低価格なスターターキットを発表

日本HP、3PARをミッドレンジでも主力製品として推進

2012/04/27

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は4月26日、同社の3PARストレージの値下げとスターターキットの発売を発表した。@ITの質問に対し、「これは第1弾」と、日本HP 執行役員 エンタープライズサーバーストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂氏は答えた。

 杉原氏が言うのは、3PARを、ハイエンドからミッドレンジ分野での同社SANストレージの主力として推進する取り組みの第1弾だということだ。HPは「HP P6000 Enterprise Virtual Array(EVA)」というファイバチャネルストレージをミッドレンジSANストレージとして展開してきたが、ミッドレンジで今後伸びる企業内の全社ストレージ統合ニーズには、EVAでなく3PARで対応していくと、同氏は明言した。

 3PARは、同名のベンチャー企業が生み出したストレージ製品で、2010年9月の買収により、HPの製品となった。同製品は、先駆的にシン・プロビジョニング機能を実装したほか、容量とパフォーマンスの容易な拡張をはじめとして、ストレージの設計・運用プロセスを高度に自動化している。一般的に自動化は制御性の犠牲のうえに成り立つが、3PARでは仮想LUN単位でサービスレベルを制御する機能を提供する。同製品はまた、独自設計のASICを搭載し、これにシン・プロビジョニングの処理機能を組み込むなど、高速性や信頼性に配慮したつくりともなっている。これまで企業内の大規模インフラや、高機能クラウドサービスで導入されてきており、HPは現在も3PARを「クラウドストレージ」と表現している。

hp01.jpg メッシュ型のスケールアウト・アーキテクチャが特徴

 上記のような3PARの特徴は、幅広い分野に適用できる可能性があるものの、これまでは最低でも約1000万円からという価格の高さから、顧客層が限定されてしまっていた。元3PARマーケティング担当副社長のクレイグ・ヌネス氏は、HPによる同社買収後に、@ITに対して「3PARは、HPのストレージ事業におけるメインストリーム製品になる」と話していたが、その後もハイエンド顧客のための製品というイメージを払しょくするような動きは見られなかった。

 日本HPは今回、パッケージ製品「HP 3PAR Fクラス スターターキット」を提供開始するとともに、既存モデルの「HP P10000 3PAR Vクラス」「HP 3PAR Fクラス」で平均15%の価格引き下げを行った。

 スターターキットは、「HP 3PAR F200 スターターキット」(577万5000円から)、「HP 3PAR F400 スターターキット」(682万5000円から)の2種類を提供。いずれもファイバチャネル・ハードディスクドライブを9.6TB搭載するなど、決め打ちの構成により、価格を抑えた(基本的な構成は決まっているものの、SSDを追加したいなどのカスタマイズ要望にも応えられるという)。

3par02.jpg 伊藤忠テクノソリューションズ、エフタイム、新日鉄ソリューションズ、日商エレクトロニクス、日本ビジネスシステムズ、パナソニックソリューションテクノロジー、横河レンタ・リース、菱洋エレクトロが発表に同席した

 スターターキットで構成を基本的には固定化することで、納品までの期間を大幅に短縮することもできるという。しかし、これによって販売パートナーの存在価値が減るということではなく、アプリケーションなど、各販売パートナーがそれぞれ強みとする活動に専念できるという点で、大きなメリットをもたらすものだと強調した。3PARは、国内でもHPに買収される前に複数の販売パートナーを得ていたが、日本HPではさらにパートナーネットワークを拡大している。

 今回発表のスターターキットは、日本で企画されたものだが、全世界に展開されていくという。

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(@IT 三木泉)

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