ストレージ装置にサーバ機能の実装も
米EMCはサーバ用PCIeフラッシュを開発中
2011/05/10
米EMCは、サーバ機に内蔵するPCIeカード型のフラッシュストレージ製品を開発中だ。また将来、同社のストレージにサーバ機能を組み込む計画もある。同社が米国ネバダ州ラスベガスで開催中のEMC Worldにおける5月9日の基調講演で、情報インフラストラクチャ製品部門プレジデント兼COOのパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏が明らかにした。
PCIeカード型のサーバ用フラッシュストレージといえば、Fusion-ioの「ioDrive」がよく知られているが、米EMCはこれと競合するような製品を今年中に提供開始するという。
Fusion-ioは、ネットワーク経由でアクセスするストレージや、サーバ機に内蔵のハードディスクのスピードでは対応しきれない高速データ処理向けに、サーバ機内蔵のフラッシュメモリカードを提供している。EMCも同様なニーズへの対応を考えているようだ。
ゲルシンガー氏はこのサーバ・フラッシュ提供計画を「Project Lightning」と呼び、その概要を紹介した。「Lightningカード」はサーバ内蔵のキャッシュとして動作する。EMCらしいのは、同社がストレージ機器に組み込んでいるデータの自動階層化管理機能「FAST VP」に対応することだ。これにより、利用頻度の高いデータを自動的にサーバ・フラッシュ上に配置することができ、利用頻度がより低いデータはストレージのフラッシュやハードディスクドライブに移動される。また、ネットワークストレージと複数のサーバ上のサーバ・フラッシュが連動する分散キャッシュ機能も搭載するという。
ゲルシンガー氏はさらに、製品化時期は未定ながら、ストレージ装置にサーバ機能を組み込む計画があることを明らかにした。同氏はLightningカードを装着したサーバと、Isilonストレージに直結のサーバの双方でVMware vSphereを動かし、仮想マシンの動作状況監視結果に基づいてこれをvMotionによって移動するデモを見せた。
「アプリケーションによっては少量のデータを対象に大量の処理を行うものがある。また、大量のデータを対象とした少量の処理をするアプリケーションもある。ストレージを内蔵したサーバと、サーバを組み込んだストレージの間で、仮想化基盤を通じてアプリケーションを柔軟に移動できるようにしたい。われわれは基本的に、こうしたことをやろうとしている」(ゲルシンガー氏)
IsilonをはじめとするEMCのストレージ装置は、基本的にハードウェアとしてx86 CPUを搭載したコンピュータを使っている。従って、ストレージ装置に直結したサーバ機を提供すること自体は、非常に容易な作業だ。
ではこれは、EMCがサーバ・ハードウェアのビジネスにも参入することを象徴する動きなのか。ゲルシンガー氏は、プレス向けのQ&Aセッションで、すでにGreenplumのアプライアンスを提供していることは、サーバを販売していることを意味すると認めながらも、あくまでも特定用途向けに限った話であり、汎用サーバを販売するつもりはないと答えた。
なお、EMCはストレージ製品用フラッシュメモリにつき、現在のSLC型に加えて、今年中に、MLC型も提供開始すると発表した。MLC型の提供により、より低コストに大容量のフラッシュメモリが利用できることになる。
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