ITインフラ製品への回帰が基本戦略
「市場予測を裏切る」、日本HPの2012年
2012/01/11
「原点回帰」。社長交代後の米ヒューレット・パッカード(HP)を象徴するのはこの言葉だという。米HPでは2011年9月にメグ・ホイットマン(Meg Whitman)氏が社長兼CEOに就任。同氏は改めてITインフラをHPのコアビジネスと規定し、ソフトウェアやサービスでは、ITインフラ事業の拡大や価値向上を目的にすると宣言したと、日本HP執行役員でエンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂氏は、1月10日に同社が行った事業戦略説明会で説明した。
サーバについては「市場予測を裏切りたい」と、サーバーマーケティング統括本部 統括本部長の上原宏氏は話した。市場調査会社の多くは、国内サーバ市場が今後縮小傾向にあると予測している。しかし日本HPは2012年、サーバに関し、3つの点でこれを打破していくという。
1つはイノベーション(革新)による新たなビジネスの創造。例として上原氏は、米HPが2011年11月に発表した「Project Moonshot」と「Project Odyssey」を挙げた。
Project MoonshotはARMなどの小型省電力プロセッサを高い密度で多数搭載するサーバ機の開発プロジェクト。2012年前半には最初の製品を発表の予定という。似た例としては、ベンチャー企業である米SeaMicroの「SM10000」シリーズなどがあるが、HPのような企業がベンチャーと同じテーマに取り組むというのが興味深いところ。大規模オンラインサービス用に多数のWebサーバを効率的に調達したいという特定のユーザー企業の要望から始まったプロジェクトだという。多数のWebサーバを動かす、あるいはMap Reduce処理を動かすというのは最初に思いつく用途だが、日本HPではユーザー企業とともに、新しい使い道を模索していきたいという。
Project Odysseyについて上原氏は、Superdome 2に対する新たなニーズに応える取り組みだと強調した。「x86のなかでミッションクリティカル性が求められるように変わってきた。いま、それを支えるシステムがあるか」。そこで信頼性の高い単一の筺(きょう)体に、Itanium/HP-UXと、x86/Linux、Windowsとを共存できるようにしていく。そしてWindowsやLinuxがミッションクリティカルな運用で足りない部分を、HPのノウハウで補うべく、HP Serviceguard for Linuxなどを提供していくという。x86用のHP-UX開発の予定はない。
2つ目としては、「想像を超える顧客体験を提供する製品」を続々発表するという。これについては詳細をまったく明らかにしなかったが、スペック至上主義を改め、コスト削減ではなく新ビジネスの創出を進める提案をしていきたいとしている。
3つ目は「ITの新たな活用方法を模索するコミュニケーション施策」。日本HPは2011年、データベース改革推進アライアンスやサーバ・ストレージ・ネットワーク製品向けパートナープログラムの拡大を進めてきた。これらの継続的な拡大に加え、製品別に形成されているユーザー会の間の交流を促進。これにより、例えば大学などの持つHPC関連ノウハウを金融リスク計算システムに応用するなど、ユーザー間の交流を生かして新しいITの使い方を模索していきたいという。
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