アクロニスがイメージバックアップの新製品を発表
企業向けシステムバックアップ製品が大幅強化
2011/10/21
アクロニス・ジャパンが10月21日に発表した企業向けイメージバックアップ製品の新版「Actonis Backup&Recovery 11」(以下、ABR 11)は、仮想化環境対応や重複除外機能の強化、管理性の向上などを特徴とする。アクロニスはまた、同製品を今後、「システムまるごとバックアップ/リストア」の機能だけでなく、アプリケーション単位でのリカバリ機能も備えた製品に進化させると説明している。
分かりやすい新機能としては、まず「ステージング」機能が追加された。ここでのステージングの意味は、いったんバックアップしたデータを、事前設定したポリシー(スケジュールや手動のアクション)に基づき、ほかのストレージにコピーできるということ。このコピーにはバックアップサーバにマウントした外部記憶装置(ディスクストレージやテープドライブ)のほか、NFSやFTPも使える。従って、D2D2Tのバックアップや、災害対策のための遠隔バックアップを、低コストで容易に実現することが可能だ。多段階のステージングを設定できる。同機能ではコピーだけでなく移動もできる。
ステージングと似ているが、バックアップしたデータを定期的に仮想マシン化し、別ストレージに保存する機能も加わった。この機能は増分データに対応する。すなわち、バックアップデータに対する変更があっても、増分のみを仮想マシンに反映させることが可能。
イメージバックアップデータをカタログ化して、ファイルを検索できるようになった。バックアップ先が複数のストレージにまたがっている場合でも、1つのカタログを作成でき、検索も統合的に行える。増分/差分データも対象とすることができる。特定のディレクトリ/ファイルを検索して、選択的にリカバリすることもできる。
さらに、Linuxのイメージバックアップデータから、異なるコンピュータに対するリカバリができるようになった。従来から備わっているWindows PEを使った異機種へのリカバリと同様のことを、Linuxでできるようになった。すなわちあるコンピュータのシステムイメージバックアップを、他のコンピュータでリカバリする際に、ABR 11のCDでリカバリ先のコンピュータを起動して、メニューから「Linux Universal Restore」を選択すれば、必要に応じてドライバの入れ替えが行われ、起動までが自動的に行われる。
サーバ仮想化環境のバックアップも強化
機能強化では、サーバ仮想化環境のバックアップにおける柔軟性の向上が目を引く。今回新たに2種類のバックアップシナリオが実現した。
同製品では、1ライセンスで単一仮想化ホスト(物理サーバ)上の仮想マシンを無制限にバックアップ可能だ。また、物理から仮想(P to V)、仮想から物理(V to P)の変換も、1仮想ホストを対象とする限り、変換回数や仮想マシンの個数は無制限。
ABRでは、これまでバックアップ対象の各仮想マシンにエージェントを導入せずに、横で仮想マシンとして動作するABRが、同一ホストの他の仮想マシンからデータを吸い上げ、ネットワーク上のストレージにバックアップすることができた。ただし、この機能はバックアップ先がNAS/ファイルサーバにしか対応しておらず、また一度に1仮想マシンしかバックアップできなかった。ABR 11では、このバックアップ環境でバックアップ先にファイバチャネルSAN、iSCSIのストレージを利用できるようになった。これらのストレージをABRの仮想マシンに直接マウントしてバックアップできる。また、今回新たに、複数の仮想マシンバックアップを同時並行で行えるようになった。
また、VMware ESX/ESXiの場合、バックアップ処理を外部のマシンに実行させることもできるようになった。「Windows Agent for ESX(i)」というソフトウェアをこの外部マシンに導入することで、(個々の仮想マシンにはエージェントを導入する必要なく)、仮想ホストに負荷をかけずにバックアップができる。
ABR 11の対応するサーバ仮想化環境は、VMware ESX(ESXi)/vSphere 、Hyper-V、XenServer、Red Hat Enterprise Virtualization / KVM、Parallels Server 4。エージェントレスバックアップはVMware ESX/ESXi、およびHyper-Vで対応している。
ほかには、重複除外機能のエンジンを改良し、ディスクへの負荷を軽減することで、全バージョンと比較して最大50%のパフォーマンス向上を実現。また、BIOSの後継であるUEFIに対応し、2TB以上の起動パーティションにも対応できるようになった。テープライブラリへの対応も新しい。
アクロニスは、アプリケーション単位のリカバリへの対応の第1弾として、Microsoft Exchange、SQL Serverのアプリケーションとしての認識とバックアップ/リカバリ管理を行うとしている。これは、ABR 11に対するアップデートとして提供する。詳細は明らかにしていない。
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