時間課金でデータベースアプライアンスを利用可能
ホワイトクラウドのExadataサービスは「不満」が発端
2011/05/19
ソフトバンクテレコムは今年夏に、クラウドサービス「ホワイトクラウド」で「Oracle Exadata」をベースとしたPaaSサービスを提供開始する。秋には「Oracle Exalogic」のサービスも提供開始の予定だ。Oracle Databaseを利用できるクラウドサービスはあるが、Exadata、Exalogicのクラウドサービスは世界初。同社が日本オラクルと共同で、5月18日に発表した。
ソフトウェアとハードウェアが統合されたアプライアンスであるExadataやExalogicは、購入すると保守費を含めて1台当たり億単位の支出が必要。CPUコアも24コア単位で購入しなければならない。これを1CPUコアから、必要なコア数だけ借りられるのが今回のサービス「ホワイトクラウド エンタープライズ PaaS Powered by Oracle」。
初期費用はなく、時間課金。契約期間の縛りもない。1カ月の間に利用コア数が変動しても、時間単位で使っただけの料金を払えばいい。Exadataのサービスの料金は、1コア当たり1時間2980円(メモリ8GB、ディスク50GB)からだと、ソフトバンクテレコム取締役専務執行役員兼CISOの阿多親市氏は説明した。同サービスは、ソフトバンクテレコムのデータセンターの堅牢さ、オラクル資格取得者による手厚いサポートも特色としている。
新サービスは、ソフトバンクモバイルのCDR(通話記録)に基づく課金処理で、同社がExadataを国内顧客第1号として導入したことから来ているという。それまでのシステムはスピードが遅く、阿多氏らは処理量の増加に耐えられなくなると判断、2008年にExadataの導入を決定した。その結果、処理スピードはチューニングの効果もあって8倍になり、開発・運用は社内でスペシャリストを養成して外部企業への委託を減らしたことで、運用コストは半減できたという。
しかし阿多氏は、Exadataを含めて一般的なIT製品の購買・利用形態に不満を感じていた。「情報システム提供部門として何に一番頭を悩ませてきたかというと、予算と、本当に思ったとおり動くかどうかだ」。クラウド時代になっても、アプリケーションを動かすまでのリスクは導入側にある。「まず導入してくださいといわれ、セットアップするまでには数カ月掛かる。まだ動いてもいないのに、支払いと保守費用は発生する。動いてからにしてくれ、Software as a Serviceではなかったのか。ユーザーは簡単に始めたい、すぐに始めたい、だめだったらすぐにやめたい。何億も投資していたら、やめられない。すぐに使ってだめならすぐにやめたい。すぐに使ってよければ一気に広げたい。それがクラウドのはずではなかったのか。どちらがリスクをテイクするのか」。
こうしたオラクルとの話し合いが、「ホワイトクラウド エンタープライズ PaaS Powered by Oracle」の提供につながったという。例えばExadataの導入を検討している企業が、導入効果を確かめる目的で、このサービスを使うことができる。すでに社内で運用しているデータベースについても、Oracle Database 11gであれば簡単に新サービス上に移行し、動かしてみることができる。阿多氏が代表取締役社長を務めるソフトバンクグループのITソリューション企業「PSソリューションズ」に、社内システムをサポートしてきたオラクル資格取得者が多数在籍しており、これらスタッフが新サービスにおいても「きっちりしたサポート」(阿多氏)を提供するという。
なお、新サービスにおけるデータベースへのアクセス方法は、企業内で使う場合と変わらない。ユーザー企業とホワイトクラウドとの間でVPNや専用線を別途設定して、通信セキュリテイを担保することになる。
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