ストレージOSのスケールアウト機能を強力プッシュ
ネットアップ、新たなテーマは「アジャイル・データインフラ」
2012/06/20
ネットアップは6月20日に実施した事業戦略説明会で、段階的なスケールアップとスケールアウトを実現するFASシリーズの共通機能を通じ、「アジャイル・データインフラ」を実現していくことを、新年度のテーマとして掲げた。
代表取締役社長のタイ・マッコーニー(Ty McConney)氏は、2012年度(ネットアップの会計年度は5月から4月まで)のグローバルでの売り上げが前年度比22パーセント増加し、FASシリーズは、オープンシステムストレージ市場で15パーセントのシェアを獲得したという。日本での売り上げも23パーセント増加したと報告した。
マッコーニー氏は、これまでネットアップの成長の原動力となってきたFASシリーズの共通OSであるData ONTAPが新たな役割を担い、新たなイノベーションを提供する段階に入ったという。このことを表現するためにネットアップが提示する新たなキーワードが「アジャイル・データインフラ」。企業のデータセンターは個別に運用されるアプリケーションを残しながらも、ネットワークストレージによる情報共有が進み、さらに仮想化基盤が整備されつつある。これらのデータのほとんどを統合的に管理できる基盤として機能することが、FASシリーズとData ONTAPの今後の役割なのだという。
「競合他社がユニファイドで追いついてこようとしているが、われわれはその先を行く」(マッコーニー氏)。Data ONTAPでは、コスト削減、効率化、常時稼働、(ノンストップでの)アップグレード、スモールスタート、自由な拡大といった要素を機能として実装し、アジャイル・データインフラを実現できる唯一のベンダとして活動していくのだという。
上記の戦略を実現する柱といえるのが、Data ONTAP 8.0で搭載された「Cluster-Mode」。単純にいえばストレージのスケールアウトを実現する機能だ。ネットアップは、コントローラユニットの交換のみで、データを動かすことなく上位機種に移行できるスケールアップ機能を、以前より提供してきた。これに加え、Cluster-Modeでは、段階的なスケールアウトを実現する。スモールスタートしながら、必要に応じてストレージ装置を並列に追加することで、単一のストレージ装置としての容量と性能を拡張していくことができる。
Data ONTAPは、FASシリーズの上位機種から下位機種まですべてに搭載されているストレージOSであり、Cluster-Modeはその標準機能。このため、FASシリーズの複数機種を組み合わせて、あたかも単一のストレージ装置であるかのように運用できる。また、他社ストレージ装置の前段に配置して、これらを仮想化できる装置「NetApp Vシリーズ」もData ONTAPを搭載している。このため、他社のストレージを統合し、単一のスケールアウト可能なストレージクラスタとして運用できる。
Cluster-Modeでは、複数のストレージ装置にまたがって論理的なストレージ領域を構成し、これを論理的に分割して使える。そして個々のボリューム/LUNを別個のストレージアクセスプロトコル(NFS、CIFS、iSCSI、ファイバチャネル、FCoE)で利用させることができる。こうした仕組みを活用して、多様な用途のためのデータ管理を統合できれば、ストレージの利用効率を高めて無駄を省くことが可能だという。
新たな物理ストレージ装置を追加した場合には、この論理的なストレージ領域を延長することが可能。ストレージ装置の追加と領域の拡張はダウンタイムなしで行え、データは追加したストレージ装置を含めて分散・平準化することができる。あるストレージ装置を入れ替えたい場合にも、その装置上のデータ(ボリューム、LUN)を、同一ストレージクラスタの別の装置にいったん移動し、装置を入れ替えた後に戻すという作業を、ダウンタイムなしに実行できる。どちらの場合もダウンタイムがないことに加え、アプリケーションやユーザー側の接続設定を変更する必要がないという点がポイントだ。
ネットアップでは、スケールアウトとスケールアップの双方を組み合わせられることを、自社の強みとして推進する。ただし、遠い将来には、スケールアウトがデフォルトで使われるようになっていくだろうと、マッコーニー氏は話している。
販売面では、東京に一極集中している現在の国内売り上げ構成を改善するため、大阪、福岡、名古屋の営業所を通じた販売支援活動を強化するという。アジア各地に進出する顧客のサポート強化も新年度の重要なテーマ。テクニカルサポート機能は中国の大連から国内に移行した。これを踏まえて、サポートサービスも強化していきたいという。
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