サポート期間の終了が迫る旧バージョンの Java SEの延命とバージョンアップを支援 〜 最長15年のサポート期間延長で安心して 現行システムを継続しつつ新バージョンへのスムーズな移行を 支援するJava SE for Businessとは? 〜 |
企業内の基幹システムやWebアプリケーションをはじめ、数多くのシステムでJavaが利用されている。その利用範囲の幅広さや、ミッションクリティカルなシステムで使われているなどの理由で、バージョンアップを簡単に行えないユーザーもいるが、実は旧バージョンのサポート終了が目前に迫っているという事実をご存じだろうか。そのようなユーザーに向けてサン・マイクロシステムズが提供するサポート延長と移行支援サービス「Java SE for Business」を紹介しよう。
サポート期間の終了が迫る Java SE 1.4と5 |
読者の皆さんはご存じだろうか? 実は2年ほど前にアナウンスされているのだが、2008年10月末にWindows版のみならず、Linux上のJava SE 1.4のサポートも終了する。同じくJava SE 5も2009年10月30日でのサポート終了が決まっている。サポート終了によってメンテナンスが停止し、セキュリティなどの不具合も修正されなくなるのだ。
もちろん、Javaの実行環境(JRE)や開発キット(JDK)は今後も無償で手に入れることはできるし、JREやJDKを常に最新版(現在は、SE 6)にアップデートしていけば問題ない。しかし、運用中のシステムでは簡単にバージョンアップできない場合もある。通常は、Java環境のバージョンが異なっても同じアプリケーションが動くはずだ。とはいえ、Java環境の上で動作させるアプリケーションのサポート環境や、Java環境のバージョンアップに伴うAPIの改変などの理由により、テストや検証が必要だったり、移行自体が行えない場合がある。特に、1.4から、5あるいは6へのバージョンアップでは、新しいバージョンでの検証や開発にも手間が掛かってしまう。
このような状況に対してサン・マイクロシステムズが提供するのが、「Java SE for Business」というサービスだ。このサービスをひと言で説明すると、「Java SEのサポート延長と特別バイナリの提供」で、各バージョンのリリース日から最長15年のサポートを提供するというもの。無償版と比較して、サポート期間が10年近く延長される計算になる(図)。また、このサービスとともに、「Java Migration Support Service」と呼ばれるJava環境のバージョンアップを支援するための有償のプロフェッショナル・サービスも用意される。
図 無償版とJava SE for Businessのサポート期間の比較(リリースからのサポート期間がStandard、Premiumでは10年、Premium Plusでは15年となり、無償版よりも10年ほど延びることになる) |
同社ソフトウェア・ビジネス統括本部 の田中克哉氏によると、Java SE for Businessの目的はバージョンアップの支援であり、それをスムーズかつ安全に行うためのサポート期間延長であるという。
サン・マイクロシステムズ ソフトウェア・ビジネス統括本部 ジェネラルテリトリー開発本部 本部長 田中克哉氏 |
「まず、サポートの延長によって既存システムを継続して利用していただくことが可能です。もちろん、すぐに既存システムをバージョンアップできれば理想的ですが、事情によってそれができないお客さまもいます。また、仮に新しくシステムを開発するとしても移行には時間を必要とします。既存システムをもう少し使い続けたいというお客さまは、Java SE for Businessによってサポート期間を安全に延ばすことができます。その間に新しいバージョンでシステムを開発していただければ、余裕をもって移行準備ができます。さらに、Java SE for Businessを利用する際には、『Java Migration Support Service』というサービスも用意しています」(田中氏)
Java SE for Businessは、その名称にあるとおりStandard Edition(Java SE)が対象となるが、この理由について、田中氏は「実はJava EE の代わりにJava SEを使っているユーザー数が非常に多く、サポート終了の影響も大きいから」と説明する。サーバ側で使うJavaといえばJava EE(Enterprise Edition)があるが、クライアント/サーバ形式で開発している場合や、RDBMSを利用した大規模なトランザクションシステムではない場合、SEのライブラリだけで構築できるため、サーバ側もJava SEで構築しているケースが多いのだという。
提供されるのは 専用バイナリと個別サポート |
Java SE for Businessでは、無償版では四半期ごとに提供されていた修正バイナリが、より早くかつ頻繁に提供される。さらに、無償版のサポート終了後もサポートを受けられるため、継続して修正バイナリ(JDKおよびJRE)と各種の個別サポートが提供される。また、内容の違いによって「Standard」「Premium」「Premium Plus」という3つのサポートレベルが用意されている(表1)。
表1 Java SE for Businessのサポート内容 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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それぞれ、サポート期間や窓口の対応時間帯、修正バイナリの提供頻度、カスタムリビジョン(契約企業に個別に提供されるパッチ)の有無、料金に違いがある。いずれもライセンス形式は1年ごとのサブスクリプション契約だ。
また、サポート対象となるプラットフォームは以下のようになっている。
- サポート対象の主なプラットフォーム
- Solaris SPARC(32bit、64bit)
- Solaris on x86/x64
- Windows on x86/x64
- Linux on x86/x64
- サポート対象の主なOS
- Solaris 8、9、10
- Windows XP、2000、2003、Vista(Windows Server 2008も対象となる予定)
- Red Hat Linux 2.1、3.0、4.0、5.0
- SUSE Enterprise Linux Server 8、9、10
バージョンアップを支援する コンサルティングサービスも開始 |
Java SE for Businessでサポート延長の対象となるのは、現行バージョン(リリースファミリ)である1.4.2、5、6(とそれ以降)だ。従って、すでにサポートが終了しているバージョン1.3以前のシステムの場合、まず1.4〜6にバージョンアップする必要がある。また、Java SEからJava SE for Businessへ移行する際も、マイナーバージョンアップやメジャーバージョンアップが発生する。無償版のJava SEとJava SE for Businessでは、同じバージョンでの動作互換性は保証されているが、バージョンアップとなると検証が必要になる。
このように、Java SE for Businessへの移行にかかる工数や時間を最小限に抑えるための支援サービスが「Java Migration Support Service」である。あくまでもオプションという形での提供だが、Java SE for Businessの利用者はバージョンアップに関する課題を抱えているケースが多いはずなので、需要の高いサービスといえる。特に、スケジュール優先での移行が求められる場合は、利用を検討してみるとよいだろう。
具体的なサービスの中身は、メジャーバージョンアップとマイナーバージョンアップを前提とした各種テストや分析、プランニング、支援サービスなどである(表2)。
- メジャーバージョンアップサポートの例
- Java SE 1.4.2_18 → Java SE for Business 1.5.0_17
- Java SE 1.5.0_16 → Java SE for Business 1.6 Update 10
- マイナーバージョンアップサポートの例
- Java SE 1.4.2_18 → Java SE for Business 1.4.2_19
- Java SE 1.5.0_16 → Java SE for Business 1.5.0_17
表2 Java Migration Support Serviceのサービス内容(メジャーバージョンアップ、マイナーバージョンアップそれぞれに対して提供される) | ||||||||
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サン・マイクロシステムズ サービスビジネス統括本部 プロフェッショナル・サービス技術本部 ソフトウェア・ソリューション第1部 シニア・テクニカル・スペシャリスト 輪島裕之氏 |
Java Migration Support Serviceを担当する同社サービスビジネス統括本部 プロフェッショナル・サービス技術本部の輪島裕之氏によると、ミッションクリティカルなシステムほど大きなメリットがあるという。
「『なかなかバージョンアップできないのは、簡単にシステムをいじることができないから』というお客さまは多いです。そういったお客さまは、サポートの延長だけで問題が解決するわけではなく、その次に確実なバージョンアップの支援を必要とされます。また、金融系のお客さまだと、システムが銀行のデータセンター内にあるためオンサイトでの対応が求められます。そういった幅広いサポートを提供できるので、Java SE for Businessを利用する際はJava Migration Support Serviceも視野に入れていただきたいですね」(輪島氏)
ユーザーの利用環境に合わせて 最も安いと考えられる課金方法を選択 |
ここで、気になるJava SE for Businessの価格表を、表3に示しておこう。
表3 企業内利用時の1ライセンスあたりの年間料金(サン・マイクロシステムズの標準価格) | ||||||||||||||||||||
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課金方法には「従業員当たり」「デスクトップ当たり」「サーバソケット当たり」がある。1人で複数台のマシンを利用している場合は「従業員当たり」が安上がりだし、逆にシフト制などで従業員数よりもマシンの台数が少ない場合は「デスクトップ当たり」の方が安くなるかもしれない。「サーバソケット当たり」(=CPU数)も同様で、自社環境でコスト的に最も有利な課金方法を選択できる。
また提供形態には、企業内で利用する通常のモデルのほかに、Solution Providerモデル(再配布ライセンス)がある。社外へ向けたサービスなど、ユーザー数や利用形態が事前に決めにくいケースを想定したものだ。サービスのレベルはStandard、Premium、Premium Plusと同じだが、課金方法は別途相談となる。
サポートなしで利用しているユーザーにこそ 使ってほしい |
このように、さまざまなオプションやサポートを用意しているJava SE for Businessだが、サポート終了が近づいていることで、実際にユーザーからの問い合わせも増えているという。
しかし、その多くはWindowsやLinuxの環境でユーザーが自分でダウンロードして使っているのが現状で、サン・マイクロシステムズとしてはサポートができない。最新のJava SEをダウンロードして試してもらうしかないわけだが、このようなケースでサポートを受けるためにJava SE for Businessを利用するのも1つの選択肢である。以下のページで90日間限定試用版のダウンロードができる。サービスの利用を検討するために、実際に自社システムでテストを行ってみてはいかがだろうか。
ちなみに、現在SolarisやJava Enterprise System Suitesなどほかのソフトウェア製品を利用していてサポート契約を結んでいれば、Java SE for Businessを追加料金なしで利用することも可能(詳しくは代理店にお問い合わせください)。
例えば、Red Hat Enterprise Linux上でJavaアプリケーションを動かすユーザーは多いが、Java SE for Businessの利用が前提なら、Red Hat Enterprise Linuxと組み合わせるよりもSolarisを導入する方がコスト的に有利になるケースもある。「Javaを動かせればサーバOSの種類は問わない」なら、プラットフォームごと乗り換えてしまう選択肢もあるということだ。
ホワイトペーパー |
『Java SEをベースにした「Java SE for Business」、 従来製品との違いは?』 サン・マイクロシステムズが提供する「Java SE for Business」は、Java プラットフォーム「Java Platform, Standard Edition(Java SE)」をベースとした新しい製品である。ユーザーに対する重大なバグフィックスの迅速な提供や、より長期のサポート(最長15年間)、ロードマップの提供などを実現し、展開に必要なコストを削減するようにデザインされたエンタープライズ機能を備えている。 このホワイトペーパーでは、Java SE for Businessの特徴および機能について紹介する。Java SEとの違いは何か? 従来のサポートと比較して優れている点はどこか? 1ライセンス当たりの年間料金やFAQを含め、同製品の概要をまとめた。 |
提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年11月20日
ホワイトペーパー |
『Java SEをベースにした「Java SE for Business」、 従来製品との違いは?』 |
関連リンク |
・Java SE for Business - サポート |
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