リソースプール(仮想マシン群)を顧客単位で切り出して提供することができる。vSphereをハイパーバイザとして利用しただけのIaaSあるいは仮想サーバホスティングでは、同一の物理サーバ上で稼働する、ほかのユーザーの仮想マシンの負荷によって影響を受ける可能性が生じる。しかし、vCloud Datacenter Servicesでは、同一物理サーバ上に複数のユーザー企業の仮想マシンが混在する場合でも、ユーザー企業単位でパフォーマンスを制御できる。セキュリティ的な分割も、ユーザー企業単位で行える。まとめていえば、クラウドサービス事業者は、自社のデータセンターで大規模な共用のサーバ仮想化環境を構築・運用し、スケールメリットを出しながらも、これを顧客単位に分割して、各顧客に対し、「仮想専用データセンター」として提供できる(顧客ごとに別個の物理サーバ群を提供する運用も可能)。
ユーザー企業側にもvCloud Directorを導入することで、企業のITインフラ運用担当者は、自社内のVMware vSphereをベースとしたITインフラと、vCloud Datacenter Services提供プロバイダの環境上に構築した自社のためのリソースプール(仮想マシン群)を組み合わせ、あたかも統合された1つのデータセンターであるかのように管理できる。そのうえで、企業は個々の業務システム(仮想マシン群)につき、社内で運用するか、クラウドサービスに移すかを判断できる。これがヴイエムウェアの提唱するハイブリッド・クラウドだ。
ヴイエムウェアは、ソフトバンクテレコムを国内初の「VMware vCloud Datacenter Services」認定サービスプロバイダに選んだ理由について、共通のビジョンを持っていること、国内で信頼されているブランドであること、スピード感があることを挙げている。企業が自社の業務システムの一部についてIaaSの利用を検討するきっかけをつくるという点で、ソフトバンクテレコムの営業力にも期待しているようだ。
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