将来はソーシャルネットワーキングと連携?
EMCがDropboxライクなサービスを買収、その目的は
2012/05/24
米EMCは5月21日にSyncplicityの買収を発表した。これはDropboxやBoxに似た、ファイル同期/共有サービスを提供する企業。EMCのインフォメーション・インテリジェンス部門プレジデントであるリック・デベヌッティ(Rick Devenuti)氏は@ITに対し、日本語を含む主要言語への対応作業を即座に開始すると話した。
オンラインサービスという観点でいえば、EMCはMozyというサービスを買収し、提供している(現在はEMCの子会社であるヴイエムウェアが運用を担当)。しかしMozyはデータバックアップサービス。ファイル同期サービスのSyncplicityは、これとはまったく別の取り組みとして展開していくという。また、ヴイエムウェアは、同社のデスクトップ仮想化/クライアントコンピューティング事業で、「VMware Project Octopus」というプロジェクトを進めている。Octopusでは、各エンドユーザーに対し、端末に依存しない仮想ワークスペースを提供する一環として、Dropbox的なファイル同期機能を開発中だ。Syncplicityは、Octopusと機能がかなり重複する。しかし、デベヌッティ氏は、この2つの統合もあり得ないと@ITに語った。「Octopusは企業内で動作するソフトウェアとして提供される。これに対してSyncplicityはサービスだ」。
EMCの独立子会社となるSyncplicityは、「エンタープライズ版」Dropboxともいえるサービス。個人向けのサービスも行っているが、企業向けサービスに力を入れている。SAS70 Type II準拠をはじめとしてデータセキュリティに気を使う一方、SharePoinやSalesforce.com、Google Appsとの連携を大きな特徴としている。つまり、例えばユーザーが自分のPC上のSyncplicityフォルダにファイルを保存するだけで、職場で契約しているGoogle Apps上のGoogle Docsの同一名フォルダに自動的に複製される。Google Docsでこのファイルを編集して保存すれば、加えられた修正はユーザーPC上の同一ファイルに反映される。
今回の買収の重要な目的は、同社のドキュメント/コンテンツ管理製品「EMC Documentum」との連携だと、デベヌッティ氏はいう。もちろん、ある企業がDocumentumで管理しているドキュメントのすべてを、Syncplicityによるファイル同期の対象とするわけではない。ドキュメントのサブセットを、オンライン/オフラインにかかわらず社内のユーザーで共有し、自在に閲覧・編集できるようにしていく。
Documentumは社内導入型のソフトウェアに加え、サービスとしても提供されている。EMCは今後もコンテンツ利用・共有のユーザーインターフェイスとして、Documentumを推進していく。Documentumが将来、ソーシャルネットワーキング系のサービスやソフトウェアと連携していく可能性はないのかと聞くと、デベヌッティ氏は「もちろん考えている」と答えた。
現在のDocumentumは基本的に、ユーザーが自分の利用する情報を探していく形態だ。しかし、社内で自分と仕事をしている他のユーザーが、どの情報をよく利用しているのか、自分が知っておくべき情報は何なのかをリアルタイムで把握できること、すなわち各ユーザーの仕事の「文脈」に応じて、自動的に情報を提示できるようになるために、ソーシャルネットワーキングとの連携が必要だとデベヌッティ氏は説明した。
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