仮想化ITインフラの包括提供が新年度の戦略の柱
シスコ、Ciusの国内投入は11月中旬発表へ
2011/11/04
シスコシステムズ日本法人は11月2日、同社の新会計年度(2012年度)の戦略を説明した。米シスコは今年前半、全社的な事業目標を達成できない四半期が連続したことで、レイオフや組織再編を余儀なくされた。組織のシンプル化とフォーカスの明確化、そして顧客に近い組織への変革の取り組みにより、「次のシスコが生まれている」とエザード・オーバービーク氏(アジア パシフィック ジャパン アンド グレーターチャイナ プレジデント)はビデオメッセージで話した。
日本法人では、代表執行役員社長の平井康文氏が、昨年掲げた「Ignite Japan」というスローガンの第2章として「Ignite Japan 2012」を掲げ、同社の基本方針を説明した。
シスコは昨年も、「ボーダレスネットワーク」(ネットワーク機器関連事業)、事業者向けIP NGN、データセンター/仮想化、コラボレーション/ビデオの4つを事業の柱(「アーキテクチャ」と同社は呼ぶ)をもとに、事業を展開してきた。平井氏はすべてのアーキテクチャで、日本は過去1年順調に事業を伸ばし、この実績によってシスコ社内で賞を獲得したと話した。2012年度もこの4つの柱は変わらない。ただし、複数のアーキテクチャにまたがるビジネスが増えてくるという。
平井氏は「インフォメーションテクノロジーからビジネステクノロジーへ」という表現で、これを説明した。
ITの世界ではモバイルとクラウドが2大トレンドだが、これらを企業が事業成長のために生かすための基盤を包括的に提供する、というのがシスコの基本的な戦略だ。図に示されているように、サーバ仮想化/デスクトップ仮想化が進む企業データセンターとパブリッククラウドサービス、そして端末の多様化とシンクライアント利用が進むクライアント環境、そしてこれらを論理的につなげるための進化が進むネットワーク。これらすべての要素を、いわゆる「エンド・ツー・エンド」で提供できることを、シスコの付加価値として前面に押し出していくということのようだ。
シスコというと、サーバ分野でのヴイエムウェア、EMCとのVCE連合を思い浮かべる人は多いが、シスコはシトリックスやマイクロソフト、ネットアップとの連携も深めている。VCEはシスコの取り組みの一部でしかない。また、デスクトップ仮想化でシスコが豊富な端末群を提供開始していることも見逃せない動きだ。
米国などではすでに提供開始されているアンドロイド端末「Cisco Cius」の国内展開について聞くと、11月17日に実施するコラボレーション関連の発表会で詳細を説明するという答えが返ってきた。Ciusはすでに同社が説明しているように、企業向けのタブレット端末であり、音声通話やビデオ会議に使えるだけでなく、シンクライアント端末、グループウェア端末としての役割も果たす。コラボレーション事業担当の執行役員 公家尊裕氏によると、「数年後には、企業が新入社員に渡すのはこれ1台」といった存在になるようにしたいという。企業クライアント環境向け製品/サービスは、シスコが注力する重要分野の1つだ。
一方、サーバ仮想化/クラウドに関して、シスコはクラウド運用自動化製品群を12月に国内投入すると発表している。「これはシスコのソフトウェア戦略の一環」でもあると平井氏は説明した。
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