京都−北海道間でバックアップ&サービス復旧を実験
京都府、「Oracle GoldenGate」を活用したバックアップ実験
2011/10/27
日本オラクルは10月27日、同社のデータ統合技術「Oracle GoldenGate」が京都府で実施された自治体クラウドの実証実験に活用されたと発表した。
総務省は2009年から「自治体クラウド」と称した開発実証事業を推進しており、都道府県のデータセンターを広域の総合行政ネットワークを介して相互接続することを目指している。2010年10月には、遠隔地における行政システムのデータバックアップや復旧を検証するための実証実験を実施。その実験に参加した京都府では、「Oracle GoldenGate」を採用したという。
日本オラクル 執行役員 ソフトウェアライセンス事業 公共営業統括本部長 白石昌樹氏は、「東日本大震災では、宮城県南三陸町などで一時的に住民基本台帳や戸籍が消失した。このようなリスクを回避するため、官公庁では震災以前から、BCPやデータバックアップの強化をうたったガイドラインを策定。特に提供しているサービスが市民生活に直結する都道府県や市町村では、生活に必要な行政サービスを震災時であっても提供せねばならないため、より頑強なバックアップ体制が求められている。このため、遠隔地におけるリモートバックアップも推奨している。しかし、維持費やセキュリティの観点からバックアップに大容量の回線は使えないため、差分バックアップは必須の要件ともいえる」と、背景を説明した。
実証実験では、遠隔地にあるバックアップサイトへデータを転送する「行政機能データバックアップ」、バックアップサイトへアプリケーションごと切り替える「DC(データセンター)における行政機能復旧」、バックアップサイトにおけるスケールアウトを行う「DCにおけるデータベースサーバ拡張」の3種類の実験を主に行った。
行政機能バックアップでは、京都府のDCと同じく実証実験に参加した北海道のDCを総合行政ネットワーク(LGWAN)を介してデータセンター間バックアップを実施。LGWANの帯域は10Mbpsだが、実効速度は3Mbps程度で、実験では他業務での利用も想定して48Kbpsに制限してバックアップを実施したという。この実験では、オラクルの「Oracle GoldenGate」が採用され、WindowsとLinuxの異なる環境下において5000件の同時更新を実施。10秒で完了したという。日本オラクル 製品事業統括 テクノロジー製品事業統括本部 ソリューション本部 第三ソリューション部 担当ディレクター 八島晶氏は「自治体はそれぞれ独自にシステム構築しているため、OSなどが異なることがほとんどだ。このような異環境間でバックアップできることが必須条件となる。また、回線速度が限定されるため、GoldenGateのような差分ログファイルだけを転送する方式は非常に有効だ」とコメントした。
「DCにおける行政機能復旧」では、同社の「Oracle VM」を活用し、京都府の業務アプリケーション環境を仮想イメージで即時に北海道で再現。3.5時間で京都府の業務アプリケーションを再現し、業務を再開できたという。「DCにおけるデータベースサーバ拡張」では、利用者の増加や復旧の状況に合わせてリソースを増強する実験を実施。「Oracle Real Application Clusters」を活用し、1台当たり30分でサーバを構築できたとした。
八島氏は、「今回、京都府にGoldenGateが評価された点は、構築期間の短さとその効果だ。構築期間は京都府のサーバにエージェントをインストールするのに3時間、同じく北海道に2.5時間の計5.5時間で完了した。また、震災時に重要となる『目標復旧時間(RTO)』は3時間。『目標復旧時点(RPO)』は1秒以下を実現している。今後は、クラウドを利用したバックアップも増えていくだろうと想定している」と説明した。
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