ロボットによる“自動化”で 品質向上とコスト削減を実現する「Robonex」 PC管理は、コスト削減の 最後に残った“宝の山”か!? |
企業におけるIT分野のコスト削減は、新たな技術の登場などにより進んできた。例えば、データセンターでのサーバの統合や集中管理といった取り組みで、コスト削減を実現した企業も多いだろう。しかし、エンドユーザーのデスク上にあるPCの管理については、従来型のやり方を続けている企業が多い。PCはもはや企業活動に不可欠であり、しかも台数が多い。この部分を効率良く管理すれば、大幅なコスト削減が見込めるのは間違いない。 |
従来のPC管理は労働集約型 カスタマー・エンジニアのコストが大きかった |
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ひと口に「PC管理」といっても、その範囲はかなり広い。PCの故障・障害対応、PCの増設・更新・移設・貸出などの対応、何台あってどこで誰が使っているかといった資産管理、PCのインベントリ収集とデータベース化、アプリケーションの配布といった通常の運用のほかに、企業ごとに取り決めたソフトウェア設定のひな型(=マスタ)を設計し作成・検証を行う「マスタ管理」、全PCにマスタを反映させる「キッティング」といった業務が含まれる。これらの業務は各企業で個別の対応が必要であったり人手による作業が必要であるという理由から、労働集約的な方法で対応せざるを得なかった。
例えば、PCにアプリケーションをインストールするには管理者権限が必要な場合が多いが、管理者権限を解放すると、ユーザーが勝手なアプリケーションをインストールするなどしてセキュリティが保てないため、解放しない場合が多い。つまり、インストールは管理者権限のある人、例えばカスタマー・エンジニア(CE)がすべてのPCのところに行ってインストールすることになる。この作業は時間もかかるし、エンジニアの人件費という面でも高コストになっている。
「品質を上げるとコストが下がる」 現地での作業時間は15分程度に短縮 |
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野村総合研究所では、「品質を上げるとコストが下がる」という仮説の下に、「PCLifecycle Suite」というPC管理のサービスを提供してきた。業務の品質を上げるための活動を通じて問題の根本を断ち切ることで、ユーザークレームの減少や業務手順の最適化につながり、運用に対応する人員を減らせるようになる。その結果、コストを下げることができるというわけだ。実現に当たっては、PC管理のインフラを構築し、業務運用のフローを明確化してユーザー企業と共有した。これによって、改善活動を継続的に行うことが可能となり、さまざまなコスト削減や時間短縮が実現できる。
例えば、PCの入れ替えが必要になった場合を考えてみよう。通常、現地の作業を減らすためにキッティングの作業はキッティングセンターで行われるが、ユーザーごとに必要なアプリケーションのインストールなどは、現場でセットアップの際に行われることが多い。これは、CEが現地に出向かなくてはならないうえ、時間のかかる作業だ。このため、台数の多い入れ替え作業は、業務を行っていない休日に実施せざるを得ない。PCLifecycle Suiteのサービス事例の1つでは、SMSを有効活用して、この個別アプリケーションのインストールまでをキッティングセンターで行うようにしたため、現地での作業時間は15分程度に短縮できているという(図1)。
図1 SMSを有効利用して管理インフラを整備することで現地作業時間を短縮(画像をクリックすると拡大します) |
これは、業務中の時間帯でも少し手を休めてもらえる程度の所要時間だろう。また、作業も簡単なので、高度な知識を持ったエンジニアでなくても可能だ。
ASPロボットによる“自動化”で さらなる時間短縮とコスト削減が可能に |
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このようにPCLifecycle Suiteは、大規模ユーザー向けのいわば“オーダーメイド”のサービス提供を行ってきた。野村総合研究所は、このサービスで培ったノウハウを基に標準化と自動化を進め、もっと手軽に導入できるASP型のサービスを10月よりスタートする。それが、「Robonex」である。Robonexは、PCの増設・移設・撤去・障害といった基本サービスが、ASP形式で稼働する以下の4つの機能とともに提供される。
- 運用申請を受け付けるサービス専用Webサイト(インターネットショッピング感覚でできる)
- エンドユーザーデータの保管と復元機能(15Gbytes/1PC)
- 資産管理情報収集エージェントとデータベース
- 障害の自動修復エージェント
Robonexでは、各PCの状態を常時バックアップしている。ここには、OSの設定やユーザーデータのほかに、ネットワークやプリンタの設定、メーラーやWebブラウザの設定といったものも含まれる(図2)。
図2 新サービス「Robonex」の概要(画像をクリックすると拡大します) |
例えば障害が発生した場合、ユーザーがアイコンを1クリックするだけで、自動修復エージェントが障害原因の切り分けを行い、ソフトウェア的な問題ならば自動的に修復する。また、もしハードウェア的な問題でPCを修理しなければならなくなったとしても、交換機を使うことによって、ユーザーは、それまで使っていたアプリケーションだけでなく、デスクトップ環境やデータまで、ほぼ元の状態で業務継続できるという。
このようにRobonexを利用することによって、運用申請の受付や、障害対応、資産管理といった、運用要員やエンジニアの手間が多くかかっていた業務をソフトウェアで自動化することで、一般的には2万数千円かかるPC管理のコストを、約半分程度にまで削減可能になった。さらには、自動切り分けと自動修復により、障害発生後3時間程度で業務を再開できる。
Robonexの秘密とは? | ||
いままで高度な知識を持ったエンジニアが現地に行って対応していたことも、ロボットでやればスピーディだしコストもさらに削減できるというわけだが、このようなサービスが技術的にどのようにして実現できたのだろうか。そんなRobonexの秘密については、2008年10月に開催される野村総合研究所のセミナーで明らかになるようなので、興味を持った読者は足を運んでみてはいかがだろうか。
●セミナー情報 | ||||||||||
ITサービスマネジメントの新しい形
〜コスト削減を生み出す新しいサービスマネジメントとは?〜
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ホワイトペーパー |
サーバやネットワークの運用は、エンドユーザーからはブラックボックスである。そのため、常に稼働し続ける状態をキープすることこそがシステム運用部門のミッションとなり、自ずと全体最適の方向に向かうものだ。 一方でPCは、エンドユーザーの利用によって価値が生まれるものである。それ故に、運用担当者はユーザー1人1人をケアしていくことが大事であると思い込んでしまい、結果的にPCは個別最適のお化けになっている。この状況を観察すると、“PC管理”という領域には改革の余地が大きく残されており、少しの努力で高い効果が見込める「宝の山」であることが分かる。 システム部門に求められるコスト削減や改善はとどまることを知らない。そこでこのホワイトペーパーでは、企業内IT管理におけるPC管理がなぜ「宝の山」なのか、具体的な事例を交えて解説する。 |
提供:株式会社野村総合研究所
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年9月30日
ソリューションFLASH Pick UP!
PC運用サービス Robonex
野村総合研究所
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ID・パスワード管理ソリューション DigitalPersona Pro
ヒューマンテクノロジーズ
ITシステムを情報漏えいから守るためには、パスワードによるセキュリティ保護が欠かせない。だがパスワードの運用方法を間違えると、大きなセキュリティホールになることもある。USBキーやカード認証などと併用する方法もあるが、他人によるなりすましを防ぐことはできない。そこでパスワードの代わりとして利用したいのが、生体認証だ。ここでは生体認証の中でも最も機能性に優れた指紋認証にフォーカスする。
Symantec Endpoint Protection 11.0
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企業内のクライアント管理を考える場合、セキュリティ対策は欠かすことのできない重要な要素だ。大規模感染による業務の停止や、情報漏えいの可能性を考えれば、クライアントPCのセキュリティ・レベルを一定以上に維持する必要があるのは明らかだ。一方、クライアントPCは数が多いため、その管理の手間は無視できない。セキュリティ・レベルの確保と効率的な運用管理体制の確立のためにSymantec Endpoint Protectionを取り上げてみよう。
統合システム運用管理 JP1
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基幹業務システムや情報系システムのIT統制が進む中、多くの企業はクライアントPC管理を次の課題として位置付け、IT 部門の主導によるクライアントPC管理に取り組み始めている。では、一元的なクライアントPC管理を実施するには、どのようなソリューションが必要だろうか。
ホワイトペーパーダウンロード
成功事例に見るPC管理の最適化手法
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ユーザー任せのパスワード管理がセキュリティの落とし穴
ユーザーにパスワードを入力、管理させることがいかに危険をはらんでいるかお気付きだろうか。カード認証を導入しても弱点克服にはならないにしないための施策を紹介する。
今日の手強いセキュリティ脅威への対処
オンライン上の脅威をみると、不正なリモートアクセスや情報の盗み出しなど「目立たない攻撃」が依然として主流となっている。企業の知的財産や個人情報の安全を脅かす不正なアクセスにどのように対処すればよいのか? 主な脅威の分析と対処方法を解説する