ゲーム向けのWhispersyncも
KindleはAmazonコンテンツ消費端末としての機能を強化
2012/09/07
米アマゾンは9月6日(米国時間)、Kindle、Kindle Paperwhite、Kindle Fire、Kindle Fire HDといった製品群を発表した。Kindle Fireの価格が159ドルとなったのも注目だが、見逃せないのはアマゾンが、コンテンツをアマゾンから購入あるいは取得してKindle製品群で利用するためのユニークなサービスを強化したことだ。端末よりもサービスの付加価値を訴求するモデルへの移行をさらに進めている。
例えば「X-Ray for Movies」というサービスが発表された。これはアマゾンのKindle StoreのAmazon Instant Videoというストリーミングサービスで購入した映画を、Kindle Fire HDの新製品で視聴中に、画面をタップ、あるいは再生を一時停止するだけで、そのシーンに登場している俳優の情報がポップアップするというもの。その俳優の経歴や、出演している他の映画のリストが見られ、そのなかからウォッチリストに登録できる。アマゾンにとっては映画コンテンツの消費を促進する効果がある。
米国の映画データベースWebサイトIMDbとの提携で実現したサービスで、現在のところこのサービスに対応したタイトルは「数千」に限られる。最終的にはすべての作品で対応することを目標に、今後数を増やしていくという。
Kindle Touchでは以前より、「X-Ray」という機能を提供している。これは電子書籍の任意のページで、タップをすることで開くメニューから、小説の登場人物名や、概念などの単語を抜き出し、書籍のどの部分に頻出するかを示す機能。今回これが、「X-Ray for Books」と名称を変え、Kindle Fireでも使えるようになった。
「X-Ray for Textbooks」というのもある。教科書の巻末にある用語解説を、その用語が登場する本文で見せ、さらにWikipediaおよびYouTubeの関連コンテンツを表示する。
オーディオブック用には「Immersion Reading」という新機能が提供される。電子書籍の読んでいるページとオーディオブックのナレーションを同期させるサービスだ。読者は同じ個所を「読みながら聞く」ことができる。
ゲームのためのWhispersyncとは?
アマゾンは「Whispersync」という機能を提供してきた。電子書籍やKindle形式に変換された個人ドキュメント、Amazon Instant Videoのストリーミングビデオで、利用を中断した個所から別の端末で再開できるというもの。
今回は「Whispersync for Games」という新機能が加わった。これは他のWhyspersyncとは毛色が違うが、モバイル端末の買い替えやゲームの再インストールで、ゲームを最初からやり直さなければならないという不便さを解消するもの。ユーザーの到達レベルをオンラインに保存しておき、新しい端末に変わった場合でもそこから再開できるという。
Whispersyncではさらに、「Whispersync for Voice」という新機能が追加された。これもオーディオブックのための機能で、Kindle Fireで読んでいた電子書籍を、中断したところからオーディオで再開できる機能。オーディオで聞くためにはKindle Fire HDでBluetoothを使うか、スマートフォンの専用アプリを使う。
コンテンツ側での新たな試みの1つは、Amazon Publishingが提供を開始する「Kindle Serials」。このサービス専用に企画・執筆された連続小説を、エピソードごとに定期的にKindle端末に送り込む。テレビの連続ドラマのように、読者は次の展開の予想などを、オンラインフォーラムで話し合って盛り上がれるという趣向だ。
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