新バージョンのOSでエンタープライズ市場への足がかり
次は「LBaaS」? コヨーテポイントが日本市場への取り組み強化
2011/10/12
サーバ負荷分散やアプリケーション・アクセラレーション機能を提供するアプライアンス製品「Equalizer」を開発、提供している米コヨーテポイントのプレジデント、マイケル・C・ヘイズ氏が来日し、同社の戦略について語った。9月に発表した新OS「EQ/OS 10」を機に、エンタープライズビジネスの拡大を目指すという。
Equalizerは、負荷分散やアプリケーションデリバリ、SSLアクセラレーションや圧縮といった機能を提供するアプライアンス製品だ。小規模組織向けの「Equalizer E250GX」から、大規模企業/データセンター向けの「Equalizer E650GX」まで、環境に応じて4種類のラインアップがある。
ヘイズ氏は、この分野の競合製品にはセキュリティなどたくさんの機能が搭載されているが、実際に顧客が使っているものは少ないと指摘。「本来必要な機能をシンプルに提供する。今後もアプリケーションデリバリコントロールと負荷分散に特化し、コストパフォーマンスを強化して顧客のTCO削減に役立てたい」と述べた。
エンタープライズ向けの取り組みも強化
同社はこれまで10年以上にわたって、ネットワールドを代理店として国内販売を行ってきた。しかし2011年初めに日本事務所を設立。カントリーマネージャに小林容樹氏が就任し、パートナーおよびコミュニティの拡大に努める計画だ。
コヨーテポイント全体としても、これまで主に展開してきたSMB市場に加え、エンタープライズ市場も視野に入れて販売を強化していく方針という。その切り札としてリリースしたのがEQ/OS 10だ。この新バージョンは、「エンタープライズクラスのパフォーマンスとキャパシティ、機能を提供すべく、2年をかけてアーキテクチャから見直し、開発したもの」(ヘイズ氏)だという。日本では2012年初めにリリースされる予定だ。
EQ/OS 10の特徴は、「Envoy」というグローバルサーバロードバランス(広域負荷分散)機能だ。これを利用すれば、地理的に離れた場所にあるサーバの間でディザスタリカバリが可能となる。「複数の拠点を抱えるエンタープライズ向けの上位機種、Equalizer E650GXではターンキーで利用できる」(ヘイズ氏)。
もう1つの特徴である「VLB」(Virtual LB)では、文字通り、物理サーバに対してだけでなく、仮想サーバに対しても透過的に負荷分散を行うことができる。「ハイパーバイザー上の仮想マシンで動作するアプリケーションのパフォーマンスをモニタリングし、しきい値を超えたら負荷を振り分けたり、新たに仮想マシンを立ち上げるといったダイナミックな管理が可能だ」(ヘイズ氏)。当初はHyper-Vのみのサポートだが、同社の戦略パートナーであるマイクロソフトのHyper-Vや、小規模マーケットで人気の高いKVMといったハイパーバイザーもサポート予定だ。
並行して、仮想アプライアンスの「Equalizer on Demand」も用意する。「仮想化やクラウドが普及しつつあるが、ネットワークの仮想化はまだこれから。この製品によってLBaaS(Load Balance as a Service)を実現する」(ヘイズ氏)。サブスクリプションベースの課金体系とし、特にサービスプロバイダーやデータセンター向けに提供していく計画だ。例えば、メインの拠点ではEqualizer E650GXを運用し、いざというときにはスタンバイサイトから仮想化されたEqualizer on Demandを立ち上げて、負荷分散機能ごとディザスタリカバリを実現する、といったことも可能だ。これにより、「エンタープライズに、より高いパフォーマンスとともにフレキシビリティを提供する」(同氏)という。
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