![]() |
|
NECは「IT、で、エコ」のスローガンのもと、ITのグリーン化に積極的に取り組んできた。そのフラッグシップ製品ともいえるのが「Express5800/ECO CENTER」だ。データセンター環境を意識し、データセンターで課題と考えられることの多い電力、スペース、重量の最適化を実現することを目指して開発されている。
ラック単位で最適化 |
||
![]() |
企業や組織でのデータ量は加速度的に増加しており、膨大な情報を管理するためデータセンターには多くのサーバを設置しなければならない。このため、サーバには省電力や省スペースが強く求められるようになっている。サーバの省電力を実現するためには、機器単体よりデータセンター全体で考えた方がより効果的だ。そこで、単体のサーバではなく、データセンターの最小構成単位であるラック単位で最適化することでメリットの最大化を図ったのが「Express5800/ECO CENTER」(以下、ECO CENTER)である。
専用の筐体に、電力効率を最優先したインテル® Xeon® プロセッサL5420(2.50GHz 低電圧版)使用のサーバモジュールを搭載するサーバシステムで、最大プロセッサ数はフル搭載モデルで128(最大コア数512)、ハーフ搭載モデルで68(最大コア数272)となる。2008年5月の発表以来、以下のような各種アワードを受賞するなど、市場の評価も高い。
- グリーンITアワード2008 IT省エネ 経済産業大臣賞 受賞
- 第5回エコプロダクツ大賞 エコプロダクツ部門 環境大臣賞 受賞
- 平成20年度地球温暖化防止活動 環境大臣表彰 受賞
- Interop2008 “BEST OF SHOW AWARD” 2部門でグランプリ獲得
Green IT部門/PC・サーバ・ストレージ・周辺機器 部門 - 日刊工業新聞 第51回 2008年 十大新製品賞 本賞 受賞
また、統合プラットフォーム管理ソフトウェアによりECO CENTERと仮想化技術を連携することで、電力最適化した装置を最大限の電力効率で運用することが可能。仮想サーバを集約することにより適正負荷で運用し、さらなる省電力が実現する。
従来製品比最大55%の省電力化、 |
||
![]() |
ECO CENTERの第一の特長は、もちろん省電力である。地球温暖化が意識されるようになり、二酸化炭素排出量の制限なども現実となりそうな昨今、省電力はITの分野での最重要課題といってもいい。特に古いデータセンターでは供給電源の容量が不足しがちで、高密度サーバの設置はスペースではなく電源不足で断念するというケースも多い。環境問題だけでなく、ビジネス上の制約からも省電力の機器が必要となっているのである。ECO CENTERが省電力を実現するための手法として、主なものは以下の3つだ。
(1)高効率電源の採用
通常、供給される電力がすべて演算処理に使われるわけではなく、熱などになって失われる部分がある。一般的なPC/サーバ向け電源での変換効率は、70〜80%程度だ。しかしECO CENTERでは、損失の少ない部品を採用し出力制御の最適化などを行うことによって、変換効率89%の高効率電源を実現した。
(2)冷却効率の最適化
ECO CENTERは、NECがスーパーコンピュータなどで培った実装技術を駆使し、サーバボード上モジュールの最適配置を実現している。また、熱がこもりにくいようにパネルやバックプレーンなどの遮へい物が少ない構造になっているほか、キャビネット背面のケーブルを整理する配線エリアを確保して冷却風が遮られないようするなど、細かい工夫が施されている。
(3)省電力テクノロジーの採用
ECO CENTERで採用しているCPUやメモリなどをはじめとする各モジュールも、省電力を最重要要件と考え選定されている。
これらの工夫により同程度のクアッドコアCPUを採用した従来機に比べて待機時で55%、高負荷時でも28%の省電力を実現している。
データセンターでは、電源不足とともに問題になるのが省スペースである。これは、単に床面積の問題だけでなく、重量制限があってあまり高密度に設置できないという事情がある。「これ以上積んだら床が抜ける」という状態だ。
![]() |
図1 512コアのサーバを設置するために必要なスペースと耐加重 (クリックで拡大します)
|
そこでECO CENTERでは省スペース・軽量化にも力を入れた。サーバモジュールの外枠部分に従来のスティール材ではなくアルミ材を採用している。また、通常のラックサーバは平たい箱を積み重ねる形態が多いが、ECO CENTERのモジュールは立てて挿すようになっている。平たいものを積み重ねる場合にはたわむのを防ぐための補強剤が必要になるが、縦置きにすればそれが不要となるため、この構造には全体の重量を削減する効果もある。
仮想化基盤製品との連携で電力の最適化を実現 |
||
![]() |
省電力を運用の面で考えると、自動車の燃費との比較が分かりやすいだろう。自動車には経済速度というものがある。極端な低速運転や頻繁に止まったり、急加速したりするのは燃費効率が悪く、ある程度の一定速度で走行するのが最も燃費がいいというのは周知のことだが、サーバの運用においてもこれと同様のことがいえる。CPUにはある程度の負荷が一定してかかっている方が、電力効率がいいのである。
現在、仮想化によって1つのサーバで複数の仮想マシンが稼働しているケースも増えているが、これらはシステムの導入順など何らかの理由で配置されている。そのため、ある筐体内では高負荷なサービスが集中していて熱だまりが発生しているのに、隣の筐体ではCPUの使用率が極端に低いといった事態が起こる。そこで、仮想化技術のうち仮想マシンを別の筐体のリソースに移動させるライブマイグレーションの機能(VMwareのVMotionなど)を利用して、このCPU負荷の平準化を自動的に行うのが、NECの統合プラットフォーム管理ソフトウェア「SigmaSystemCenter」である。
![]() |
図2 熱だまりが発生したラックで稼働する仮想マシンを、稼働したまま別のラックに移動することで負荷の平準化を行う(クリックで拡大します) |
SigmaSystemCenterでは、以下の3つの機能などにより、ITインフラ全体の電力効率を向上させる。
(1)電力使用量制御
総消費電力の天井制御と、特定の業務や物理マシンに必要以上に電力を与えない強制省電力機能により、電力使用を制御する。
(2)余剰サーバの電源オフ自律制御
複数サーバで行っている処理を1つのサーバに片寄せし、余剰サーバの電源をオフにする。
(3)ホットスポット解消
マシンルームのホットスポットを検出して、高温の業務をほかのサーバに配置したり、空調の自動制御を行うことによりファシリティ全体の省電力化を図る。(2009年度実現予定)
ECO CENTERでは、SigmaSystemCenterの管理機能により、各サーバの負荷・稼働状態の監視を行い、最適化エンジンが最適な再配置プランを立案、仮想マシンの移動指示を出す。これにより、必要なときに必要なサービスを最適なサーバ上で起動・提供するのである。また、監視対象の仮想マシンがいずれも低負荷の場合、適正負荷レベルの範囲で仮想マシンを集約し、余剰となったサーバの電源を切るという設定も可能だ。
これは例えば、昼間は社員が働いているので多くの業務サービスが稼働しているが、夜間はいくつかのバッチ処理しか動いていないというような場合、稼働している仮想マシンを1台の物理サーバにまとめて、残りのサーバの電源を落とすという設定ができるということだ。
これらの省電力運用のメリットに注目して、2008年8月に京都大学学術情報メディアセンターがECO CENTERを中核とした汎用コンピュータシステムの導入を決めた。同情報メディアセンターは、情報基盤および情報メディアの高度利用に関する研究開発を行っており、その成果を同大学における教育研究などの高度化や全国の大学・研究機関の研究者の共同利用に活用している。同大学は特に省エネやグリーンということに積極的に取り組んでいることでも有名だが、ECO CENTER自体の省電力設計および、統合プラットフォーム管理ソフトウェア「SigmaSystemCenter」の機能が高く評価されての採用だ。
【参考】 プレスリリース:京都大学学術情報メディアセンターから 省電力サーバ「ECO CENTER」を受注 http://www.nec.co.jp/press/ja/0808/1301.html |
大学では、夜間には稼働するサービスが極端に少なくなるが、まったくなくなるわけではない。そこで、システム管理者が巡回して使っていないサーバの電源を切るといった努力をしていたという。それが、人手のいらない自動運用でできるようになるのである。
また、NECでは2008年11月にECO CENTERをはじめとする省電力プラットフォームやプラットフォーム管理ソフトウェア、ファシリティを一堂に集めた省エネデータセンターのデモ・検証施設「REAL IT COOLプラザ」を開設した。NEC REAL IT COOL推進センターの泓(ふち)センター長のインタビュー「『REAL』に体感!――サーバルームの省エネ化」でもNECのグリーンITに対する“本気”を見ることができる。この施設では各種センサを設置した監視などの状況を見ることができるので、ぜひ足を運んでみてほしい。
【参考】 グリーンITは「絵に描いた餅」ではない: 「REAL」に体感!――サーバルームの省エネ化 http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0902/02/news002.html |
提供:日本電気株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2009年3月31日
関連リンク |
|
![]() |
![]() Express5800/ECO CENTER |
![]() |
![]() REAL IT COOLプラザ |
![]() |
![]() NEC |
関連記事 |
|
![]() |
NECが省電力サーバ「ECO CENTER」発表 (@IT NewsInsight) |
![]() |
NECがサーバ製品ラインを2つに分割 (@IT NewsInsight) |
![]() |
ネット最前線に何が見えるか (@IT Master of IP Network) |