バックアップソフトAvamarに新バージョン
EMC、2種類の重複除外を使い分ける新機能
2011/05/30
EMCジャパンは5月30日、重複排除機能を備えたバックアップ・ソフトウェアであるAvamarの新バージョン「EMC Avamar 6.0」を、同日提供開始したと発表した。最大の特徴は、同じく重複排除機能を備えたバックアップ・アプライアンス「Data Domain」との連係だ。
もともとAvamarとData Domainは、同じく重複除外が可能なバックアップ製品でありながら、その特性は大きく異なる。Avamarは バックアップ元でソフトウェア・エージェントを動かし、このエージェントで重複除外を行う仕組み。このため、WAN越しのバックアップや、VMwareのVMDKファイルのバックアップなど、ネットワークに負荷をかけたくない場合に適している。一方、Data Domainは、装置に転送されたデータを、受け取った後で重複除外するため、リレーショナルデータベースやExchangeサーバ、SharePointサーバなどのバックアップに適しているという。データベースのように単一の巨大なファイルがある場合、Avamarでバックアップしようとすると、バックアップ元のCPU負荷が大きくなってしまう。単一のデータベースファイルのどこにどのような変更があるかは、ファイル内のすべての情報をスキャンしないと分からないからだ。
EMCジャパンでは、このようにデータの特性によって、2種類の重複除外技術を使い分けることで、幅広いニーズに対応できるとしている。
使いやすいAvamarの画面で2種類の重複除外を使い分け
Avamarの新バージョンでは、Avamarへのバックアップと、Data Domainへのバックアップを、Avamarの管理画面から統合的に実行できるようになった。今回の連係では、Data Domainへのバックアップを行う場合でも、重複除外の前処理を実行する「DD Boost」がバックアップ元で動作する。このため、Data Domainのみの場合に比べて処理の効率化と高速化が期待できる。
現在のところ、個々のデータタイプについてAvamarでバックアップするか、あるいはData Domainにバックアップするかを、管理者が自ら指定する必要がある。ただし、データベースファイルのバックアップ先としてData Domainを指定した場合でも、そのログファイルは自動的にAvamarでバックアップするような識別機能は実装されているという。将来のバージョンでは、ファイルサイズなどの情報から、バックアップ先の選択を完全に自動化する機能も実装の予定という。
Avamar 6.0における他の新機能は次のとおり。
- VMwareの仮想マシンバックアップでは、従来よりVADP(vStorage APIs for Data Protection)のChanged Block Trackingという機能に対応することで、変更ブロックのみを抽出してAvamarのプロキシサーバに転送し、重複除外を行うことができた。しかし、リストアでは、仮想マシンの全データを復旧する必要があった。今回の新バージョンでは、リストアにおいても変更ブロックのみをネットワーク転送すればよくなり、ネットワーク負荷を低減するとともに、リストアの時間短縮が可能になった。
- Windows Storage ServerとIomega ix12-300rが新たにサポートされた。
- クライアントPCのバックアップ機能「Avamar Desktop/Laptop」で、他のPCへのリストアが可能になり、PCの入れ替え時のユーザーデータの移行が楽になった。
Avamarのバックアップ先として使えるアプライアンスであるAvamar Data Storeも、製品ラインが一新した。新製品シリーズ「EMC Avamar Data Store Gen4」では、これまでのノード当たり1TBのモデルが1.8TBに、2TBモデルが2.6TBに、3.3TBモデルが3.9TBモデルと7.8TBモデルに進化。計4種類のモデルで構成されることになった。これにより、1システムの最大容量は124TBとなった(すべて圧縮後の容量)。
重複除外ストレージ市場の動向はEMCジャパン次第?
EMCジャパン BRS事業本部長の河野通明氏は、2010年12月の同社によるアンケート調査の結果から、「重複除外の認知は思っていた以上に進んでいる」と話した。
また、テクノ・システム・リサーチによる国内重複除外ストレージ メーカーシェア調査によると、EMCジャパンのシェアは82.5%と圧倒的で、逆にこの市場の動向がEMCジャパンに掛かっているともいえ、身が引き締まる思いと発言。市場のパイを大きくすることが重要と考えていると話した。
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