ネット最前線に何が見えるか
三木 泉
@IT編集長
2008/6/2
IT/ネットワーク機器が地球のためにできること
「エコ」は地球全体の問題だが、ITの世界でも、製品の省エネ性を訴求する動きが活発化している。
サーバ機では、省エネにつながる技術として、物理サーバの台数を減らすことのできるサーバ仮想化が注目されている。一方でサーバベンダもそれぞれに、サーバ・ハードウェアの電力消費を効率化する取り組みを進めている。
NECが5月26日に発表したデータセンター用サーバ「ECO CENTER」もその1つ。独自のサーバ実装形態により、1ラックに64台相当のサーバ機を搭載できる。電源変換効率89%の高効率電源や低電圧版CPUの採用、冷却効率の向上などにより、従来機との比較で待機時71%、高負荷時52%の省電力を実現したという。サーバ・キャビネットの素材にアルミを使うとともに構造部材を削減し、軽量化も実現した。
NECのデータセンター用サーバシステムECO CENTERは、独自の実装方式で高密度と省電力を両立する |
ネットワーク機器にも省エネへの取り組みが見られる。
ディーリンクジャパンは家庭向けのスイッチと企業向けのスイッチの双方で、同社が「グリーンイーサネット」と呼ぶ一連の機能を展開している。イーサネットケーブルが接続されていてもリンクが検知されないポートについては電力消費を抑制、さらに接続されているイーサネットケーブルが短い場合は消費電力を減少することができるという。
そのほかのネットワーク機器ベンダでも、利用されていないポートの電力消費を減らすなどの対策が見られる。
セキュリティに仮想化とIPv6対応の流れ
セキュリティ製品における新たな波としては、やはりまず、サーバ仮想化への対応がある。
住商情報システムが展示するVMware環境用セキュリティ製品「BlueLane VirtualShield」は、仮想サーバのセキュリティパッチ当てを不要にしてくれるユニークなツールだ。VMWareハイパーバイザと仮想サーバとの間で動作し、OSやアプリケーションのセキュリティパッチと同様の保護機能を実行する。
ベンダがセキュリティパッチを公開すると、これに対応する独自のパッチをインターネット経由で自動的に配信し、稼働中のVirtualShieldに適用する。OSやアプリケーションに直接セキュリティパッチを適用することは、検証の手間や時間が掛かる。管理者がセキュリティパッチの存在を認識せずに放置している場合もある。こうした問題を回避できる点で非常に便利だ。
また、数年以内にIPv4アドレスが枯渇することに伴い、IPv6の利用が徐々に広がっていくことが予想できる。しかし現在のところ、IPv6ではIPv4で提供されているようなセキュリティ対策製品の選択肢が少ないことが大きな課題となっている。
富士通の「IPCOM EX SCシリーズ」はファイアウォール、ウイルス対策、IPS/IDS、Webフィルタリングなどの機能を持つUTMアプライアンスだ。この製品は最新版で、新たにIPv6 QoS、IPv6ルーティング、そしてアノマリ検知型IPv6 IDS機能を搭載した。こうした形で少しずつではあるが、IPv6利用を阻む壁が崩れつつある。
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