シトリックス、「Pay as You Grow」のネットワークプラットフォーム
3方向でキャパシティを拡張、「NetScaler 10」
2012/04/20
シトリックス・システムズ・ジャパンは4月19日、「Citrix Cloud Vision 2012 Spring」を開催した。これに合わせて行われた記者説明会では、米シトリックス・システムズのクラウドネットワーキングプラットフォームグループ 製品担当ディレクター、モーガン・ゲルハルト氏が、新製品「Citrix NetScaler 10」について説明した。
Citrix NetScalerは、アプリケーション負荷分散や高速化、仮想デスクトップ配信やWebアプリケーションファイアウォールといった機能を提供するネットワーク製品だ。物理アプライアンスだけでなく、仮想アプライアンスの形でも導入できる。
NetScaler 10は、「TriScale」と呼ばれる機能を実装する。文字通り、3つの方法でパフォーマンスの拡張を可能にするものだ。
NetScalerはこれまでも「Pay as You Grow」という形で、使った分だけ支払うモデルを提唱してきた。TriScaleはその考え方をさらに推し進めるものだ。ハードウェアを拡張することなくライセンス追加のみで性能を最大5倍まで拡張できる「スケールアップ」、クラスタリングによって最大32倍まで拡張する「スケールアウト」に加え、仮想アプライアンスをNetScaler SDXプラットフォーム上に統合する「スケールイン」という手法を追加し、「物理的なフットプリントは小さいまま、最大40のインスタンスを、それぞれ独立した形で動作させることができる」(ゲルハルト氏)。
ゲルハルト氏は、従来型のデータセンターは拡張性や柔軟性に欠けていたと指摘。「特にネットワークは、ストレージなどに比べても遅れを取っており、キャパシティを上げるのが困難だった」(同氏)。これに対してTriScaleを実装したNetScaler 10は、「必要に応じてキャパシティを追加できるクラウドネットワークプラットフォームだ」(ゲルハルト氏)という。
また、トラフィックをリアルタイムに監視し、それに基づいてポリシーコントロールを実現する「ActionAnalytics」も搭載する。ユーザーやURLごとのトラフィックを把握し、必要に応じて帯域の確保や制限といったアクションを取ることが可能だ。「インフラをもっとインテリジェントに、柔軟なものにできる」とゲルハルト氏は説明した。
なお、4月3日に発表した「CloudStack」のApache Software Foundationへの移行についても説明があった。米シトリックスシステムズ クラウドプラットフォームグループ プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのペター・ウランダー氏は、理由の1つにライセンスを上げた。オープンソースから得られた派生物もコミュニティに還元し、公開することになるGPLよりも、その所有を許容するApacheライセンスのほうが、パートナーや顧客にとってよりよい選択肢だと説明した。
また、Apache Software Foundationが進めているTomcatやHadoop、Cassandraといったほかのプロジェクトに参加できることも理由の1つであり、こうしたプロジェクトからのフィードバックをCloudStackに反映させていくという。
こうした取り組みを通じて、CloudStackとそのポータルサイトの上に、さまざまなサービスを展開できるようにし、パートナー各社によるPaaSの基盤として活用してもらう。そしてそれが「CloudBridge」を介してほかのクラウドと連携していく、というのが、同社のビジョンだという。
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