インテルXeon E7を搭載
日本HPの80コア「モンスターマシン」は新しい使い方を模索
2011/06/16
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は6月15日、同社が社内で「モンスターマシン」と呼んできたProLiantサーバの最上位機種を発表した。これは2010年7月に同社が発表した「HP ProLiant DL980 G7」に、最新サーバCPUのインテルXeon E7シリーズを搭載したもの。製品設計に変更はないが、10コアのプロセッサを8ソケットに装着すれば、1台のサーバで80コア/160スレッドを提供できることになる。メインメモリは最大2TBを搭載可能。日本HPではこの集積度で、スケールアップ型サーバの新たな世界を開拓することができるとしている。
DL980は、4ソケットのCPU/メモリボードユニットを、シャーシに対して縦に2つ装着する構造で、8ソケットを実現している。さらに、CPU間は4つのノードコントローラを介して接続。ノードコントローラ上にキャッシュを配し、CPUキャッシュ間の同期のためのプロセッサ間通信がボトルネックになることを回避している。
メインメモリでは、メモリチップが2つ故障しても動作を継続できる機能を搭載。メモリの交換頻度も大幅に減らせるという。低電圧メモリを使えるほか、電源ユニットは80 PLUS Platinumを取得している。動的なPower Cap機能で、消費電力の上限を設定可能。ハードディスクドライブは8台までホットプラグ可能な形で装着できる。さらにPCIeスロットは16本備えており、これにPCIeフラッシュメモリボードを装着すれば、CPU直結のデータストレージが使えることになる。
こうした高速・大容量のXeonサーバをどういう用途に使うか。日本HPでは、基幹システムについてはItanium搭載のIntegrityサーバとHP-UXの組み合わせが、信頼性の観点からも引き続き適しているとしている。
日本HPがこの新製品で狙う用途は、例えば現在スケールアウト型のサーバ構成で動作しているアプリケーションの一部。スケールアウト型の構成はコンシューマ向けWebサービスのみならず、科学技術計算や企業向けアプリケーションでも見られる。しかし、スケールアウト構成にも、ノード間通信で余計な処理負荷が掛かる、消費電力が大きい、複数のハードウェアやOSを管理する手間が掛かるといった欠点もあると日本HPでは指摘する。
DL980の処理能力を活用すれば、これまで数時間掛かっていたようなビジネス分析を、数分で実行できる可能性があるとし、企業における営業担当者個人の最新の業績を、ほとんどリアルタイムで計算するなど、従来は考えられていなかったようなデータ分析ができるという。HPはSAPとの提携で「HP ProLiant DL980Plus SAP HANA」という分析用アプライアンスを提供しており、この種の分析を迅速に行えるようにしている。また、1台で非常に高密度なサーバ仮想化環境が実現できるともいう。1台で高い処理能力を、従来とは違うレベルの価格で提供できることが、さまざまな新しい使い方につながると、同社では期待している。
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