ゼタバイト時代のネットワーク運用を簡素化
ネットワーク仮想化技術で「Next NGN」実現を、シスコ
2011/06/28
シスコシステムズは6月28日、独自のネットワーク仮想化技術「Cisco nV」を搭載したキャリア向けルータ「Cisco ASR 9000システム」を軸とする次世代ネットワーク構想について、説明会を開催した。
同社によると、通信事業者はいま大きな課題に直面している。端的にいってしまうと、「トラフィックは増えているのに、収益は減っている」状態だ。
シスコシステムズのサービスプロバイダー事業担当副社長 堤浩幸氏は、ビデオやクラウドサービス、モバイル機器の普及により、全世界のIPトラフィックは年間32%という割合で増大しており、2015年ごろには「ゼタバイト時代」に迫るという同社の予測を紹介した。通信事業者はただでさえ、音声やデータなど、サービスごとに個別に構築してきたネットワークの運用を強いられている。この上、クラウドやモビリティ、ソーシャルといった要素を含んだ新たなアプリケーションに対応し、かつ大容量のネットワークを提供するという課題に迫られているわけだ。
この状況を、Cisco ASR 9000システムは主に2つの側面で解決する。1つは、1システムで96Tbpsという大きなネットワーク容量の提供だ。もう1つは、ネットワーク仮想化技術のCisco nVである。
新製品の「Cisco ASR 9922」は、Cisco nVを介し、アグリゲーションレイヤ用の「ASR 9000v」と一緒に仮想的に1台の巨大なルータとして動作する。ASR 9922はトラフィックやアプリケーション、ユーザーに関するさまざまな情報を認識してインテリジェントに処理を行う「頭脳」となり、ASR 9000vは仮想化されたネットワークファブリックの中で仮想ポートを提供する役割を担う。1台のCisco ASR 9922で最大1920台のASR 9000vをひとまとめのルータとして扱うことができる。
Cisco nVは、TCO削減というメリットももたらす。これまでアグリゲーションレイヤには多数の機器が分散して存在しており、別々に設定、運用する必要があった。これをCisco nVで集約し、論理的に1つのネットワークとして運用できるようにすることで、設定投入やソフトウェアメンテナンス、障害対応などの作業を簡素化。この結果、従来に比べ最大で70%の運用コストを削減できるという。シスコではこの技術を、他のプラットフォームにも搭載していく予定だ。
ネットワークを構成してきた複数のレイヤを統合し、ネットワークを論理的に簡素化するというアプローチは、シスコに限らず、主要な通信機器ベンダが提案しつつある。
シスコでは、ASR 9000システムを中核に、設計支援などのプロフェッショナルサービスを組み合わせて提供することで、通信事業者の次世代インターネットへの移行を支援したいという。また、「Cloud Centric Network Architecture」と呼ぶ開発中の技術によって、ネットワークと、データセンター内の仮想サーバが互いの状況を認識しつつ連携する仕組みを実現していく構想だ。
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