VMware View新版はパフォーマンス向上、物理環境とも連携
ヴイエムウェア、エンドユーザーコンピューティングで集中発表
2012/05/07
ヴイエムウェアは5月7日、デスクトップ仮想化製品「VMware View」のマイナーバージョンアップ版である5.1を含む、エンドユーザーコンピューティング関連の新製品を国内発表した。ヴイエムウェアは仮想化をベースに製品を提供してきたが、昨年よりポストPC時代に向けて、仮想化の枠を超えた製品やサービスを推進し始めている。VMware View 5.1以外の今回の発表も、この動きの一環だ。
ヴイエムウェア日本法人の代表取締役社長である三木泰雄氏は、同社が3月に発表したエンドユーザーコンピューティング関連の国際調査結果に触れ、日本では私有端末を業務で利用しているとの回答がアジア太平洋地域でもっとも低い22%だったと話した。その理由を示唆するものとして、企業がセキュリティ上の懸念から、業務用端末を制限しているとの回答も多かったという。しかし、裏を返せば、業務アプリケーションを多様な端末に対応させると同時にセキュリティを確保できる適切な手段があれば、企業としては逆に個人所有端末を生かして、より柔軟な業務環境を実現できることになる。
三木氏は、既存の社内Windowsアプリケーション、社内Webアプリケーション、SaaS、モバイルアプリケーションなど提供形態が多様化する業務アプリケーションおよびファイルと、個人所有を含めた各種の端末とをn対nで結び付け、管理する仕組みをヴイエムウェアは提供していくと、改めて説明した。
VMware View 5.1は第2四半期中に販売開始の予定。注目される新機能は「VMware View Persona Management」。Windowsのユーザープロファイルを、仮想デスクトップだけでなく、物理Windowsも対象としてVMware Viewで統合管理できるようになった。これにより、物理Windowsマシンユーザーの仮想デスクトップへの移行、および物理Windowsと仮想Windowsデスクトップの併用が容易になる。
新バージョンでは、パフォーマンス改善も図っている。ハイパーバイザVMware ESXi 5で新たに提供されたインメモリの読み込みキャッシュ機能(「コンテンツ・ベース・リード・キャッシング」)を活用できるようになった。これによりストレージへのI/Oを減らせる。ほぼ同時に多数の仮想デスクトップを立ち上げる際にパフォーマンスが大きく劣化する現象(「ブートストーム」)への対策として有効という。一方、PCoIPの改善により、サーバCPU使用率を低減。サーバ当たりのユーザー数増加につながった。WAN経由でのレスポンスも、さらに改善したという。
管理性の改善については、新機能、「VMware View Composer Array Integration(VCAI)」により、View Composerによる仮想デスクトップのプロビジョニングで、ストレージ装置が備えるクローニング機能を直接利用できるようになった。また、仮想デスクトップ環境専用の管理ツール「VMware vCenter Operations for VMware View」が新たに提供される。この管理ツールを使うと、PCoIPをはじめとするVMware Viewのパフォーマンス分析が容易になるという。ユーザーを特定した分析も可能。サービスレベルの確保や復旧、コスト最適化について、プロアクティブな対応がやりやすくなるという。当面はVMware Viewに含めず、別の製品として提供する。
Project Horizonで2製品を発表
ヴイエムウェアは、上記の三木氏のコメントにもあるように、各種のアプリケーションと端末をエンドユーザーが柔軟かつ一貫した環境下で利用できる一方、企業としての統合管理も可能にするための製品群を、「Project Horizon」として開発している。
Horizon App Manager 1.5は、さまざまな種類のアプリケーションに対する「App Store」的なアプリケーション・カタログ機能、シングルサインオン、アプリケーションの利用状況管理などを実現する製品。すでに英語圏では早期アクセス顧客向けに提供開始済みだが、これまではユーザー企業内で稼働するソフトウェアと、ヴイエムウェアが提供するサービスの組み合わせで提供してきた。新バージョンでは、すべてのコンポーネントをユーザー企業の社内で稼働できるようになった。また、新バージョンでは、社外のSaaSに加え、Thin Appで配信されるアプリケーションもシングルサインオンの対象となった。なお、Horizon App Manager 1.5は、VMware Viewとは独立した製品として、第2四半期中に提供される。
Project Horizonの一環として、さまざまな端末間で一貫したファイルの利用環境を提供するエンタープライズ向けのDropbox的サービスとしてヴイエムウェアが提供を約束していた「VMware Project Octopus」は、限定ベータ版が第2四半期中に提供開始される。VMware Horizonとのユーザーインターフェイス面での統合度は、現在のところ不明だ。
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