ソリューション/高利益率への取り組みを強化

デル日本法人が社長交代、日本は全社的な変革のモデル

2011/06/22

 デル日本法人は、代表取締役社長のジム・メリット(Jim Merritt)氏が7月1日付で退任、郡(こおり)信一郎氏が後を引き継ぐ。この2人が6月22日、これまでの成果と今後の取り組みを説明した。

 2006年以来、約6年にわたって日本法人のトップを務めてきたメリット氏は、「日本は(デルのグローバルのなかで)もっとも利益率の高い地域の1つ」と話した。マーケットシェア重視型から、ソリューションへの注力による利益率重視型への転換という、デルの全社的な課題につき、他の地域に先駆けて成果を挙げてきたという認識だ。サーバとストレージ、特にEqualLogicの日本におけるずば抜けた売上成長率が、これを実証しているという。

 メリット氏は、他の大きな実績として、クライアント、エンタープライズ両分野におけるカスタマーサポート/テクニカルサポートの改善を挙げた。デルが宮崎に設置したテクニカルサポート拠点は、現在650人の規模となっており、日本におけるサポート活動を支える存在になっているという。

dell01.jpg 代表取締役社長に就任する郡信一郎氏

 さらに社内の人的体制の充実がある。デル日本法人における自主離職率は「10%を大きく下回る」とし、経営陣を社内からリクルートできるようになってきたという。新社長に就任する郡氏も、2004年に同社に入社以来、日本法人のマーケティングディレクター、公共事業本部長、米デル 北アジア地域公共事業本部長、日本法人の執行役員兼営業統括本部長と、社内の要職を経験してきた人物。

 郡氏は今後も、ソリューション提供の取り組みをさらに強化していくと述べた。「ソリューションを提供できることの認知度を高めていきたい。また、デルのブランドのハードウェアを提供するというだけでなく、人材がいてお客様の役に立てることを目指したい」と話した。

 デルはPC運用の簡素化、データセンター、クラウドの3分野を中心に、ソリューションを展開している。米デルはPerot Systemsを買収し、コンサルティング、システム構築、ITアウトソーシングといった事業を強化しているが、日本法人は「まずインフラのソリューションを強化する」(郡氏)。同社の製品がオープンで、他社製品ともつながり、管理ツールもマルチベンダ対応しているといった点が強みだとしている。

dell02.jpg ジム・メリット氏(左)と郡信一郎氏(右)

 メリット氏も同じ考えだ。「open, capable and affordable(オープンで機能に優れ、安価)」であること、顧客に柔軟な選択肢を与えることが特徴という。「他社はすべてを1社でまかなえると主張する。デルは、お客様が自社に役立つソリューションを、自身で選べるようにしている」(メリット氏)。また、他の競合ベンダよりも小規模な、中堅クラスの顧客をターゲットとし、標準的なソリューションを提供していくことで、スケールすることができるとメリット氏は説明した。「大企業相手ではカスタマイズが基本であり、スケールするのが難しい」。

 メリット氏は現在、日本法人の代表取締役社長兼日本アジア太平洋地域 ラージ・エンタープライズ事業プレジデントだが、7月1日付けで、米デルの公共/ラージ・エンタープライズ事業グローバル・セールス部門プレジデントに就任する。

 「日本での経験は、デルのグローバルなビジネスに生きる。マイケル(・デル氏)なども、頻繁に日本を訪れてこのことを理解している」。日本の顧客の、製品・サービス品質に対する高い要求、サービス契約において厳格な定義を行う習慣など、多くのことを学んだとメリット氏は話した。

(@IT 三木泉)

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