機能追加/強化は180以上、Hyper-Vも進化

クラウドOSへの移行を推進、「Windows Server 2012」提供開始

2012/09/05

 日本マイクロソフトは9月5日、企業内システムからプライベートクラウド、パブリッククラウドまで、多様な企業システムのニーズに対応するサーバOSの新製品「Microsoft Windows Server 2012」(以下、Windows Server 2012)を、パートナー企業各社とともに9月から提供開始したことを発表した。すでにボリュームライセンスの販売を9月1日から開始しており、9月26日からパッケージ製品の販売を開始する。

server201201.jpg 日本マイクロソフト 執行役 マーケティング&オペレーションズ ゼネラルマネージャー マイケル・ビール氏

 今回の発表にあたり、日本マイクロソフト 執行役 マーケティング&オペレーションズ ゼネラルマネージャーのマイケル・ビール氏は、「『Windows Server 2012』は、今年度の注力分野である“デバイス”“クラウド”“ソリューション”すべてに関わっており、『Windows 8』『The new Office』と並んで当社の新たな時代を拓く3大製品の1つとして位置づけられる」と、その重要性を強調した。

 「IDCの調査によると、2012年第1四半期、『Hyper-V』が仮想化市場でトップシェアを獲得した。また、当社は世界最大のクラウドサービスプロバイダとして、これまでにさまざまなサービスを展開してきている。こうした実績をベースに、Windows Server 2012では、昨年の2倍となる過去最大級の投資を行い、パートナー企業とともに、この新しいクラウドOSへの移行を推進していく」との考えを示した。

 続いて、日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の梅田成二氏が「Windows Server 2012」の製品概要について説明した。

server201202.jpg 日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 梅田成二氏

 「Windows Server 2012」は、企業内の小規模なサーバから大規模なクラウド環境までのさまざまなニーズに対応するため、前バージョンの「Windows Server 2008 R2」に比べ、180以上の新機能の実装と機能強化が行われている。その中から梅田氏は主な機能強化点として、(1)仮想化の進化、(2)クラウド連携、(3)さらなるコスト削減、(4)事業継続オプション、(5)モバイルワーク――の5つをピックアップし、それぞれ強化ポイントを紹介した。

 まず、仮想化の進化では、さらなるスペック向上と高速化を図った新しい「Hyper-V」を搭載。最大320基の論理プロセッサ、4TBの物理メモリ、仮想マシンごとに最大1TBのメモリ、64基の仮想プロセッサのサポート、クラスタ環境で最大4000台の仮想マシンを実行などの機能強化によって、より広範なスケーラビリティと安定したパフォーマンスを実現する。

server201203.jpg

 「新しいHyper-Vでは、競合他社の仮想化ソフトを上回るスペックを実現し、一歩先を行くパフォーマンスを提供する。また、シェアードナッシング環境でのライブマイグレーションが可能となり、従来のようにクラスタ構成を組む必要がなくなった」(梅田氏)。

 クラウド連携では、ネットワークの仮想化機能を強化。「これにより、1つの物理ネットワークを複数ユーザーで専有するマルチテナントを実現できる。また、Windows Azureのサービスと社内のデータベースやドメインコントローラなどのシステムを簡単かつ安全に接続し、Windows Azureと社内システムが同じネットワーク上にあるかのように利用することが可能となり、オンプレミスとクラウドを容易に連携できるようになった」(梅田氏)。

 さらなるコスト削減としては、ストレージの仮想化と重複除去機能を提供する。具体的には、データの増加に素早く対応する複数の物理ドライブの集約や、物理ドライブの容量を超えた記憶域を実現する「仮想ディスク」、同じデータをまとめて、より効率的にディスクを活用する「データ重複除去」によって、ストレージ利用量の低減、およびコスト削減を実現する。

 事業継続オプションとしては、新たに「Hyper-V レプリカ」機能を提供する。「この機能は、ライブマイグレーションの仕組みを活用したもので、稼働中の仮想マシンのバックアップを複製し、定期的に同期を行う。バックアップは異なるハードウェアでも可能で、WAN越えにも対応する。万が一、稼働中の仮想マシンが停止した場合は、バックアップした仮想マシンからフェイルオーバーできる」(梅田氏)。

 モバイルワークについては、サーバに搭載されたGPUを仮想化し高品位なグラフィックスをクライアントに転送するRemoteFXによって、RDP 8.0のさらなる高速化を図った。また、仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)の構築支援機能を利用することで、Windows 8のマルチタッチ機能に対応したスレートデバイスを使って新しいモバイルワークスタイルを実現する。

 Windows Server 2012のエディションは、「Datacenter」「Standard」「Essential」「Foundation」の4つ。EssentialとFoundationは、仮想化権限を含まないSOHO向け製品で、Essentialはクラウド環境、Foundationはオンプレミス環境での利用に適したエディションとなっている。DatacenterとStandardは、ともにすべての機能を搭載。Datacenterは無制限の仮想インスタンスを使用可能、Standardは2つの仮想インスタンスを使用できるエディションとなっている。

 ボリュームライセンスの参考価格(税別)は、Datacenterエディション(CPUライセンス)が92万5000円、Standardエディション(CPUライセンス)が17万円。Foundationエディション(サーバライセンス)はOEM提供のみとなる。5クライアントアクセスライセンス(CAL)はユーザーあるいはデバイスライセンスで3万2600円。

 なお同社では、Windows Server 2012を円滑に導入できるよう、ハードウェア、ソフトウェア、システムインテグレーション、クラウドサービスなどさまざまなサービスを提供する50社(2012年9月5日現在)の「Windows Server 2012 導入支援パートナー」と密接に連携し、顧客の導入を支援する。

 併せて、Windows Server 2012の導入促進を目的に「ここに“未来”を搭載せよ」キャンペーンを9月5日から開始した。このキャンペーンは、Windows Server 2012を導入することによるメリットなどを顧客に提案するもので、同日から掲載される広告に加えて、ポータルサイト(http://www.microsoft.com/ja-jp/server-cloud/ws2012/)を開設し、パートナー各社の最新情報や導入支援情報を紹介していく。

(@IT 唐沢正和)

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