高い処理能力とエコの両立 そんな革新的なサーバがあった! グリーンIT時代を支える大本命技術「CMT」 |
サン・マイクロシステムズが2005年末に投入した8コアCPU、「UltraSPARC® T1プロセッサ」。マルチコア化を高度に推し進めることで、電力消費を高めることなく処理能力を向上することに成功した。実はこのCPUは、同じようにマルチコア化を進めている他社には真似のできない重要な技術「CMT」を搭載している。多数のユーザーが同時にアクセスするようなアプリケーションで、大幅な性能向上が可能という。では、CMTとはどのようなものなのか。
電力使用効率と設置効率 サンが持ち込んだ新たな評価軸 |
2005年12月、サン・マイクロシステムズは、業界に先駆け8つのコアから構成されるマルチコアプロセッサUltraSPARC T1を発表した。その後サンは、このマルチコアプロセッサの演算性能を強化しつつ、さらには、10Gbイーサネットのオンチップ化を進めるなど、次世代ネットワーク・コンピューティング環境を支えるさまざまな機能拡張を今日まで図ってきた。ここでは、サンが提供するこのマルチコアプロセッサを搭載したサーバを採用している顧客に共通する声をお伝えしたい。
昨今、連日のようにメディアで取り上げられているキーワードに「エコ」がある。IT業界におけるエコ的な動きとして、まず読者の方々が思い浮かべるのは、廃棄品の回収率向上や、構成部品の再利用率の向上、さらには、省電力製品の提供ではないだろうか。サンは、この中でもとりわけ企業のビジネスに直結するのは、高い処理能力をできるだけ少ない電力で発揮する、つまり、エネルギー効率に優れた製品の提供だと考えているという。
サンが前述のマルチコアプロセッサUltraSPARC T1を発表した2005年には、世界各国のデータセンタで近い将来、ビジネスそのものに深刻な影響を及ぼすであろう問題として、サーバの電力使用量、発熱量、設置効率に注目が集まっていた。
ここで実例を1つ挙げてみたい。内外問わずデータセンタでは、通常、ラック1本当たりの電力供給量が予め決められている。これはデータセンタそのものの配電設備に依存するものであり、比較的最近建設されたデータセンタを除くと、多くの場合、平均してラック1本当たり約2000Wといわれている。
省電力部品の積極採用により、昨今では相対的には減少傾向にあるサーバの消費電力だが、市場で広く一般的に使用されている廉価版のx86サーバの場合、プロセッサを2つ搭載した1ラックユニット(RU)の薄型サーバであっても、その最大消費電力は約300Wになる。各ラックに搭載するサーバの最大搭載数を決める際、通常は、サーバの最大消費電力と、ラック1本当たりの最大供給電力で算出するので、この例でいえば、6台/ラックである。一般的な19インチラックの高さは、42RUであるため、なんと42ある搭載枠(ラックユニット)のうち、わずか6台分のスペースしか使っていないことになる。
もちろん、データセンタの配電設備を強化することによって、この問題は解決できる。しかし、データセンタの配電設備を入れ替えるためには、多大なコストが掛かる。このため、多くのデータセンタには、42ラックユニットのうち6ラックユニットしか機器を搭載していないラックが多数収まっている。しかも、万一の障害発生に備え、データセンタの多くは、地価の高い東京近郊に建設されている。この立地もデータセンタのコストを引き上げている。
業界に先駆けてサンがマルチコアプロセッサUltraSPARC T1を発表した際、ユーザー企業に伝えたメッセージの中核にあったのが、このデータセンタが抱える課題への回答、つまり、電力使用効率と設置効率の高さだった。マルチスレッド・アプリケーションである限り、当時広く使用されていたx86サーバの4倍から5倍といった爆発的なスループット性能を発揮しながらも、その消費電力はわずか200W。「価格対性能比」がサーバ選定時の評価軸であった時代に、サンは新たな評価軸を持ち込んだ。
この電力使用効率と設置効率の問題は、発表直後、一部には実感を持って受け入れられなかったようだ。しかし、経済のグローバル化が進行する昨今では、課題さえも洋の東西に変わりはなく、国内市場においても、今日、多くの企業ユーザーからの支持を得ている。採用に至ったユーザーの声はほぼ共通している。「ビジネスを拡大していく上で、サーバの処理能力をさらに高める必要性は常日頃感じている。しかし、いまのデータセンタを使っている限り、これ以上サーバは導入できない。なぜなら電力が足りないから」。まさにこの好例と呼べる事例が、以下で読める。
いままでのところ、すでに述べたデータセンタが置かれた状況に大きな変化はない。そして、幾多のエンハンスメントを繰り返し、機能はさらに強化されているものの、サンが提供しているサーバ製品の方向性にもブレはないという。
CPUレベルのマルチスレッドで アクセスの集中するアプリの性能を大きく向上 |
ここで少し、UltraSPARC Tシリーズのプロセッサの中心技術であるチップ・マルチ・スレッディング(CMT)に関して説明したい。CMTは、単一のコア内で複数の処理を並列に実行する技術である。コア内の1つのスレッドがメモリ待ちに入るとすぐに他のスレッドが処理を開始する。これにより、プロセッサ全体の処理効率が飛躍的に高まる。2004年に発表したUltraSPARC T1プロセッサでは1プロセッサあたり32のスレッドを並列に処理できる。さらに、2007年に倍の64スレッドを実行可能なT2プロセッサが登場した。2008年4月に発表した最新のT2 Plusプロセッサでは、T2プロセッサを2つ搭載し、128スレッドまで対応している。
シングルスレッドのプロセッサでは、CPU処理後のメモリアクセスが完了してから次のCPU処理が実行される。以下の図が示すように、クロックアップでCPU処理時間を短縮しても全体的な処理時間はそれほど短くならない。一方、マルチスレッドのプロセッサでは、あるスレッドが1つ目のCPU処理を行ってメモリアクセスを待っている間に、別のスレッドが次のCPU処理を開始する。これにより、全体的な処理時間が大幅に短縮される。
あるスレッドが1つ目のCPU処理を行ってメモリアクセスを待っている間に、別のスレッドが次のCPU処理を開始する。これによりCPUパワーを効率的に活用できる |
このように、CMTサーバは他社にはないユニークな製品であるため、サンではまずその効果を実感してもらい、納得の上で本格的な検討に入ってもらうことを考えているという。このためサンでは、各種の無償評価サービスを提供している。例えば、60日間、ご検討対象の機器を無償で貸し出しするサービス「トライ&バイ」がある。これはユーザー企業の実アプリケーション環境で試験的に運用し、納得できた場合にのみ購入すればいいというもの。60日以内であればいつでも返却可能だ。さらには、サーバを入れ替えた場合の電気代、保守料など、ビフォー&アフターで費用対効果を定量的に、視覚的に提供する無償評価サービス「システム・アセスメント」を用意しているという。
コストを下げながら、処理性能を高める、そんなテクノロジーをサンは提供している。次回は具体的な事例とエコ効果を測れる無償アセスメントの詳細などを紹介する。
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提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年11月5日
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サーバには高スループット性能が求められる一方で、低消費電力であることも欠かせない。双方を解決するサン・マイクロシステムズの技術とは? |
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