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@IT > Microsoft Impossible 第2話 |
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今度はマイクロソフト調布技術センターに潜入だ。ここは開発や技術サポートなど、日本国内における技術者の拠点となっているようだ。それにしても、駅からけっこう遠いなぁ。 それはともかく、今回の指令はWindows Error Report(WER)のチームを捜査することだ。Windows OSやアプリケーションがエラーを起こすと、突然ポップアップ・ウィンドウが表示されて「エラー情報をマイクロソフトに送りますか?」とか聞いてくるあれだ。 調べたところ、WERでは、エラーが発生した時点のメモリの状態などをダンプしてマイクロソフトに送信する。OSカーネルとアプリケーションの双方のエラーをキャプチャできるらしい。エラー情報を収集して、品質向上につなげようって機能なんだろうが、ダンプされる情報は膨大だろうし、ものすごい数の報告がくるだろうし、どれだけきちんとチェックしているか分かったもんじゃない。単なる「品質向上努力のポーズ」かもしれないしな。 実際、どんな対応をしてるのか、この目で確かめようじゃないか。
ここが調布技術センターか。何とかビルの中に潜入。ん? この香りは…。おお、スターバックスが入ってるじゃないか。さすがはシアトル系企業だ。 ここがWERチームのオフィスか。中で何やら深刻な相談をしているようだ、さっそく立ち聞きしてやろう。 ほうほう。どうやら、マイクロソフト以外のサードパーティが開発したアプリケーションが原因でエラーが多発しているらしい。ちゃんとチェックしてるんだなぁ。
だいぶWERが分かってきたぞ。WERで収集されたレポートは、マイクロソフト米国本社のサーバで収集され、問題の原因別にバケット(bucket:バケツのこと)と呼ばれる発生パターンに自動分類されて集計されるようだ。つまり、同じ原因の障害が複数のコンピュータで発生しても、それらは同一バケットとして計数されるわけだ。 集計された情報は、マイクロソフトの開発部門で活用されることはもちろん、サードパーティ向けにも情報が公開される。WERの情報を使って、他社製アプリケーションの品質向上も可能になるという寸法だ。
分析されたバケット(発生パターン=問題原因)を横軸に、発生頻度を縦軸にプロットすると、通常このグラフは指数関数に近い形状になるという(マンガ参照)。エラーは複数のバケットでまんべんなく起こっているのではなく、特定のバケットに集中して発生している。「8割の障害は2割の原因で生じている」という、いわゆるパレートの法則か。 発生頻度の高いバケットに優先的に対応すれば、効率よくソフトウェアの品質を向上できるわけだ。調査によれば、Windows XPからSP1へのバージョンアップでは、発生頻度の上位30%のバケットに対応したとか。ふーん。
ただのポーズかと思ったけど、WERを使った組織的な品質向上のシステムが構築されていた。世界最大のソフトウェア企業の面目躍如といったところか。高機能もけっこうだが、安心して使える品質が第一だからな。 ところで、バケットの分析では、特定コンピュータから大量に同一バケットの情報が送信されても、それを特別視したりはしないらしい。どうしても修正してほしいエラーがあったら、がんばってWERを送り続ければ、ひょっとしたら対応してもらえるかもしれない。ま、保証はどこにもないけどね。
提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:デジタルアドバンテージ 掲載内容有効期限:2006年10月31日 |