2012年2月には日本にOpenFlowラボをオープン
OpenFlow対応の動きを強めるブロケードの意図は?
2011/12/12
米ブロケードコミュニケーションズシステムズは、TRILLなどのプロトコルを使ったイーサネットファブリック製品を展開する一方で、OpenFlowへの対応の可能性を模索している。同社は、他のベンダと検証を繰り返しながら、自社スイッチへの試験的実装を改善してきているが、2012年2月には日本にOpenFlow関連のラボを開所する予定だ。以下は、@ITがこの件を含め、米ブロケードCEOのマイケル・クレイコー(Michael Klayko)氏、CTOのデイヴ・スティーブンス(Dave Stevens)氏に聞いた内容の一部だ。
ブロケードは同社スイッチにおけるOpenFlow対応を模索中だ。ただし、OpenFlowコントローラを開発・提供するつもりはないようだ。OpenFlowコントローラからの制御を受け、スイッチで確実に処理することを現在のOpenFlow関連の研究開発活動の眼目としている。また、スイッチの機能をすべてOpenFlow対応させるわけではない。少なくとも現在のところは、大規模クラウドサービスにおけるマルチテナント対応のためにOpenFlowを使うつもりのようだ。
スティーブンス氏はいう。
「われわれはOpenFlowについて、日本企業やシリコンバレーの企業とともに、2年くらい活動してきた。これはわれわれにとっても、OpenFlowコントローラの企業にとっても、学ぶべきことの多い作業だった。彼らが何かをコントローラに実装するとき、その機能はネットワーク側(すなわちスイッチ)に物理的に実装されていなければならない。必要な機能が欠けている場合は、スイッチ側で修正を加え、インターフェイスを追加する。より多くのトンネルを構築できるようにしたり、より多くの顧客を終端できるようにしたりして、この機能をコントローラが実装し、それをわれわれが試すということを繰り返してきた。こうした協業がようやく、安定してうまくいくようになってきた。そこでいま、こうしたソリューションの一部を先進的な顧客に対して提供しようとしている」
「既存のコントローラの一部は、ネットワークにコールして、トンネルの作成や終端を命令し、論理的な顧客ネットワークを構築する。われわれはNetIron CERにOpenFlow対応機能を実装している。すでに3つ目のプロトタイプをつくった。プロトタイプと呼ぶのは、正式なリリーストレインに載せていないからだ。しかしこれは十分洗練されており、数社のコントローラ企業とともに、顧客のクラウド提供環境のパイロットプロジェクトに、早期の実装を提供している。思った通りに動作するか、スケールするか、安定的かを確かめてきた」
ブロケードが日本につくるOpenFlowラボは、同社として初めてのOpenFlow関連施設となる。CEOのクレイコー氏は、理由をこう説明する。
「この技術に対する関心は、ほかのどの国よりも日本で高い。だからこそわれわれはラボを日本に設置する。(一般的には、)技術がアイディアからメインストリームに至るまでには時間が掛かるものだ。現時点では開発プロジェクトというより研究プロジェクトだ。日本でなぜ関心が高いのかをよく理解したいと考えている。われわれの技術とオープンな標準は相性がいいが、将来に向けてはわれわれも進化していくし、だれもが進化していく必要があると思う。重要なのは、当社がこの技術に投資することを決めたということだ」
しかし、OpenFlowやSoftware Defined Networkingのような動きにより、より高いレイヤによるネットワークの制御が進むと、ネットワーク機器ベンダの付加価値は低下するのではないか。
「そうは思わない。ネットワーク技術はさまざまなものをつなげる作業を担当している。これをわれわれはできるだけシンプルにしようとしている。ネットワークは複雑になり過ぎて、あまりにも設定できる選択肢が多すぎ、サブネットやVLANなどが、運用を難しくしてきた。ファブリックではこれがスケールしやすくなるとともに、運用も楽になる。仮想化環境でも運用はしやすい。一方、大規模事業者では、マルチテナント環境を実現し、同一のネットワークインフラ上で、多数の顧客のための環境を、シンプルに運用するメカニズムとしてOpenFlowのようなものが検討されている。より高いレイヤのプロトコルによる制御に、よりシンプルに、シームレスに、自動的に対応できる機能は普及するだろう。しかしこうしたより高いレイヤのプロトコルに適切に対応するためのインターフェイスには投資が必要で、陳腐化することはない」(スティーブンス氏)
最近、新世代のスイッチが各社から発表されるようになってきた。ネットワーキングはまたセクシーになったと言えると思うか?
「当社の製品は『右にならえ』的なものではなく、革新的て、破壊的だと評価されている。当社の革新は、『イーサネットファブリック』という新たな製品カテゴリの創出につながった。単なる製品でなく10年以上も存続するカテゴリを作ったということだ。エキサイティングになってくる。新しいカテゴリをつくることは楽しいことだ」(クレイコー氏)
「過去10年のネットワーク業界は密度、速度がリニアに改善した時期だった。根本的な変化はなかった。ITインフラがサポートするアプリケーションがほとんど同じだったからだ。ところがお客様の側から、ゲームを変える2、3の新たな要因が出現した。まずモバイル機器の急増と処理能力向上により、演算能力、ストレージ、I/Oがデータセンター内で完結する時代は終わりを告げた。さらに仮想化やストレージへの保存データの急増などが、お客様のアプリケーション実装方法を変えている。そこで、新たなアプリケーション実装を支えるための技術が開発された。それが『イーサネットファブリック』だ。ネットワーキング、ストレージ、コンピューティングと、多くのITインフラシステムが、分散エンタープライズとも呼べる方向に進んでいる。つまりIT機能は地理的に分散し、それぞれを一番適したところに配置するようになっていく。それを実現する方法は考えなくてよくなってくる。われわれはネットワークインフラの側からこれを実現できるようにしている。こうしたドラマチックな変化は10年おきくらいにしか起こらない」(スティーブンス氏)
しかし、主要なネットワークベンダはすべて、同じようなことをやろうとしている。そのなかでどう付加価値を維持していくのか。
「競合他社がこうした機能をフルに提供できるころには、われわれは第3世代に移行している。実際、私は他社がもっと早く市場に来ることを期待している。この製品カテゴリの価値を実証することになる。通常、市場に最初に参入したベンダが50%のマーケットシェアを手にすることができる。従って私は、あらゆる人がこのカテゴリに興奮していることで、大いに力づけてもらっている。私は競争が楽しいと感じている。自らが向上できるからだ」(クレイコー氏)
「第1世代は今年1月、第2世代は9月に発表した。第3世代の製品は、来夏に提供予定だ。シャーシ型でより多くの機能を搭載し、これまでにわれわれが学んだことを盛り込んでいる。既存製品とも互換性がある。つまり、われわれは複数の形状、複数のスピード、複数の密度を取りそろえ、他を引き離すことができる」(クレイコー氏)
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