RHEL 6をミッションクリティカルシステム向けサポートの対象に
レッドハット、RHEL 5/6のライフサイクルを10年に延長
2012/04/11
レッドハットは4月11日、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)5/6」のライフサイクルを、標準でこれまでの7年から10年に延長することを発表した。米国では1月31日に発表していたもので、「より多くの柔軟性と選択肢を提供し、IT部門が変化を管理できるよう支援する」(米レッドハット副社長兼プラットフォーム事業部門長 ジム・トットン氏)。
ライフサイクルは、新機能/新ハードウェアすべてに対応する第1フェーズ、主要なハードウェアのサポートやバグフィックスを提供する第2フェーズ、セキュリティパッチや重大な問題の修正を提供する第3フェーズの3段階からなる。サポート期間が全体として延長されることにより、既存のシステム資産を保護しつつ、最新リリースへのアップグレードやハードウェア更改などのタイミングを調整できるようになる。
同時に、2008年から提供してきたRed Had Advanced Mission Critical Program(AMC)の対象を、RHEL 6にも拡大することも明らかにした。AMCにおけるRHEL 5のサポート期間も13年間に延長し、2020年までサポートするという。
AMCはミッションクリティカルシステム向けのオプションサポートプログラムで、富士通、日立製作所、NECとの協業で提供する。問い合わせに対する応答時間の迅速化や重要な問題に関するプロアクティブ通知といった、通常のサポートに比べ高度なサービスレベルを提供するほか、特定のマイナーリリースについて、独立したライフサイクルを提供する。
レッドハット 代表取締役社長の廣川裕司氏は、このライフサイクル拡大により「50年以上続いてきた、メインフレーム主体の日本のIT市場が変わる」と述べ、既存のメインフレームやUNIX市場からの移行を狙う考えを示した。
ユーザー企業代表として登場した三菱東京UFJ銀行 常務執行役員の村林聡氏は、「10年前からLinuxを基幹システムに適用するというチャレンジに取り組み、仲間作りをしながら、情報共有を進め、コミュニティと話し合いながらニーズを訴えてきた。今回の取り組みはそれに応えてくれるものだ」と述べた。
村林氏は「今回のライフサイクル延長は、EOL(サポート終了)問題による負担を減らし、戦略的投資を可能にするもの」と歓迎し、JBOSSなどのミドルウェアについても、同様のライフサイクル延長に期待したいと述べた。また、日本電信電話 研究企画部門担当部長の木ノ原誠司氏も、基盤プラットフォーム変更のたびに検証にリソースを割かざるを得なかったアプリケーション開発者の立場から、「EOL問題の解決に期待したい」と述べている。
「今回の発表により、基幹システムにLinuxを採用することが、チャレンジではなく当たり前の選択肢になる」(村林氏)。
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