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@IT > デジタル変革が呼ぶ新たなIT需要 インテルのビジネス戦略 |
企画:アットマーク・アイティ
営業企画局 制作:デジタル・アドバンテージ 掲載内容有効期限:2004年7月29日 |
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2004年5月13日にインテルの投資アナリスト向け説明会「2004 Intel Spring Analyst Meeting」が米国ニューヨーク市で開催された。Intel Analyst Meetingは、春と秋の年2回、インテルのビジネス戦略や方針を説明するものだ。ここでは、2004 Intel Spring Analyst Meetingのプレゼンテーションの内容を基に、インテルのビジネス戦略を探ることにする。
あらゆる分野でIT技術の利用が急速に拡大している。いずれの国や政府も、その経済発展や競争力優位を得るには、IT利用が最重要課題であると認識し始めた。ドットコム・バブルがはじけた現在も、電子商取引は何兆ドルにも及ぶ巨大市場へと順調に拡大を続けている。インテルを始めとするIT先進ユーザー企業は、材料や資材の購入に積極的に電子商取引を利用しており、従来の書類作成やFAXを使った従来の取引形態はすでにIT技術によって置き換えられている。 インテル コーポレーション CEO(最高経営責任者)のクレイグ・バレットは、「世界規模で進むデジタル変革を受けて起こる次の旺盛なIT需要に応えるためには、基礎となる技術、アーキテクチャ、そして製品が必要だ。インテルは、いずれにおいても準備が整っている」と、さらなる成長への布石が打たれていることを強調した。さらにライフサイエンスや膨大なデータの解析など、強力なコンピュータ処理性能を必要とするアプリケーションも増加しており、インテルのシリコン技術への需要はますます高まっている。
インテルは、新たなユーザーのニーズを捉え、新規市場を刺激するために、たゆまぬ研究開発や業界に対する技術供与、他社との連携、標準化団体への参加などを通じて、エコシステムの構築も推進している。加えて、同社の戦略投資部門のインテル キャピタルを通して、重要な技術や製品を開発する有望なベンチャ企業に対して投資することで、エコシステムの早期構築を加速させている。
1990年代に成長を続けたマイクロプロセッサ市場セグメントは、出荷額ベースで2000年をピークに、急激に縮小した。しかし現在、マイクロプロセッサの出荷個数は最高を記録するまでに回復しており、停滞感は見られない。従来の先進企業によるIT利用に加えて国や政府、教育機関によるIT化や、コンピュータと通信の融合、家庭におけるデジタル・コンテンツの利用拡大で進むコンピュータとデジタル家電の融合も進んでいる。これらの好感材料に支えられ、マイクロプロセッサの処理性能に対する需要は増大傾向にあり、「マイクロプロセッサが成熟産業に達したという指摘は当たらない」とバレットは語る。 同様に、通信向け半導体市場セグメントのグラフを見ると、そのトレンドはマイクロプロセッサと状況は似ている。2000年のピークから大幅に縮小したものの、再び回復へと転じている。コンピュータ市場と比べると多少の後れの感はあるが、世界的なブロードバンドとワイヤレス技術の普及、独自仕様の機器から標準技術に基づくモジュラー・コミュニケーション・プラットフォームの採用といった動きによって再び伸び始めている。ワイヤレス技術の採用では、米国や欧州よりもアジアが先行しており、家庭へのブロードバンドの普及では日本の成長が著しい。 こうした市場環境を好機として捉え、将来への成長を維持するためには技術への投資を継続するしかない。まさにインテルは果敢な投資戦略を遂行しており、「2001年から2003年の3年間で、当社は研究開発および設備投資に280億ドルを投じた」とバレットは述べている。
インテルはこれまで、マイクロプロセッサの周波数の向上によって性能向上を図ってきた。しかし今後は、「周波数の向上に加え、ユーザーからの需要を生み出し、市場を刺激するよう、機能面での拡張を強化する。大量のデータ処理を高速化し、高度なセキュリティ機能を搭載する技術への対応を急ぐ」と社長 兼 COO(最高執行責任者)のポール・オッテリーニは語る。 インテルが2003年に投入したCentrinoモバイル・テクノロジも、ノートブックPCの新しい利用法を提供し、市場が拡大している一例として挙げられるだろう。インテルは、Centrinoモバイル・テクノロジの投入に合わせて、公衆無線LANアクセス・ポイントの普及を推進した。その結果、街中に多くの公衆無線LANアクセス・ポイントが設置され、空港や喫茶店などの外出先でインターネットに接続し、仕事をする環境が構築された。一方で、Centrinoモバイル・テクノロジによって、ノートPCの無線LAN機能の標準搭載化が加速され、無線LANカードを購入しなくても、無線LANが利用できる環境が整った。こうした利便性の高まりによって、さらに多くの人がノートPCを持ち歩くようになった。 もう1つ、インテルが注目するトレンドは、デジタルホームだ。すでに家庭でのコンピュータの利用は広く普及しているが、ブロードバンドに接続される世帯数は増加し、さらに家電機器のデジタル化が進んでいる。デジタルホームの実現により、デジタル家電製品とコンピュータは相互に接続され、映画や音楽、ゲーム、写真、インターネットなどさまざまなコンテンツを、いつでも、どこでも、あらゆる機器で楽しめるようになる。 2003年6月に設立されたデジタルホーム・ワーキンググループ(DHWG)には、インテルを始めとして、約140の企業が参加している(注:6月23日には、「設計ガイドライン Ver.1.0」を発表し、名称をデジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス(DLNA)に変更した)。DHWGは、コンピュータとデジタル家電、モバイル機器間のオープンな相互接続性を、業界標準技術に基づいて構築するための技術的な設計ガイドラインを策定し、有線/無線ネットワークに対応した機器の開発を促進している。 「デジタルホームの実現により、コンピュータと家電の融合が進み、家電製品の標準化が行われる」とオッテリーニは述べる。従来、メーカーが異なると接続できなかった製品でも、デジタルホームの取り組みによって相互に接続可能になるという。
次ページでは、Intel Analyst Meetingからコミュニケーション分野と投資戦略について取り上げることにする。
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