拡大、複雑化するネットワーキングに対応
VDXなど高密度スイッチ新製品を投入する米ブロケード
2012/09/19
米ブロケードは9月中旬に「Brocade Analyst and Technology Day 2012」で、データセンタースイッチVDXシリーズの新製品「VDX 8770」と、コアルータMLXeの高密度モジュールを発表した。最大のテーマは高い密度と拡張性による投資効率の向上だ。
10月に提供開始のVDX 8770は、同社のファブリックスイッチVDXシリーズの最上位機種となる。データセンターネットワーキンググループ担当バイスプレジデント、ジェーソン・ノレット(Jason Nolet)氏は、「競合他社は、ローエンド、ハイエンド、あるいはミドルレンジに偏っている」と語り、新製品によって業界で最も広範なファブリックスイッチ群を提供するベンダになったと説明した。「顧客はトップオブラックスイッチ2台から始め、大規模ネットワークに拡張していける」。ファブリックスイッチは階層型に構成されなければならない従来型のスイッチとは異なり、(STPを使った)障害対応の際にしか使われないスイッチを用意しておく必要がないため効率的で、Electronic Artsのネットワーク管理者が管理者パスワードを忘れてしまったと表現するほど自動化されていると話した。
VDX 8770は4スロットと8スロットの2製品で構成される。最多で38万4000のMACアドレスに対応。ラインカードは48×10G、48×1G、12×40Gが使えるため、8スロット版では最多で384ポートの構成ができる。また、最多で24台のスイッチを1ファブリックとして構成できるため、ファブリック全体では8000ポート以上の構成を実現できる計算になる。また、「業界で最低のポート間レイテンシ3.58マイクロ秒を、インターフェイス速度に関係なく実現している」という。
ノレット氏は、技術進化で陳腐化しないことも、新製品の特徴だと説明した。シャーシは4Tbpsのバックボーンを備えており、高密度な100Gbpsラインカードが今後登場した際にも、ラインカード交換だけで利用できるという。また、「VXLANやNVGREをはじめ、さまざまな新技術が登場する。スイッチのASICに、こうした新しいトンネリングプロトコルを、妥協なしにサポートする機能を作り込める必要がある。こうした新たなプロトコルの利用を、ラインレートでの転送や、深いパケットインスペクションと両立させなければならない」。プログラマブルASICを採用したVDXシリーズは、この点でも優れているとする。
ノレット氏は3つのレイヤでのマルチパス接続を、重要な独自機能として紹介した。レイヤ2では、ファブリックスイッチングのベースとしてECMPによるマルチバス接続を提供しているが、レイヤ1でも、ファイバチャネルに関するブロケードの独自技術から発展したフレームのストライピングができる。レイヤ3では、レイヤ3ネットワークへの複数のゲートウェイを通じて、マルチパスを提供できる。
一方、コアルータのMLXeでは24ポートの10Gbpsイーサネットモジュールを提供開始したと発表した。これにより、単一のシャーシで768の10Gbpsポートが構成できる。また、64ポートを束ねたリンクアグリゲーションも可能。100Gbpsのモジュールはすでに提供されている。こうした高密度のMLXeをMPLSで相互接続することで、BGPによるIPルーティングを使わずに、シンプルなアーキテクチャの「スーパーコア」を構成できるという。
MLXeルータとそのモジュールではブロケードのOpenFlow Hybid Modeに対応している。また、2013年にはVXLANゲートウェイ機能を搭載する予定。MLXeルータにおける、柔軟なテナント分割、およびマルチテナント・トラフィックをWANにつなぐ役割を、これらのSDN技術により強化していく計画だ。
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