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第1回 OOTコミュニティ座談会

開催日時 2002年5月23日(金)
場所 NTTコムウェア本社
会議室

ソフトウェア技術者に対してオブジェクト指向技術、コンポーネントベースのソフトウェア開発手法を啓蒙することを目的としたコミュニティ「OOTコミュニティ」は、発起人であるNTTコムウェア株式会社、日本ラショナルソフトウェア株式会社、株式会社コンポーネントスクエアの3社がアットマーク・アイティのDevelpment Styleコーナーを支援する形で活動している。
今回は3社のトップが集まり、現場におけるオブジェクト指向開発の現状と、これからの課題について議論した。(司会:株式会社コンポーネントスクエア 木下恵一)

参加者
NTTコムウェア株式会社
取締役 ビジネスイノベーション本部ビジネス企画部長
長野宏宣


株式会社コンポーネントスクエア
代表取締役社長
田村俊明


日本ラショナルソフトウェア株式会社
代表取締役社長
齊藤肇

オブジェクト指向開発は現場に普及し始めたのか?

司会:昨年の11月に3社で「OOTコミュニティ」の設立を宣言してから半年がたったわけですが、まずは皆様の感想ならびに自由なご意見をお聞かせ願います。

田村:コンポーネントスクエアが昨年の11月にOOTコミュニティの発起人として参加したとき、オブジェクト指向を広めないことには、今後のシステム開発ができる技術者が増えないという危機感がありました。 あのときと現時点を比べてみると、オブジェクト指向に対する関心は相変わらず高いのですが、まだまだ興味のレベルに止まっていて、どうやって使うのかという段階まではレベルアップしていないと感じています。この興味を次のレベルに上げるというアクションを起こせると面白いなと感じています。

NTTコムウェア株式会社
取締役 ビジネスイノベーション本部ビジネス企画部長
長野宏宣 

長野:半年前と比べると、NTTコムウェアでは社内外で大きな進歩がありました。社外では、EJBコンポーネントに関するコンソーシアムの立ち上げに参加していた上に、今年はコンポーネントスクエアの経営にも参加しました。

 これらの外部の動きに対して、社内でも啓蒙活動をずっとやってきたわけですが、現在では、弊社社長もオブジェクト指向を採用した開発が非常に大事だという気持ちを持っていますし、昨年の秋くらいから動いている複数の試験的プロジェクトを通して良い物だと実感した人たちが社内でも声を出し始めています。

 すでに社内ではEJBの流通組織もできていますし、特に若い人達の勢いがすごい。この動きは、途中で止められないという感じです。これらの大きな動きは、すべてこの半年で出てきました。また、最近では、銀行や証券系のお客様が、システム開発をJavaやオブジェクト指向でやりたいと言ってきています。一部で起こり始めたこれら具体的な動きをどう展開させていくかを考える時期になってきていると思います。

斉藤:日本ラショナルとして、ツールやRUP(Rational Unified Process)といったプロセスのサプライヤの立場から見ると、昨年の11月の時点では、まだ、ブームが広がりそうだなという感じはしても、本気で使っていくという感じではありませんでした。ところが、1月から3月にブームが加速されて、オブジェクト指向は特殊な分野ではなくなってきて、実際に大きなプロジェクトで採用するという状況になってきました。また、プロセスアセスメントをしっかりとやろうとするプロジェクトが増えてきたため、プロセスアセスメントができるエンジニアが足りなくなっています。

  世の中は不況ですが、SIをやっている部門の業績は堅調に推移しています。オブジェクト指向を活用して実際にどうやって利益を上げていくか、品質を上げていくか、納期を守るかということについて、いままで評価の段階から、企業のトップを巻き込んで真剣に議論され、方向性を見いだしてきたのが、昨年度後半から、この5月までの動きかなという気がします。

 いままでの開発方法であるウォーターフォール的なやり方は見直さなければならないというところにお客様も関心があります。ウォーターフォールは一番最後に結合したときに全部のリスクが出てきます。最後までやってみないとコストだって分からないというのではなく、最後の段階ではすべてのリスクはもう解決されている、というような作り方をしないと、今後の開発はうまく行かないということを、皆さん真剣に考えていらっしゃいます。開発のプロセス自体を変えるとともに、テスティングは自動化してしまおうというような動きに移ってきています。

 日本は欧米に比べてこの分野は非常に導入が遅れています。その分、一気に変わってくる可能性が非常に大きいなという感じがします。長野さんのお話にあったように、お客様の成功事例が世に出てくると、一気に変わってくるのではないでしょうか。うまくいっているのであれば、導入しないと行けないかなという雰囲気に、大手も変わって来ているという気がしています。

 最近の傾向として、システム開発のコストを下げる一環として、ツールを入れるというだけでなく、海外に開発拠点を作ろうとしています。では、その拠点に対してどうやって日本の仕様を伝えていくのかという話になると、やはりオブジェクト指向やUMLです。インドでも中国でもUMLを使わないと意志の疎通ができなくなっているのです。

オブジェクト指向開発をどう捉えているのか

田村:ところで、私が疑問に思っていることがあるのですが、実際に、エンドユーザーの方は本当にオブジェクト指向のメリットを理解してプロジェクトを進めているのでしょうか。

 変化への対応という危機感の中で、今更ウォーターフォール型開発は採用できない。だからやむにやまれずオブジェクト指向を導入しているのではないかという感じがするのですが。

株式会社コンポーネントスクエア
代表取締役社長
田村俊明

長野:例えば、NTTコムウェアが関わっているある大きなプロジェクトでは、単なる流行ではなくエンドユーザーも良くご理解いただけてきているなという感じがします。いまは、新しい事例をうまく成功させて「あんな分野でも適用できる」というサクセスモデルを世の中にアピールしていかなければならない時期だと考えています。まだ表には出てきていませんが成功事例はいくつか出てきています。

斉藤:全般的には田村さんの指摘の通りなのですが、個々の企業を見てみると、先進的な企業が徐々に出てきています。このごろではエンドユーザーがRFP(Request for Proposal)にUMLを指定して出すといった、2、3年前には考えられないことが出てきていることがあり、心強く感じています。

 ほとんどのエンドユーザーさんはウォーターフォールしか知らないが、欠点も分かっている。それを解決する方法があるのならやってみたいという気持ちは絶対にあると思います。まずは一部で試してみて、うまく行けば大きく導入という感じではないかなと思っています。開発プロセスを変えることで問題が解決できて皆が幸せになる。この解決策はイテレーション開発の中にあると思っています。

長野:そうは言っても、ウォーターフォールが向いている分野もあります。バッチ処理などはこれからもUMLを使わずに行くと思います。また、逆にリアルタイム系にはオブジェクト指向が使えないという意見がありますが、それは間違いです。リアルタイム系こそオブジェクト指向が向いている分野だと思います。いずれにしても、構造化とウォーターフォール型開発が向いているシステムもあるし、オブジェクト指向開発が向いている開発もあるという認識は必要ですね。

田村:今問題なのは、オブジェクト指向を使うことのメリットが証明・保証されていないことです。いまは、過去にコストがかかった部分を回避するためにリスクを冒す。本来はウォーターフォールを採用すること自体が大きなリスクなのですが、ほかに新しい物が出てきていない。それをある意味ブレークスルーするために、エンドユーザーからみたオブジェクト指向開発のメリットはどこにあるかというのを明確に言えるようになるのが、オブジェクト指向の普及のきっかけになると思います。

 ウォーターフォールは最後に負担がかかる仕掛けだが、オブジェクト指向のイタレーティブな形であれば、エンドユーザーも含めたメリットがある。それを証明することが次の段階に行くときのきっかけになるのかなという期待をしています。

長野:お客様の事例でいうと、ウォーターフォールでは表現できない・解決できないくらい要求事項が複雑化している。これをウォーターフォールでやろうとすると自殺行為ということが分かっているから、オブジェクト指向を導入して解決するしかないと先進的なエンドユーザーは明確に分かってきています。

 

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