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@IT > EclipseでAmazon Webサービスを使うショッピングサイトを構築するには? |
この連載では、EclipseベースのJava IDE「MyEclipse」を使ってECサイトアプリケーションを作成していきます。インターネット食材通販の「オイシックス」のECサイト開発マネージャーの山下寛人氏が、開発のノウハウとMyEclipseの魅力を語ります。
EclipseプラグインやEclipseベースのIDE(統合開発環境)は数多くありますが、その中でもMyEclipseは、多岐にわたる機能を備え、それぞれの機能の完成度が高く、かつシームレスに連携できるようになっています。MyEclipseは、Java EE開発の敷居を下げてくれます。いわば、Java EE開発環境をワンストップで提供しているツールといってよいでしょう。 この連載では、優れた開発環境であるMyEclipseを使い、Java EEアプリケーションを作成します。MyEclipseは、Webサービス、JSP、Ajax、JSF、Hibernateといった技術を容易に利用できる機能を提供しています。これらの機能を使いながらアプリケーションを作る中で、MyEclipseのメリットを理解いただけると思います。 本連載で作成するアプリケーションは、簡単なECサイトです。インターネットで食材宅配サービスを提供している「オイシックス(oisix)」の商品を販売するサイトを作っていきます。
アプリケーションの作成に入る前に、まずMyEclipseについてもう少し詳しく紹介しましょう。MyEclipseのベースとなるEclipseは、いわずと知れたオープンソースのIDEです。IDEとしての完成度はEclipse単体でも非常に高く、機能拡張として多くのプラグインが公開され、好きな機能を組み合わせて拡張していくことができます。 しかし、無料で公開されているプラグインはなかなか納得できるほどの完成度のものがないのが実情です。また、プラグインを多数使えば使うほどインストールに手間が掛かり、組み合わせにあたってもプラグイン同士の相性や細かなバージョンの違いで困ることもよくあります。 筆者の会社でもEclipseを利用していますが、開発環境の構築にかなり手間が掛かっています。JSFやEJBのプラグインの機能もあまり充実していませんが、無償なので妥協して使っています。プラグインが同梱されたり、Java EE開発を簡単にするWTP(Web Tools Platform)が出たりしていますが、まだまだ物足りないのが実際のところです。 ■ 拡張機能がワンセットのEclipse=「MyEclipse」 Eclipseには上述のようなデメリットがありますが、MyEclipseは、あらゆるEclipseの拡張機能がワンセットになっていて、カバーしている機能の範囲が広い特徴を持ちます。また、インストールの手間が少なくて済むうえに、プラグインの相性に悩まされることもありません。
MyEclipseは有償製品です。しかし、非常に安価(スタンダード版:年間税込3990円、プロフェッショナル版:年間税込6825円)に提供されていますので、導入しやすいでしょう。個々の拡張機能も無償のプラグインとは比較にならないほど完成度が高く、使ってみれば、そのコストパフォーマンスの良さが理解いただけると思います。 MyEclipseはもともと米国Genuitec社で開発されていますが、国内では日立製作所がローカライズして提供しています。メニューの日本語化やヘルプの日本語化、ポータルサイト「日本語MyEclipseポータルサイト」で、日本語による情報提供が行われており、英語に自信のない方でも使えます。また、日立製作所のアプリケーションサーバ「Cosminexus(コズミネクサス)」との連携もシームレスにできるようになっています。
それでは、いよいよ今回開発するECサイトのシステムの概要を紹介します。冒頭で説明したように、オイシックスの商品を販売するECサイトを作ります。 ただ単にECサイトを作るだけでは面白くありませんので、Amazon Webサービスを利用して商品ページを作ることにします。オイシックスは、ほとんどの商品をAmazonに出品していますので、Amazon Webサービスからオイシックスの商品情報を取得できます。Webサービスを利用するには、WSDL(Web Services Description Language)からWebサービスクライアントを生成する必要がありますが、MyEclipseだとウィザードで生成できるのでとても簡単です。 さらにMyEclipseでは、Ajaxの開発支援機能も充実しています。これを利用して商品検索のライブサーチを作ります。キーボードの入力に合わせて、リアルタイムに検索結果を表示していくものです。ここでも検索機能や商品情報はAmazon Webサービスを利用します。 最後に、ECサイトには欠かせない購入フォームです。ここではJSFで購入フォームを開発します。MyEclipseでは、JSFのビジュアル開発も可能です。購入データのデータベースへの格納は、Hibernateを利用します。MyEclipseのHibernate開発支援機能も紹介します。加えて、ショッピングカートもごく簡単なものを作ります。 本連載では、以下の環境を前提として説明していきます。
さて、最初の目標、商品ページの出来上がりのスクリーンショットを以下に示します。
第1回では、ECサイト作成に入る前に、MyEclipseをインストールして開発環境を用意し、動作を確認するところまでを行います。
MyEclipseのインストールは非常に簡単です。最も簡単な方法としては、ネットワークインストールという方法があります。手順は以下のとおりです。
続いて、Pleiades(プレアデス)をインストールします。
なお、Pleiadesのバージョンは執筆時点(2008年1月現在)で1.2.0で、将来変更になる可能性があります。インストール方法についても上記から変更になる可能性があるので、解凍したファイル中のreadme.txtをご確認ください。 以上の作業でインストールが完了します。コマンドラインで「eclipse.exe -clean」と入力してMyEclipseを起動します。 ■ MyEclipseの起動とプロジェクトの作成 2回目以降にMyEclipseを起動する場合は、eclipse.exeをダブルクリックするなどして実行します。ワークスペースの選択ウィンドウが出るので、[OK]をクリックします。最初は「ようこそ」画面になります。
一番右の矢印、[ワークベンチ]をクリックします。[ワークベンチ]の画面に切り替わります。 [MyEclipse Java エンタープライズ]の画面になります。この画面が今後最も多く使うことになる基本の画面です。
あるいは、メニューから[ウィンドウ]→[パースペクティブを開く]→[その他]を選択し、[パースペクティブを開く]ダイアログから「MyEclipse Java エンタープライズ(デフォルト)」を選択し[OK]ボタンをクリックして、[MyEclipse Java エンタープライズ]パースペクティブを開くこともできます。
さて、それでは今回開発するアプリケーションのプロジェクトを作成しましょう。
メニューから、[ファイル]→[新規]→[プロジェクト]を選択します。[新規プロジェクト]ダイアログが開きます。
以下の画面6のように「MyEclipse」のツリーを開き、「Java エンタープライズ・プロジェクト」から[Webプロジェクト]を選択します。
[次へ]をクリックすると、[新規Webプロジェクト]ウィザードが起動します。プロジェクト名はお好みで命名して構いません。ここでは「myeclipse-sample」としておきます。[J2EE仕様レベル]には「Java EE 5.0」を選択し、[終了]をクリックします。
これでプロジェクトができました。左上の「パッケージ・エクスプローラー」に、「myeclipse-sample」という名前のプロジェクトができたのが分かると思います。プロジェクト名の左のプラス記号(+)をクリックして開いてみましょう。 「src」はJavaソースを格納するフォルダです。その下にライブラリーが2つあります。こちらは普段操作することはありません。その下に「WebRoot」フォルダがあります。これを開いてみると、「META-INF」「WEB-INF」「index.jsp」があります。ここのフォルダ構成はJava EEのwarのフォルダ構成と同じになっています。JSPやJavaScriptのファイルを配置します。
次に、このプロジェクトが自動的にアプリケーションサーバにデプロイされるように設定しましょう。ここでは、MyEclipseに付属のTomcatにデプロイします。なお、MyEclipseでは複数のアプリケーションサーバを管理できます。別途インストールしたアプリケーションサーバも登録しておけば同様の手順で自動的にデプロイする設定ができます。 メニューの下のアイコン(ポイントすると「MyEclipse J2EEプロジェクトをサーバーにデプロイ」と表示されるアイコン)をクリックします。[プロジェクト・デプロイメント]ダイアログが開きます。
[追加]をクリックします。[サーバー]のプルダウンメニューから「MyEclipse Tomcat」を選択します。デプロイ形式は、「展開ディレクトリー形式」と「アーカイブ形式」が選択できます。開発中は「展開ディレクトリー形式」の方が便利なので、そのまま[展開ディレクトリー形式]を選択します。[終了]をクリックします。[プロジェクト・デプロイメント]ダイアログに戻るので、[OK]をクリックします。 ソースコードの変更はリアルタイムにデプロイ先に反映されます。JSPやJavaソースを変更しても、いちいちデプロイ操作をする必要はありません。 ■ Tomcatの起動 次に、Tomcatを起動しましょう。メニュー下のアイコンの右の、下向き矢印をクリックします。プルダウンメニューが出るので、「MyEclipse Tomcat」をクリックします。右の[開始]をクリックします。
画面下のコンソールに、Tomcat起動のメッセージが出てきます。「Server startup in xxx ms」と表示されれば起動完了です。 ■ Tomcat稼働の確認 ― JSPの表示 デフォルトで配置されている、index.jspを表示してみましょう。メニュー下のアイコンをクリックします。URLの欄に、以下のように入力します。
デフォルトで用意されているindex.jspが表示されれば、成功です。
なお、上の画面11のようにindex.jspにアクセスする場合は、プロジェクト「myeclipse-sample」を右クリックし、[実行]→[MyEclipse サーバー・アプリケーション]をクリックすると、自動的にTomcatを起動し、Webブラウザを開いてページを開いてくれます。細かいですが、こういったちょっとした手間まで省いてくれるのがMyEclipseのよくできているところです。
次回は、AmazonのWebサービスのクライアントを作ります。
※本記事は、日立製作所の『日本語MyEclipseポータルサイト』に掲載された記事を許諾を得て、再構成したものです。 提供:株式会社 日立製作所 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT編集部 掲載内容有効期限:2008年3月31日 |
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