仮想化技術の普及を背景に、プロアクティブな管理も視野に

必要なネットワーク管理機能をシンプルに提供、米ソーラーウィンズ

2012/07/26

 「より少ない人員で、より多くの複雑化したタスクをこなさなければならないIT部門に、パワフルなツールを提供する」――。米ソーラーウィンズでは、エンタープライズ向けネットワーク管理ソフトウェアを提供している。エンジニアリング担当エグゼクティブバイスプレジデント、アジアパシフィック担当ジェネラルマネージャーを務めるダグ・ヒバード氏は、同社の目的についてこのように語った。

 ソーラーウィンズは、ネットワーク管理にはじまり、ストレージリソースやアプリケーション、ログおよびイベント管理に至るまで、幅広いITシステム管理製品を提供しているベンダだ。5月30日には、主力製品であるネットワーク管理ソフト「SolarWinds Network Performance Monitor(NPM)」の日本語版の提供を開始した。並行して、仮想化環境やモバイル機器といった新たな分野にも手を広げている。

solarwinds01.jpg 米ソーラーウィンズ エンジニアリング担当エグゼクティブバイスプレジデント、アジアパシフィック担当ジェネラルマネージャー ダグ・ヒバード氏

 SolarWinds NPMはエージェントレス型のネットワーク管理ツールだ。インストールすると、ネットワーク内を自動的にスキャンし、どこにどういったネットワーク機器があるかを把握する。そしてSNMPやWMIを介して各機器の死活監視ならびにパフォーマンス監視、統計情報の収集などを行う。さらに、リソースどうしの関係性や依存性を把握して、障害時の問題切り分けを支援する機能も備えている。

 オンプレミスの環境だけでなく、クラウドにまたがって監視、管理することも可能だ。米国のクラウドサービス事業者、Rackspaceも同社のツールを採用しているという。

 SolarWinds NPMは「Orion」というプラットフォーム上に構築されており、その上にモジュールを追加することで、VoIP/WANのSLA監視やネットワーク構成の変更管理、ユーザーデバイスの管理やIPアドレス管理といった機能を追加できるようになっている。いずれも共通のコンソールから管理でき、アラートやレポートも共通だ。

 とはいえこうした管理機能ならば、既存のネットワーク管理ツールも提供済みだ。SolarWinds NPMの特徴は、それをシンプルな形で、かつ優れたコストパフォーマンスで提供していることだとヒバード氏は述べた。

 「日立のJP1やHP OpenView、あるいはCAやTivoliの製品は多機能で知名度も高く、パワフルだが、非常に複雑だ。インストールするにはコンサルタントを交えて数カ月単位の時間がかかってしまう。これに対しSolarWindws NPMは、同等の機能を使いやすい形でローコストに提供する。パッケージをインストールしてから監視を始めるまで、1時間もあれば十分だ。ありとあらゆる機能を提供するわけではなく、IT担当者にとって本当に必要な情報を提供する」(同氏)。

 同時に、無償で利用できる評価版を提供することで、従来のIT管理製品の手が届かなかった中堅中小企業や部門単位での導入につなげていきたいという。

 将来的には、よりプロアクティブに、障害が起こる前にそれを検知できるようにしていきたいとヒバード氏は述べた。仮想化技術が普及してきたいま、この課題はより深刻になっているという。「仮想化技術の普及によってデプロイが簡単になったが、それゆえにどこにどういったリソースがあるかが把握しにくくなってきた。そこで、リソースの利用状況に基づいて兆候を把握したり、仮想化されたリソースの最適化を図れるようにしていきたい」(同氏)。

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(@IT 高橋睦美)

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