Analysis

クラウドはITエンジニアの仕事をどう変えるか

2009/06/24

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 クラウド化が進むと、ITエンジニアの仕事は大きく変化するのだろうか。それともたいした変化はないのだろうか。

 ここは@ITを読んでいただいている皆様のご意見をうかがうのが一番ということで、ぜひ会議室にご意見をお寄せいただきたいと思います。

 とはいえ、「クラウド」という言葉で何を意味するか、その今後の普及をどう見るかによってこの問いへの答えは大きく左右されるので、私なりの考えを述べてみたいと思う。

 社内ITインフラのクラウド化という動きもあるが、今回は社外の「クラウドサービス」業者の利用を考えたい。このなかにはHaas、IaaS、PaaS、SaaSを含むことにする。

 このように広義にとらえれば、クラウドサービスの利用が今後大幅に増加していくことは間違いない。特に中小企業では以前もこのコーナーで書かせていただいたように、電子メールやグループウェア、ネットワークセキュリティなどをサービスに依存する率が高まっていくはずだ。大企業でも、Exchange ServerなどをSaaSとして利用するケースは増えてくるだろう。すると、企業におけるこうしたアプリケーションの導入ビジネスは減る可能性がある。

 一方で、企業規模の大小を問わず、開発やある程度大きなカスタマイズを伴う業務アプリケーションについてはどうだろうか。

 Amazon Web Servicesのような仮想マシンホスティングサービスが今後企業向けに進化し、業務アプリケーションの土台としてのITインフラ運用をこうしたサービスにまかせるケースが増えてくるだろう。ただし、複数企業間で利用するアプリケーションが先行し、完全に社内向けの業務アプリケーションサーバを外部の業者に運用委託する動きはその後になるだろう。現在でも、複数企業が共用する業務アプリケーション用のサーバを、外部の業者が運用代行するケースはよくある。サーバ仮想化技術の活用により、これがより安価に、より多くのアプリケーションでやりやすくなってくる。

 完全に社内向けの業務アプリケーション用サーバをクラウドサービスに運営委託する動きがどれだけ進むかは、業務アプリケーションを社外のサーバで動かす際のネットワークコスト、サービスレベル確保の困難さ、ユーザー管理を含むセキュリティ管理の面倒さといった課題をどう解決できるかに左右されるだろう。

 課題はあるものの、仮想マシンホスティングサービスの利用が企業に普及すればするほど、社内におけるサーバ機自体の運用にかかわる業務は減ることになる。しかし、OSやアプリケーションの導入・運用については従来と大きく変わることはないはずだ。もちろん、こうしたサービスを業務アプリケーションの開発や検証で使うことで、期間の短縮化や省力化、コスト削減が図れるメリットは大きいが、ITエンジニアの業務内容自体が変わることはあまり想像できない。

 PaaS的なサービス(あるいは業務アプリケーションをある程度自由にカスタマイズしたうえで、SaaSとして利用できるサービス)は、ITエンジニアの仕事に大きな影響を与える可能性がある。カスタマイズがどれだけ簡単かにもよるが、社内のITシステム部門が従来型の開発のマネジメントでなく、カスタマイズ作業そのものを行う場合が出てくるだろう。また、システムインテグレータの仕事も、これまでのような開発に代わって、カスタマイズにおけるユーザー企業の支援を請け負うケースが増えてくる可能性がある。こうなってくると、システムインテグレータのビジネスへの大きな影響も考えられる。

 読者の皆さんはどうお考えだろうか? ぜひご意見をお寄せください

(@IT 三木泉)

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