Oracle DBA & Developer Days 2011
開発部門のバイスプレジデントがオラクルのクラウド戦略を語る
2011/11/09
11月9日、日本オラクル主催のデータベース開発者、データベース管理者向けイベント「Oracle DBA & Developer Days 2011」が開幕した。11日まで3日間開催する予定。
初日は米オラクルコーポレーションのソフトウェア開発部門でバイスプレジデントを務めるマイケル・ヒチワ氏(写真)のスペシャルセッションで始まった。氏は「Oracle Databaseのベストプラクティスとクラウド技術」と題して、集まった開発者、管理者に語りかけた。
同氏はOracle Application Express、SQL Developerなど開発ツール、ODP.NETなどデータアクセス技術、Oracle Database Cloud Serviceなどの開発責任者を務め、現在でも自ら手を動かしてコードを書くほど製品開発に深くかかわっている。
イベントが管理者と開発者に向けたものであるので、ヒチワ氏のメッセージは現場のエンジニアに向けたものが多くなった。セッションの前半はOracle Databaseのベストプラクティスとして現時点で提供されている製品の技術をざっと紹介した。
現状のデータベースのベストプラクティスでありゴールとして掲げるのは6点。「OLTP(オンライン処理)とDWH(データウェアハウス)の両面で処理性能向上」「ストレージリソースの最適化」「肥大化するサーバやストレージを削減」「ダウンタイムと不必要な冗長化を排除」「情報資産を徹底的にセキュアに」「管理オーバーヘッドの削減」だ。
以上の6点の達成のために、オラクルの技術であるASM(Automatic Storage Management)、RAC(Real Application Clusters)、Oracle Exadata Database Machine、Exadata Smart Scansなどの技術や製品が有効に働く仕組みをあらためて整理して解説した。
データベース管理にはOEMことOracle Enterprise Managerも欠かせない。同日の11月9日に、オラクルはIT統合管理ソリューション「Oracle Enterprise Manager 12c」を国内で提供開始した。オラクル製品群の管理だけではなく、エンタープライズ・クラウドの導入から運用までのライフサイクル管理、統合されたクラウドスタック管理やビジネスを起点としたアプリケーション管理などを特徴としている。12cではパフォーマンス分析の機能に大きな改善があり、複数のデータベースのアップグレード自動化、Exadata監視機能の強化などの機能が盛り込まれている。
「飛行機を買うことはない。シートを買えばいい」
後半はオラクルが今後注力していくクラウドサービスに話題を移した。先月米国で開催された「Oracle OpenWorld San Francisco 2011」でラリー・エリソンCEOがクラウドへの方向性を示したが、ヒチワ氏は自社の統合されたソフトウェアスタック、処理性能の高いソフトウェアとハードウェアなどの強みを武器にクラウドサービスに注力していくと話した。
クラウドサービスということは、当然ながらオラクル製品をクラウド経由で使えることになる。自社でサーバからソフトウェアまで導入・管理することなく、クラウドから使った分だけ利用料金を払うというスタイルになる。「飛行機を買うことはありません。シートを買えばいいのです」とヒチワ氏。クラウドサービスではパフォーマンス管理とレポート用の共通バックエンドとしてEnterprise Managerサービスがあり、開発者はJava、RESTful Web Services、Oracle Application Expressなどを用いてアクセスする。
現在Oracle Public CloudのWebページで、今後提供予定のビジネスアプリケーションを紹介している。さらに、体験版も利用できるようになっている。すぐに使えるようにサービスをあらかじめパッケージ化しているところが特長だ。
提供予定のサービスには現段階で5つ。顧客管理アプリケーション「Oracle Fusion CRM」、人事管理アプリケーション「Oracle Fusion HCM」、コラボレーションアプリケーション「Oracle Social Network」といった業務アプリケーションをSaaS(Software as a Service)で提供するほか、「Javaクラウドサービス」「Oracle Databaseクラウドサービス」というPaaS(Platform as a Service)を提供する。提供サービスは順次拡張していく予定だ。
ヒチワ氏はクラウドに向かっていく昨今の情勢について「IT業界のパラダイムシフトだ」と指摘。かつてインターネットが業界に変化をもたらしたように、クラウドが業界に大変化をもたらすだろうと述べた。「その変化は今後10年、あるいは20年掛けて起きるかもしれない。これから起きる変化を楽しみにしてほしい」とヒチワ氏は会場のデータベース管理者と開発者に向けてメッセージを送った。
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