Loading
|
@IT > Microsoft Impossible 第1話 |
|
さて、まずは手始めとして、マイクロソフトでセキュリティ・パッチの公開を担当しているMSRC(Microsoft Security Response Center)に潜入することにした。あのパッチってやつにはオレも毎月泣かされてるからなぁ。仕事がら、オレのノートPCには機密情報が満載だ。本部もうるさく更新しろといってくるし…。まあ場合によっちゃあ国家転覆にもつながりかねない情報だから、気にするのは当然か。 「脆弱性」などというとそれらしいが、結局はソフトのバグだろう? 大企業のおごりにどっぷり浸った人間たちが、ユーザーの迷惑も知らずにのんきにやってるに違いない。フッ、このおれが鋭いメスを入れてやろうじゃないか。
ここがMSRCだな。メンバはざっと十数人といったところか。小太りの奥天(オクテン)と大男の小野寺というのがリーダー格のようだ(メモメモ)。来月のパッチは2週間後だ。どうやら米国本社から、来月公開分のセキュリティ情報の一報が届いたようだ。 さっそく、米国から届いたセキュリティ情報の確認や翻訳作業が始まった。ふーん、翻訳だけじゃなくて、分かりにくいところを修正したり、日本独自に情報を追加したりすることがあるのか。 今回調べて分かったことだが、数あるマイクロソフトの各国支社の中で、米国と共同で情報を作成したり、国内で情報を翻訳したり、独自情報を追加したりしているのは日本だけらしい。事前にパッチの動作確認もしているが、日本語版だけ特別に実施しているらしいな。他国では、自国語の翻訳もすべて米国本社にまかせていて、翻訳作業の時間差のため自国語での最終情報は、パッチ公開日から数日遅れで更新されるそうだ。「自国語版」の最終更新が行われるまでの間は、英語の情報を読んでくれということらしい。なっとらん。
月例パッチ公開を1週間後に控えて、セキュリティ情報の準備は佳境を迎えつつあるようだ。ドラフト版を何度も米国本社とやりとりしてブラッシュアップをしている。細部も見逃さない日本のユーザーを意識した情報追加や修正などを行っているようだ。「イエー」とかいって何事もアバウトなアメリカ人が作ったもんじゃあ、そのまま日本人に出しても受け入れられないからな…。
いよいよ月例パッチの公開日がやってきた。米国のパッチ公開日時は西海岸時間(ロサンゼルス時間)の火曜日早朝だが、16時間(サマータイム期間)の時差がある日本では、日付が変わった水曜日深夜が公開開始時刻だ。 準備しておいたページをサッと公開して、終わりなのかと思いきや、Webでの情報公開を開始したら、本番サーバから正しいパッチがダウンロードできるかどうか、全部チェックしている。こりゃ大変だ。今月は12件とパッチも多く、作業が終わったのは早朝6時ごろ。ごくろうさんです。
とうわけで、2週間にわたる潜入捜査を完了した。 これまで、日本語のセキュリティ情報が米国と同時公開されるのは当たり前だと思っていた。しかしこんな国は世界でも日本だけだそうだ。しかも、米国版にはない、日本独自の情報も追加しちゃったりしている。こういう実情を知ると、多少の誤植くらいは許してやろうという気になるものだ。 日本のWindowsユーザーの安全のために、陰ながら努力を続けるスタッフには頭が下がる。君たちの努力は決して無駄にはならないだろう。とはいえ、最初からバグがなけりゃいいんだけどね。
提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:デジタルアドバンテージ 掲載内容有効期限:2006年10月31日 |