拠点に残されていた「エッジサーバ」を仮想化
WAN越しのiSCSI処理を高速化、リバーベッドが新製品
2012/02/23
リバーベッドテクノロジーは2月23日、WAN越しにiSCSIでストレージI/Oをやり取りできるようにする新製品、「Granite」を発表した。サーバ仮想化やデスクトップ仮想化を導入してシステムをデータセンターに統合してもなお、拠点に残されているエッジサーバがある。Graniteを活用すれば、そうした残されたエッジサーバについても統合が可能になるという。同社はこのコンセプトを、「エッジ仮想サーバインフラストラクチャ(エッジVSI)と表現している。
同社の主力製品は、WAN最適化製品「Steelhead」だ。サーバ仮想化によって、拠点ごとに置かれていたサーバをデータセンターに統合すれば、コスト削減などのメリットが得られるが、WAN越しのアクセスがどうしても遅くなる。Steelheadシリーズはこうした部分に対し、サーバへの接続を高速化するとともに、帯域制御やセキュリティコントロール機能を提供。各地の拠点に散在していたサーバの集約、統合を支援する役割を果たしてきた。
しかし、CADやスキャン画像の管理サーバなど、データ量が多く重たい処理が必要なサーバとなると、Steelheadでも対応が難しかった。また、WAN回線の障害などによって可用性が損なわれるのを嫌うケースもあり、まだ多くのサーバが拠点側に残っているという。「いくつかの調査によると、拠点側に置いてあるサーバやストレージは、データセンターに置かれているそれよりも多い。かといって、そのまま拠点に置いておけばいいかというと、制御や管理、コストの問題などがある」(同社 マーケティング本部 マネージャー 伊藤信氏)。
Graniteは、この残されたサーバまでも統合し、「すべてのリソースをデータセンターに集約するという新しい統合プロジェクトを推進する」(伊藤氏)ための製品だ。
既存のSteelheadシリーズでも、NFSなどアプリケーションレベルでファイル読み出し/書き込みを高速化することはできた。しかし、データベースへのクエリなど負荷の高い処理となると、対応が困難だったという。Graniteは、iSCSIによってブロックレベルでデータを書き込みすることによって、この問題を解決するという。
Graniteは、データセンター側に配置するアプライアンス「Granite Core」と、拠点側に置く「Steelhead EX」にソフトウェアとして導入する「Granite Edge」という2つの要素から構成される。この2つの間で、iSCSIを介してブロックレベルでデータを転送する仕組みだ。加えて、キャッシュやプリフェッチ(先読み)、非同期書き込みといった技術を組み合わせることで処理を高速化。拠点側からは、あたかも手元にサーバがあるかのようにアクセスできるという。
Graniteの出荷時期は、2012年第1四半期中の予定だ。
なおリバーベッドは同時に、既存のSteelheadシリーズを再編。WAN最適化機能に特化した「Steelhead CXシリーズ」と、VMware ESXを搭載し、Graniteなど複数のサービスを搭載できる上位モデル「Steelhead EXシリーズ」の2種類を発表している。
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