SOA対応した日立「Cosminexus」、開発効率3倍の根拠は
2006/2/28
日立製作所は2月27日、アプリケーションサーバを中心としたプラットフォーム製品「Cosminexus Version 7」を、4月27日から順次出荷開始すると発表した。Version 7ではサービス指向アーキテクチャ(SOA)の機能を強化し、ビジネスプロセスのフローを定義する製品やプロセス統合の実行環境製品をラインアップに追加した。日立はSOA対応を強化したデータベース製品「HiRDB」の新バージョンを6月にも出荷する予定で、情報基盤全体のSOA対応を進める。
日立製作所の情報・通信グループ ソフトウェア事業部長 中村孝男氏 |
日立製作所の情報・通信グループ ソフトウェア事業部長 中村孝男氏は同社のSOA戦略について「メインフレーム時代から培ってきたシステム構築のノウハウとエンタープライズ・サービス・バス、BPELなどの標準機能を融合させた」と説明した。
日立が考えるSOAは、プロセス統合とアプリケーション基盤、情報統合、運用統合で構成する。新たに追加した「uCosminexus Service Architect」はビジネスプロセスのフローを定義する開発ツール。業務アプリケーションの各機能をマッピングすることで、異機種環境のシステムを連携させることができ、ビジネスプロセスの柔軟な構築が可能になる。ビジネスプロセス定義、データ変換定義、サービス接続定義の各機能がある。
「uCosminexus Service Platform」は、uCosminexus Service Architectで定義したビジネスプロセスを統合し、実行するエンジン。ESB機能があり、Javaアプリケーションやメインフレームアプリケーション、.NETアプリケーションなどと広く連携させることができる。同事業部 ネットワークソフトウェア本部 第2ネットワークソフト設計部長 林重年氏はESBについて「大企業はメインフレームやJavaアプリケーション、帳票などの連携が多い。中堅企業はパートナー企業のERPとの連携があるのではないか」と述べた。
また同事業部 ネットワークソフトウェア本部長 阿部淳氏は「日立だけでなく、パートナーのソリューションとも相互に連携できる」として「プラガブルに連携するための基盤だ」と、連携の柔軟性を強調した。特に他社のESBと差別化するポイントとして、システム構築のノウハウを挙げて、「日立は長年システム構築の高信頼性を大事にしてきた。CosminexusこそがSOAへの実践的なアプローチを実現する」と述べた。
日立はVersion 7を使うことで従来製品と比較して開発効率が約3倍向上するとしている。林氏は「これまでのアプリケーション連携ではメッセージの変換、外部サービスとのアダプタなどの開発が必要で結構な工数がかかっていた。Version 7ではメッセージは内部のXML定義だけ、外部サービスの接続もSOAPなどの標準プロトコルを使うためプログラミングは必要ない」と、開発効率向上の理由を説明した。
日立はまた情報統合の新製品として、複数のデータベースのデータを仮想的に統合する「uCosminexus Information Federator」や、差分データをデータベース間で同期する「uCosminexus Information Replicator」も発表した。
uCosminexus Service Platformは441万円、uCosminexus Service Architectは42万円で、共に4月27日に出荷する。uCosminexus Information Federatorは283万5000円から、uCosminexus Information Replicatorは252万円から。6月30日に出荷する。日立ではCosminexusで2006年度に、国内アプリケーションサーバの市場成長率10%を上回る220〜230億円の売り上げを目指し、現在第2位の市場シェアをトップに押し上げることを狙う。
(@IT 垣内郁栄)
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日立製作所の発表資料
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