富士通のPCサーバ PRIMERGY TX120 S2、その人気の秘密 〜 Windows Server 2008とコンパクトサーバの関係 〜 |
「コンパクトサーバ」という新たなジャンルを切り拓いた富士通のPCサーバ「PRIMERGY TX120」。2009年1月には新世代製品の「TX120 S2」が登場し、ユーザーにも地球にも優しく、障害に強いという同シリーズのメリットがさらに強化された。新製品で富士通は、サーバ仮想化を含むWindows Server 2008との組み合わせを、積極的に訴求していきたいという。サーバ仮想化とコンパクトサーバ、この一見意外な組み合わせに込められた狙いとは何か。
富士通のコンパクトサーバはどう使われているのか |
富士通のコンパクトサーバ「PRIMERGY TX120」が売れている。外見はサイズを含めてデスクトップパソコン相当。高さ340mmで机の上に軽く乗ってしまう。しかし外見からは分からないものの、サーバ機としての独自の設計がなされている点がポイントだ。
例えばメモリはECCメモリを最大16GB搭載可能。ハードディスクドライブも一般的なパソコンで使われるSATAドライブより高速で信頼性に優れるSASドライブをRAID構成で搭載できる。万が一ドライブが故障した場合には前面からの活性挿抜(ホットプラグ)が可能。標準搭載の遠隔管理機能も好評だ。
TX120では、多店舗展開のチェーンなどによる一括導入も目立つという。小型店舗では、設置スペースや動作音が大きな問題になるため、これまで一般のパソコンを使うしか選択肢のなかったケースが多い。TX120を導入することにより、スペースや動作音の要件を満たすと同時に、信頼性と集中管理のメリットが得られる。また、税理士事務所などの小規模なオフィスや病院などでも、コンパクトで静音というTX120の特性から、採用が進んでいるようだ。
富士通は1月、この人気サーバ製品をさらに強化した第2世代モデル、「PRIMERGY TX120 S2」を販売開始した。前モデルからの基本コンセプト「省電力」「省スペース」「静音」の3大特長をさらに強化した。
低消費電力、静音性、省スペースの3大要素は、すべて業界トップレベルだ(クリックで拡大します) |
特に目立つのは省電力性の強化だ。最大消費電力は120Wと、これまでのTX120に比べ31%も減少した。特に、3月31日までの期間限定で販売されているPRIMERGY TX120 S2キャンペーンモデルは、サーバ機として世界で初めて、国際エネルギースタープログラムの認定を受けた。この消費電力の低さは、同クラスの他社製品と比較しても明らかに優れているという。サーバは24時間365日動かすのが基本だ。省電力性能の差は、一般的な1WAYタワー型サーバと比較して5年間で約7.6万円の電力料金のコストダウンが可能だ。省電力はそのまま企業の環境貢献にも直結する。企業の環境貢献が求められている現在だからこそ省電力は重要なポイントである。
ディスク関連では、ディスクドライブを最大4台搭載できるようになった。従来機では、RAIDについては「なし」、あるいはRAID 1のみだったが、新モデルでは RAID 5のサポートを追加した。容量とコストのバランスを考えて、より幅広い選択肢から選べるようになると同時に、ホットプラグの利点をより気軽に使えるようになった。
コンパクトサーバとWindows Server 2008が 柔軟性と信頼性を両立 |
富士通では、このTX120 S2で、Windows Server 2008との組み合わせを特に推進していきたいと、同社 プラットフォーム技術本部 ソリューション技術統括部 プロジェクト課長 松島 秀男氏は話す。
富士通 プラットフォーム技術本部 ソリューション技術統括部 プロジェクト課長 松島 秀男氏 |
Windows Server 2008ではActive Directoryの機能強化の1つとして、「リードオンリー・ドメインコントローラ」(RODC)を使えるようになった。これは複数拠点をつなぐITを構築しているユーザー企業にはうれしい機能だ。
Active Directoryにおいて、ユーザー認証の作業をつかさどるのがドメインコントローラだが、各拠点のユーザーが全員、WAN接続越しに本社のドメインコントローラで認証を受けるのは、あまり使い勝手がよくない。そこで拠点ごとにドメインコントローラを置くようになるのが通常のパターンだ。しかし専任管理者がいないような拠点で、ドメインコントローラに不正な情報改ざんが加えられると、企業全体のActive Directory情報に影響が及ぶため、大変危険だ。
そこでマイクロソフトがWindows Server 2008で新たに搭載したのがRODC。拠点のドメインコントローラでは情報の読み出しのみを許可するようにすることで、安全に多拠点ネットワークを展開できるようになった。
「リスクの高い拠点には、スペースがないとか、サーバ機の騒音や熱を嫌うところが多い。そこでWindows Server 2008とコンパクトサーバTX120 S2を組み合わせて、信頼性の高いActive Directoryの環境を活用してほしい」(松島氏)。
RODCにはオペレーションミスを防ぐ目的もある、と付け加えるのはマイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server 製品部 プロダクトマネージャの田中 啓之氏だ。
RODCは全社的なActive Directoryのセキュリティを強化する(クリックで拡大します) |
「小規模な拠点にはITに詳しい管理者がいないことが多い。こうした管理者に、ドメインコントローラが管理する情報へのフルアクセスを与えてしまうと、誤って全社レベルの情報を消去してしまう可能性がある。実際にこうした問題が発生したケースもある。また、RODCでは、ユーザアカウントのパスワードをローカルに持たないような設定もできる。コンパクトサーバを求めるユーザーは、業務環境にサーバ機を設置できることにメリットを見出しているが、セキュリティに関する配慮が必要になる。万が一サーバ機が盗み出された場合も、ユーザアカウントのパスワードは記録されていないため、万一ディスクドライブの内容を解読されたとしてもセキュリティを担保することができる」(田中氏)。
Windows Server 2008は、ハードディスク全体を暗号化する機能「BitLocker」も搭載している。BitLockerを利用してハードディスクを暗号化しておくと、上記のようにサーバ機が盗まれた場合に、ハードディスク内の情報はシステムファイルを含めて完全に保護できるというメリットもある。
今後は中小拠点でもHyper-Vが普通になる |
Windows Server 2008で、富士通が今後に向け、特に注目するのはサーバ仮想化機能「Hyper-V」だ。1台のサーバ機で複数のOSやアプリケーションを動かせるため、あたかも数台のサーバ機があるかのように使える。
「当社のサーバはすべての機種で、Hyper-V対応済み。つまりTX120 S2は仮想化でも使える小さなサーバ、ということになる。2、3台のサーバをコンパクトにまとめ、コストダウンしたいというお客様ニーズに応えたい。また、Hyper-Vによる仮想化を推進するため、当社はマイクロソフトと共同で『富士通 Hyper-V™仮想化センター』を立ち上げている」(松島氏)
マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server 製品部 プロダクトマネージャ 田中 啓之氏 |
マイクロソフトの田中氏も、「小規模なオフィスでもサーバを2、3台持っているお客様も多く、これを1台にまとめたいというお客様の声をよく聞く」と話す。同氏は、中小規模の事業所におけるコスト削減ニーズが、今後サーバ仮想化の推進力になっていくだろうという。
Hyper-VはWindows Server 2008に標準搭載されている機能であり、利用を開始するには管理ツールでこの機能を有効にするだけでいい。つまり導入作業はほとんど不要といっていい。Hyper-V上で動かす仮想マシンのサーバOSの実行権も、Standardエディションで1つ、Enterpriseエディションで4つ付いてくる。現在運用しているサーバも、仮想化環境の管理ソフトウェアの「System Center Virtual Machine Manager」(SCVMM)の変換ツールを使えば、短時間で仮想マシンに変換できる。Hyper-Vは市場に提供されているサーバ仮想化ソリューションのなかで、最も敷居の低いものといって過言ではない。
サーバ仮想化は、環境の標準化にも活用できる。例えばTX120 S2を多く導入されている多店舗展開のチェーンの場合など同一のサーバ・アプリケーション群を利用させたい場合、共通の仮想マシンイメージを管理拠点で作成し、これに必要なカスタマイズを加えて、各業務拠点に送信するという運用体制が考えられる。仮想マシンは単なるファイルであり、これを受け取った業務拠点は、起動しさえすればいい。システム構成などに関する業務はすべて管理拠点側が担当し、業務拠点は利用だけに徹するような使い方が実現する。
いくつものシステムを集約しサーバ機を減らすことだけが、 サーバ仮想化のメリットではない。つまり、サーバ機上で動かす仮想マシンが1つだけであっても、システムの管理面や品質面からみてサーバ仮想化を活用するメリットが十分あるのだ。
TX120 S2は、標準添付の「ServerView」という分かりやすいハードウェア管理ツールで稼働状況をチェックできる。さらに、Windows Serverのイベントログにハード稼働情報を格納することができるので、富士通の統合管理ツール「Systemwalker」やマイクロソフトの「System Center Virtual Machine Manager」を中心とした「System Center」による遠隔・集中管理も可能だ。標準搭載のリモートマネジメントコントローラを活用し、サーバがハングした際に集中管理拠点に対して通報を行ったり、管理拠点側から遠隔的に再起動をかけたりすることができる。
この仕組みを利用して、富士通サポートセンターで顧客のサーバの状況を監視し、メモリやハードディスクで大きな障害が発生する前に部品を交換するサービスも提供しているという。
マイクロソフトの田中氏は、「特に拠点サーバを仮想化する場合、サーバ機が万が一落ちてしまうと、集約している分だけ業務に対する影響が大きくなってしまう。TX120 S2は、より柔軟な仮想化環境の運用を実現しつつ、ハードウェアの信頼性を確保している。マイクロソフトとしても次の仮想化の時代に向け、富士通との協力で一歩進んでいけるような製品になっている」と話した。
>>富士通 PCサーバ PRIMERGY(プライマジー)TX120 S2 製品詳細を見る
>>PRIMERGYのWindows情報
提供:富士通株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2009年3月26日
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