日本マイクロソフトと共同でテクニカルサポート

CTC、金融HPCサービスで繁忙期にWindows Azureを活用

2011/11/10

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と日本マイクロソフトは11月10日、ハイブリッドクラウド・ソリューションを協力して提供すると発表した。金融HPC分野に特化したもので、第1弾は2012年春に提供開始する。

 これは、CTCが同社のデータセンターにHPCアプリケーション運用環境を構築して顧客に提供するサービス。通常はこのCTCのデータセンターでアプリケーションを運用するが、計算量の多い時期に、処理の一部をWindows Azure上で実行する。

 CTCはこれまで、金融HPCの、特にコンプライアンス(リスク管理や国際規制対応)にかかわる分野に注力してきたという。Windows HPC Serverを採用したシステム納入実績は、約10システムあるとしている。だがこの分野でも、IFRSへの対応が直接のきっかけとなり、クラウド的なサービス形態へのニーズが高まってきているという。「(IFRSは)金融機関にはインパクトが大きい。年4回、1週間〜1カ月の間だけ膨大な計算量が生じる」(CTC 金融システム事業企画室 下地俊一氏)。年間1〜4カ月に利用が大きく偏るようなアプリケーションのために、莫大なITリソースを社内に維持する必要がある。

 こうしたニーズに応える方法が以前はなかったが、昨年Windows Azureが登場したことで、状況は大きく変わったという。

ctc01.jpg 通常期はCTCのデータセンターのみでサービスを提供
ctc02.jpg 繁忙期はWindows Azureで追加的な処理を実施

 CTCは顧客向けの金融HPCシステムを同社のデータセンターに構築、運用する。ハードウェアやソフトウェアは、この場合CTCの所有になる。別途顧客所有のハードウェア/ソフトウェアを同社のデータセンターで運用する選択肢も提供するという。顧客側は通常期と繁忙期の処理ノード台数をそれぞれ指定する。これに基づき、CTCでは通常期の処理をすべて同社のデータセンター内で行うが、繁忙期には追加処理ノード分をWindows Azure上で動かす。

 ユーザー企業は、通常期については固定料金を支払い、繁忙期には利用するWindows Azureインスタンスの数と利用期間に応じて、従量料金を上乗せしてCTCに支払う。契約はユーザー企業とCTCの二者の間で結び、Windows Azureの利用については、ユーザーが意識する必要なく行うという。

ctc03.jpg 日本マイクロソフト 代表執行役 樋口泰行氏(左)とCTC 取締役兼専務執行役員の藁科至徳氏(右)

 日本マイクロソフトでは、大手町イノベーションセンター内に、CTCとの協業で「金融HPCラボ」を設置し、これまでもHPCアプリケーションの検証作業を実施するなどしてきた。今回の新サービス提供にあたっても、この設備を検証に生かしていくという。また、今回のサービスでは、2社の合計約20名のHPC専門部署のエンジニアがサポートするという。

 2012年春に第1弾として適用対象とするのは、保険数理アプリケーションのHPCサービス。このサービスの販売目標は、3年で30億円としている。CTCでは今後、このサービスを、金融だけでなく物流、科学のHPCにも広げていきたいという。

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(@IT 三木泉)

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