ネットワールドが「Atlantis ILIO Diskless VDI」を発表
ディスク要らずのデスクトップ仮想化、そのメリットは?
2012/02/08
ネットワールドは2月7日、「Atlantis ILIO Diskless VDI」を国内で3月下旬に販売・出荷開始すると発表した。ディスクレスVDIとは、文字どおりサーバに内蔵あるいは外付けのディスクストレージなしに、デスクトップ仮想化システムが構築できることを意味する。開発元の米Atlantis Computingは、デスクトップ仮想化構築コストの大きな比率を占めるストレージを不要とすることによりコストを引き下げると同時に、パフォーマンスを向上することで、デスクトップ仮想化の普及を促進できるとしている。
ILIO Diskless VDIは、同じ開発元による「Atlantis ILIO」の技術に基づく製品。ILIOについては、「デスクトップ仮想化を加速化する「ILIO」って何だ」で紹介した。仮想アプライアンスとして動作するILIOは、仮想マシンと共用ストレージの間に介在することで、I/Oの最適化によるパフォーマンス向上と、インラインの重複除外によるストレージ消費量削減を実現している。
今回のILIO Diskless VDIでは、サーバ機が搭載するメインメモリの一部領域をRAMディスクとして設定、従来の共用ストレージの代替として利用し、これに対してILIOのI/O最適化や重複除外の機能を実行する。RAMディスクには仮想デスクトップのイメージを置き、これを基にしてデスクトップ仮想化を実行する。仮想化ソフトウェアにはVMware vSphereを利用する(vSphereはサーバ上のフラッシュメモリから起動可能)。デスクトップ仮想化製品としてはCitrix XenDesktop、VMware Viewをサポートする。文書ファイルなどのユーザーファイルは、別途ファイルサーバやNASを用意して、これに保存することになる。
デスクトップ仮想化で共用ストレージ、ローカルのSASディスク、SSD、RAMディスクをILIOとの組み合わせで利用した場合のコスト・パフォーマンス比較を、Atlantisでは次の表のように示している。コストもさることながら、デスクトップ仮想化では一般にストレージがボトルネックとなり、パフォーマンスをスケールさせにくいという点を補うのが、この製品の重要な目的だ。ネットワールドの代表取締役社長 森田 晶一氏も、「デスクトップ仮想化の最大の障壁は、コストよりエンドユーザー・エクスペリエンス」と話している。
ILIO Diskless VDIの役割は、サーバ上のメモリのRAMディスクを、一般的なデスクトップ仮想化における共用ストレージの代わりとして現実的に使えるようにするところまで。従って、この上でどのようにデスクトップ仮想化を構成するかは自由だ。しかし、ユーザーの仮想デスクトップ起動時に必要な数だけ複製して実行する(ノンパーシステント・デスクトップ)方式を使えば、RAMディスクとして割り当てるメモリ量は少量で済み、かつ消費が安定するので、Atlantis Computingおよびネットワールドは、この方式を推進する。ユーザーごとに別個の仮想デスクトップイメージを保存・管理するパーシステント方式もできないわけではないが、拡張が困難になるからだ。
なお、ノンパーシステント型であっても、ユーザーごとにアプリケーションなどをその場で統合するような、高度なパーソナライズが可能になりつつあるが、これについてもRAMディスクの容量を大きく消費しないかぎりにおいて併用が可能。例えば個別のアプリケーションについては、XenAppやThinAppのアプリケーション・ストリーミングを別サーバから実行することが考えられる。
Atlantis Computingでは、集約率や拡張メモリモジュールによるメモリ容量拡張の容易さなどから、シスコのUnified Computing System(UCS)をILIO Diskless VDIのデフォルトサーバとしている。ネットワールドも、当面はシスコのUCSと組み合わせたソリューションを国内で推進していくという。
ネットワールドは、ILIO Diskless VDIによるソリューションの1デスクトップ当たりの概算価格を明らかにしている。ILIO Diskless VDIを使ったソリューションは、ハードウェアのみで約2万円、ソフトウェア込みで約6万円。これに対し、従来型のストレージを使った場合はハードウェアのみで3〜4万円、ソフトウェア込みで7.5〜8万円になるという。
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