サービスの売上比率を徐々に高める
EMCの2012年事業戦略、完全従量課金サービスなどが目玉に
2012/01/27
EMCジャパンは2012年、ストレージ利用量に基づく従量課金サービスを開始し、コンサルティングサービスを強化するなど、「サービス」活動を全般的に強化していく。1月26日に同社が開催した事業説明会で、代表取締役社長の山野修氏が説明した。
山野氏は、IT業界で今後、従来型のハードウェア/ソフトウェアの売り上げが減少し、パブリッククラウドサービスだけでなく「広義の」サービスに置き換わると予測されていることを指摘。同社でもコンサルティングや製品導入を含めた広義のサービスがすでに売り上げ全体の40%を占めているが、3年後には50%に増加するとの見通しを明らかにした。
EMCは全社的にIT変革(クラウド)、トラスト(セキュリティやガバナンス、災害対策)、ビッグデータの3つを注力分野としている。EMCジャパンは今年、それそれの分野で、提案力の向上や人材育成のための活動を強化していく。
まず、IT変革については、新たな従量課金サービス「Storage Management Service(SMS)」を国内で開始する。このサービスにより、ユーザー企業は、社内に設置したEMCストレージを、利用量に基づいて使用料として支払うことができる。EMCジャパンはすでに、ユーザー企業がストレージを資産として持たなくていい従量課金サービス「オープンスケール」を提供している。これと新たに提供するSMSとの違いは下記のとおり。
オープンスケール
- ストレージはリース会社の資産となる
- 貸し出し容量として最低限のベース容量を設け、ユーザー企業は一定額をあらかじめ支払う。それ以上は従量課金
- サービス対象はハードウェアに限定
- ストレージのディスクドライブは、購入時に一定の容量を設置・導入する
Storage Management Service(SMS)
- ストレージはEMCの資産となる
- 貸し出し容量はゼロからスタート、完全な従量課金
- サービス対象はハードウェアのみ、運用管理サービスのみ、ハードウェア+運用管理サービスから選択可能
- 完全な従量課金であるため、ユーザーとSLAを結び、契約に基づいた運用を行う。容量の追加やSLAに基づく運用などはGB単価に含まれている
- EMCとユーザーの間で契約期間中のビジネスプランを作成し、利用量の推移とSLAに基づき、必要に応じてEMCが容量を追加する
また、より上位レイヤの動きとしてEMCジャパンは、顧客がリアルビジネスをクラウド化して新たなビジネスを創出するための支援を始める。その第1弾として、1月に「クラウドビジネスサロン」という新たな「協創フレームワーク」を立ち上げたという。
ビッグデータについての興味深い動きとして、データ・サイエンティストの育成がある。同社は国内で、2012年中にデータ・サイエンティスト・トレーニングコースの提供を開始するという。データ・サイエンティストとは、「データの山のなかから、宝を見つける」(常務執行役員ストラテジー・アライアンス統括本部長の徳末哲一氏)仕事。数学、統計の知識に、自らの見出したものを可視化して表現する能力も求められるという。
ビッグデータというと、ソーシャル系サービスのデータ解析がよく話題になる。こうしたデータを、各企業が社内に取り込んで解析する必要があるかどうかについては、意見の分かれるところだ。ソーシャルデータ解析サービスを使えばいいのではないか。徳末氏も、特に初期の段階ではサービスを利用するユーザーが多いだろうと話す。しかし他のデータと組み合わせるなど、高度な、あるいはきめ細かな分析が求められるようになってくると、社内にソーシャルデータを取り込んで解析するケースが増えるだろうという。一方、解析サービスについても、ユーザーニーズに合致した使い方をするための手助けをEMCとして提供していきたいと、徳末氏は語った。こうした支援は無償で提供する場合もあるし、商流に絡む形で提供することもあり得るという。
3分野を通じて、同社はコンサルティングサービスを強化する。コンサルティング部門は100名規模に増強するという。
ITインフラに関するコンサルティングサービスは図のように、ストレージインフラだけでなく、クラウドの全体的な構築・運用にかかわるものが多くなっている。
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