シマンテックのデータ保護製品が新バージョン
NetBackup 7.5は「100倍の高速化」でバックアップ統合目指す
2012/02/27
シマンテックは2月23日、バックアップソフトウェアの新製品「Symantec NetBackup 7.5」を発表した。ここでは、記者説明会後に、同社幹部にインタビューした内容も含めてお伝えする。
バックアップ統合が、新バージョンの最大のターゲットと、米シマンテックの情報管理グループ担当 シニア バイス プレジデントのディーパック・モーハン(Deepak Mohan)は強調する。企業における仮想化が進行し、全社的なIT統合への流れが進みつつある。全社的IT統合あるいはプライベートクラウド化のメリットの1つは、ITの調達や管理の統合を通じた効率化と社内サービスとしての質の向上だ。バックアップについても、システム/アプリケーションごとにばらばらの方法を継続していたのでは、管理コストの全社最適化につながらないし、バックアップの信頼性や業務ニーズへの対応を進められない。
では、バックアップ製品では、全社的なバックアッププロセスの統合化に耐えられるような機能を提供しているのか。シマンテックが今回の新製品で実現した、バックアップの「100倍高速化」は、この課題への回答の1つだ。
この高速化は、通常のフルバックアップとの比較による。新版では、差分バックアップ後にそれまでのフルバックアップデータと自動的に統合する機能を搭載した。すなわち通常は(リストア所要時間を短縮するため)時々実行しなくてはならないフルバックアップが不要になるため、バックアップ時間が短縮できるわけだ。
新バージョンでは、バックアップ対象がWindows環境(NTFS)の場合、さらにバックアップ所要時間を短縮できる。一般にバックアップソフトウェアは差分バックアップを行う際、変更ブロックの確認のため、まず対象ボリューム全体をスキャンする必要がある。新バージョンではNTFSの変更ブロック追跡情報を取得することで、このスキャン作業が不要になった。
サーバ仮想化への対応も進化した。VMware vSphere 上で稼働するExchange、SharePoint、SQL Serverについては、個々のデータベース、個々のファイル、個々の電子メールの単位でデータをリストアできるようになった(「アプリケーションGRT」)。仮想環境と物理環境の一元的な管理もバックアップ統合も可能だ。
クラウドストレージサービスへのバックアップは、これまでNirvanix のサービスのみに対応していたが、今回新たに、AT&T、Amazon Web Services、Rackspace のクラウドストレージサービスを利用できるようになった。
モーハン氏は、NetBackupの最大の強みの1つとして、重複排除機能の高度化を挙げる。NetBackupでは、バックアップクライアントとメディアサーバのどちらでも重複排除が可能。新バージョンでは、重複排除のデータ容量制限がこれまで32TB だったものを、64TB に拡張した。興味深いのは、各社ストレージ製品の重複排除機能との連携だ。シマンテックは各社のストレージ製品とのAPI連携を通じ、NetBackupからストレージ製品側の重複排除を活用できるようにしてきた。ユーザー企業にとっては、バックアップクライアント、メディアサーバ、ストレージのいずれにおいて重複排除をするかを、ニーズに応じて選ぶことができる。
他社ストレージ製品との連携では、スナップショットの透過的なバックアップを新たに実現した。今回対応しているのはネットアップのストレージのみだが、「これによってネットアップが実現できていないテープへのバックアップという新たな選択肢を提供できる」とモーハン氏は話した。
すなわち、企業が導入しているストレージ製品などの機能を生かせるようにしながら、バックアップ製品はNetBackupに統一することを推進するのが、シマンテックの中堅・大企業向けバックアップ製品戦略だ。
シマンテックは、国内販売パートナーとの連携も深めている。記者発表では富士通がNetBackupを、同社の大企業向け推奨バックアップ製品だと宣言したのをはじめ、富士通、日立製作所、NECの3社が販売、および自社ストレージ製品との連携でシマンテックとの協業を深めていくと話した。
シマンテックにとって、日本は世界で唯一、バックアップ市場でCA Technologiesの後塵を拝している市場だという。だが、日本法人代表取締役社長の河村浩明氏は、(まだ発表されていない)IDC Japanの2011年後半におけるバックアップ市場分析レポートでは、CAを抜いたはずと話している。
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