将来は異機種混合を目指す
イージェネラの高可用性技術をHPサーバにも適用
2011/04/26
物理/仮想のサーバOS/アプリケーションをハードウェアから分離することで、高可用性サーバファームを実現する製品を提供しているイージェネラが、HPのブレードサーバに対応した製品を5月2日に販売開始すると発表した。
イージェネラは、当初自社の提供するx86サーバ「BladeFrame」で、I/Oを仮想化し、アプリケーションを稼働中のサーバブレードが故障しても、即座に予備のブレードが処理を引き継げる仕組みを提供した。同社の管理ツールでは、この引き継ぎ関係を管理。遠隔拠点間でも、ストレージの機能によりデータを複製しておけば、アプリケーションの稼働を引き継ぐ仕組みを作れる。例えば1カ所のバックアップデータセンターに置いたブレードサーバに対し、複数の企業や組織から立ち上げ直すことが可能。
その後イージェネラはこの仕組みを、他社のサーバ・ハードウェアに適用できるようにするという戦略を発表。デル、富士通のブレードサーバに、同社のI/O仮想化/ブレード管理製品「PAN Manager」を組み合わせて使えるようにした。これらに続き、今回は、HPのBlade System c-Classに対応した「PAN Manager 7.0 for HP c-Class」を発表した。
PAN Manager 7は、これまでのデルや富士通への対応と異なる。HP Blade System c-Classに備わっているI/O仮想化機能「HPバーチャルコネクト」をそのまま生かすようになっているからだ。つまり、I/O仮想化とブレード管理機能を分離し、I/O仮想化については他社の仕組みを使えるようになった。「これで、各社のサーバの良さを生かせるようになった」とイージェネラ代表取締役社長の大木稔氏は話す。
今回のリリースでは、1筐(きょう)体のみをサポートするなどの制限がある。しかし8月にリリース予定のPAN Manager 7.1 for HP c-Classでは、最大4筐体64ブレードに適用できるようになり、遠隔拠点間のディザスタリカバリにも対応する予定。さらに12月には数百のブレードを集中管理できる「PAN Domain Manager for HP-PAN」を提供の予定という。
今回の発表で、PAN Managerが対応するサーバベンダは増えた。しかし、現在の段階では、異なるベンダのサーバにまたがって、フェイルオーバやディザスタリカバリができない。イージェネラは今後1、2年の間に、同社のBladeFrameや、デル、富士通に対応したPAN ManagerをPAN Manager 7に移行、これに基づいて異なるベンダのハードウェアを混在させながら単一の高可用性サーバファームとして管理できるようにしていく。デル、富士通、HP以外のサーバへの対応も計画。必要に応じて、サードパーティのI/O仮想化製品も活用していくという。同社はさらに、IaaSサービスをこのサーバファームに組み込めるようにしていく構想も持っている。
日本HPは新製品を、同社のインテグレーション案件で活用していきたいという。日本HPにはすでに、PAN Managerに関する問い合わせが顧客から来ているという。大規模なサーバファームなどで、複数社のサーバを採用することが要件になるケースでは、他社のサーバと一括管理できることがHPにとってもメリットになると同社は話している。
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