L2をL3で自在にカプセル化して物理を超える
ネットワーク仮想化のNiciraがベールを脱いだ
2012/02/07
「ネットワーク仮想化」の米ベンチャー企業、Nicira Networks(ニシラネットワークス)が2月6日(米国時間)、ステルスモードを抜けて同社製品「Network Virtualization Platform(NVP)」に関するニュースリリースを出すとともに、同社Webページでの自社技術・製品紹介を開始した。
Niciraは、この同社初の製品を2011年7月に提供開始していたという。しかしこれまで同社は少数の顧客における導入に注力し、公には同社の技術や製品を詳しく紹介してこなかった。2月6日のニュースリリースでは、AT&T、eBay、Fidelity Investments、NTT、Rackspaceを顧客として挙げている。
Niciraのいうネットワーク仮想化は、クラウドサービス事業者などのマルチテナントIaaS環境におけるテナント間分離を典型的シナリオとしている。IaaSレベルでの「ハイブリッドクラウド」は、ユーザー企業の社内ネットワークと、IaaSサービス上に構築した自社専用の仮想データセンターとの間を、あたかも社内LANであるかのようにつなぐ必要があるが、これを自在に行えるようにするのが目的だ。
テナント間分離では、これまで、802.1Q VLANなどが使われてきた。しかしこれでは拡張性に問題があるほか、ユーザー企業の拠点まで一気通貫の仕組みが作れない。別途IPsecなどのトンネリング終端ポイントを設置し、これとつなげなければならない。
これを解決するため、Niciraでは仮想化ソフトウェアのハイパーバイザ上で(デフォルトの仮想スイッチに代わって)動く仮想スイッチを開発。これがレイヤ3トンネリングの終端ポイントとして機能する。現在、XenServer、KVM、VMware ESXに対応した仮想スイッチを提供している(ただし、ESXは正式サポートには至っていないようだ)。
動作のメカニズムは、以前「新たなクラウドネットワーキング規格、「VXLAN」とは」という記事で紹介したトンネリング(カプセル化)手法と同様だ。同社のホワイトペーパーでは、「(VXLANを含め)カプセル化フォーマットにはこだわらない」という表現も見られるが、この製品を日本で販売する東京エレクトロンデバイスによると、GRE、および同社独自のカプセル化技術の2つをサポートしているという。
NiciraはOpenFlowにより、この仮想スイッチ(「Open vSwitch」)を、同社独自のコントローラから制御する。コントローラはAPIで外部から制御できるため、例えばクラウドサービス事業者の仮想サーバプロビジョニングプロセスと連動した自動化が可能。
NVPのライセンス料金は、コントローラ、仮想スイッチといった製品別でなく、仮想ポート(仮想マシンのネットワークインターフェイス)単位で、使った分だけの従量課金によるサブスクリプション形式だ。
東京エレクトロンデバイスは、Niciraの国内初代理店として、ネットワーク仮想化の新しい分野にいち早く取り組んだこと、顧客における検証の計画・サポート、導入支援、サポートまで一貫して提供できること、仮想だけではなく物理ネットワークに関しても製品提供およびサポートが可能であること、などを強みとして販売していくという。また同社は、検証環境のPOCを、ユーザーが利用できるように公開していく予定としている。
関連リンク
情報をお寄せください:
- Windows 10の導入、それはWindows as a Serviceの始まり (2017/7/27)
本連載では、これからWindows 10への移行を本格的に進めようとしている企業/IT管理者向けに、移行計画、展開、管理、企業向けの注目の機能について解説していきます。今回は、「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」の理解を深めましょう - Windows 10への移行計画を早急に進めるべき理由 (2017/7/21)
本連載では、これからWindows 10への移行を本格的に進めようとしている企業/IT管理者に向け、移行計画、展開、管理、企業向けの注目の機能を解説していきます。第1回目は、「Windows 10に移行すべき理由」を説明します - Azure仮想マシンの最新v3シリーズは、Broadwell世代でHyper-Vのネストにも対応 (2017/7/20)
AzureのIaaSで、Azure仮想マシンの第三世代となるDv3およびEv3シリーズが利用可能になりました。また、新たにWindows Server 2016仮想マシンでは「入れ子構造の仮想化」がサポートされ、Hyper-V仮想マシンやHyper-Vコンテナの実行が可能になります - 【 New-ADUser 】コマンドレット――Active Directoryのユーザーアカウントを作成する (2017/7/19)
本連載は、Windows PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、「New-ADUser」コマンドレットです
|
|
キャリアアップ
- - PR -
転職/派遣情報を探す
「ITmedia マーケティング」新着記事
「イカゲーム」人気にドミノ・ピザも便乗 NetflixとCM共同制作の狙いは?
ケイト・トランブル氏がDomino’sのCMO(最高マーケティング責任者)に正式に就任して初...
2024年記憶に残った「生成AI活用事例」は? 課長以上に聞くマーケトレンド
アイブリッジは、マーケティング業務に携わっている従業員数100人以上の企業在籍の課長以...
IT部門にも教えたい 生成AIをマーケティングと営業に適用する最もふさわしいやり方
マーケティング、営業、カスタマーサポートなど顧客エンゲージメント領域における生成AI...