EMC VNXeとのガチンコ勝負を挑む

ネットアップがエントリストレージ一新、「7500ドル」のインパクト

2011/11/09

 ネットアップは11月9日、「EMC VNXe」と直接競合するエントリレベルのストレージ製品群を同日に販売・出荷開始したと発表した。同社は新製品の「FAS2240-2」「FAS2240-4」でVNXeの上位機種である「EMC VNXe 3300」に対抗し、既存製品の「FAS2040」を大幅に値下げすることでVNXeの下位機種である「VNXe 3100」に対抗する。

 国内では発表をFAS2240に限定し、FAS2040の国内での新価格を明らかにしなかったが、その数時間前に行われた米国発表は、最小構成で7500ドル以下としている。VNXe 3100の米国価格は、ニュースリリースでは「1万ドル以下」と表現されているため、表面的に標準価格だけを比較すると、2割以上安いことになる。ちなみに、FAS2240の参考価格は、シングルコントローラのFAS2240-4に7.2K/1TBのSATAドライブ12本の構成で179万円。

 7500ドルといった低い価格帯に踏み込むことはネットアップにとってどういうメリットがあるのか。米ネットアップのラジ・ダス氏(プラットフォーム&ストレージ担当シニアディレクター)は、まずネットアップの製品を使ってくれる顧客が増え、そうした顧客の事業が成長するのに従って、上位製品に移行してくれることに意味があると答えた。

netapp01.jpg FAS2040とFAS2240(2モデル)の比較。パフォーマンスは2240で2〜3倍にアップしたという
netapp02.jpg 米ネットアップのラジ・ダス氏

 VNXe 3300と比べたFAS2240の優位性を、ダス氏は「より多くのドライブを接続できるし、ファイバチャネル接続を提供するという意味でも、こちらは真にユニファイドだ。パフォーマンスも優れている。しかし重要なことは、われわれがミッドレンジ製品群をリフレッシュしたことだ。新製品は、コストパフォーマンスおよび機能の点で、非常に競争力があると考えている。ネットアップは中核的な強みであるユニファイド・アーキテクチャにより、顧客が自社の成長に伴ってストレージを成長させられるということに力を注いでいる。運用で混乱をきたすことなく、同じ管理フレームワークで(製品間の)アップグレードが可能だ」

netapp03.jpg FAS2240とVNXe 3300のネットアップによる比較。搭載可能ディスク数やストレージ接続プロトコル対応、ソフトウェア機能で上回りながら、絶対的な価格でもVNXe 3300に勝てるとしている

 例えばFAS2240からFAS3210へ、データの複製や移動なしに移行ができるとダス氏は説明する。これはFAS2240のコントローラ部分をFAS3210に入れ替えるだけで、ディスクアレイの構成やデータを保持したまま即座に移行し、移行後もこれまでと同じ管理インターフェイスを使い続けられるという意味。

 ネットアップの従来からの基本的なメッセージは、上から下まで、すべての製品が同じストレージOSを使うということのメリットだ。FAS2240はストレージOSの最新バージョンDATA OnTap 8.1を搭載する。Data OnTap 8.1バージョンはまだ一般向け提供(GA)には至っておらず、一部顧客が使い始めている段階。これをいち早く搭載することになる。

 Data OnTap 8.1は、FAS2040やFAS2240のユーザーにもメリットがあるとダス氏はいう。「理由は、仮想ストレージコンテナ(aggregate)の最大容量が拡大すること、データ圧縮機能の搭載で重複排除しにくいデータも効率的に保存できること、そしてCluster Modeを使うことにより、ストレージを真の意味でスケールアウトさせられることだ」(ダス氏)。

 Data OnTap 8.1は、スケールアウト型のストレージ拡張を実現するCluster Modeが統合された初のバージョンだ(ただし、OSインストール時にCluster Modeを選択する必要がある。後からの切り替えはできない)。FAS2040/FAS2240でこれを活用すれば、非常に少ない投資で始め、ニーズに応じて容量とパフォーマンスを拡張していくということが文字どおり実現する。

 ネットアップは、エントリストレージの展開で、ネットワールドや兼松エレクトロニクスなど、既存の販売パートナーとの連携を強化、こうしたパートナーが、ソリューションパッケージに組み込んでくれるように、支援していくという。

(@IT 三木泉)

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