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Ajaxを使わなくてもここまでデキる!
StraForm-Xが実現する「リッチWebフォーム」

ウイングアークテクノロジーズが打ち出した「リッチWebフォーム」。標準技術だけで、リッチクライアントに勝るとも劣らない快適なWebフォーム入力を実現する。同社のStraForm-Xには、Webフォームの使い勝手を変える可能性がある。

 「Google Maps」などが採用するAjaxによって、「Webブラウザだけでもここまでリッチな環境を作り出せる」という認識が急激に広まっている。FlashのようにプラグインをWebブラウザに組み込む必要もない。JREやJava Web Startのように特別なソフトウェアをクライアントPCにインストールしなくてもよい。Webブラウザだけで高い表現力と操作性を実現する。

 ここでもう1つ、Webフォームの可能性を高める興味深い技術が国内ベンダから登場してきた。帳票ツールベンダ最大手のウイングアークテクノロジーズ(以下、ウイングアーク)が打ち出す「リッチWebフォーム」だ。正真正銘、標準技術のHTMLとJavaScriptだけで、WebブラウザによるWebフォーム入力の操作性を大幅に向上させる技術である。しかも、同社が製品開発の基本理念とする「ノンプログラミング」でWebシステムに組み込めるのである。

 リッチWebフォームは、ウイングアークが2005年6月に発売を開始したフォームアプリケーションサーバ「StraForm-X」によって実現される。2005年11月には「Ver1.1」へバージョンアップし、いっそうリッチWebフォームとしての機能性が進化する。

 では、リッチクライアントとリッチWebフォームは、何がどう違うのか。

   リッチクライアントでは機能過剰

 「リッチクライアント」は、クライアント/サーバシステムのファットクライアントとHTMLによるWebフォームの中間を狙うものだ。Web環境でも、基幹(定型)業務の数値データ入力がサクサクと行える高い操作性、そしてFlash、Ajaxに見られるようなBtoCアプリケーションにも使える表現力の高さが求められている。前者でいえば、ファンクション/テンキー操作は必須だろう。後者では、リッチコンテンツの快適な表示が不可欠である。どちらも確実にニーズがある世界である。

 だが、企業システムのすべてがリッチクライアント環境を必要とするわけではない。企業が抱える膨大な共有情報のうち、一般に基幹システムに取り込まれるのは全体の30%しかなく、残り70%はExcel、WordなどのOffice文書だったり、紙文書として取り扱われているといわれる。これら70%の情報は、連絡書類、申請書類、あるいは記録書類のたぐいである。「非定型」「テキスト中心」「運用は部門単位」「特例業務向け」などの理由から基幹システムになじまなかったり、データ連携させるのが難しいものだ。

 この70%の情報をWeb環境に移し替えて運用しようと思ったとき(企業の情報流通を考えたとき、この70%の情報をシステムに取り込んでおくことは意義があるし、潜在的ニーズも高い)、ファンクション/テンキーが使えたり、リッチコンテンツが快適に表示できる必要があるだろうか? もちろん使ってもよいが機能過剰となり、コストも割に合わないことは目に見えている。とはいえ、Webフォームだけでは情報のハンドリングが不便であるため、いつまでもWeb化されず放置されてしまう。

 StraForm-Xが実現するリッチWebフォームは、こうしたジレンマを解消するものだ。リッチクライアントとWebフォームの中間的な存在ながら、Ajaxと同様に「標準ブラウザだけでここまでできるのか」という驚きをもたらす。

   データとフォームを完全分離

 「入れる・ためる・引き出す」という情報流通の中で、StraForm-Xは「入れる・ためる」の部分を担い、いかようにも「引き出せる」環境を提供する。製品は「StraFormデザイナ」と「StraFormサーバ基本モジュール」で構成され、Webブラウザに特別なプラグインやActiveXなどを組み込む必要は一切ない。

 StraFormデザイナにより、ExcelやWord、HTML、ウイングアークの帳票開発支援ツール「SVF(Super Visual Formade)」で作成した帳票データ、あるいは紙帳票を読み込んで、オリジナルイメージどおりのWebフォーム(HTML)を生成する。

画面1 紙の帳票のイメージをほぼ再現した年末調整フォーム(画像をクリックすると拡大します)

 詳細は後述するが、そのWebフォームをリッチたらしめるさまざまな入力支援機能をフォームに埋め込むことができる。StraFormサーバ基本モジュールはJ2EEアプリケーションサーバ上で動作する。作成されたWebフォームを保存し、ユーザーからの参照要求に従ってWebブラウザに表示する。ローカルにデータを残さない安全な仕組みである。

 StraForm-Xがユニークなのは、フォームとデータを完全分離している点と、データベースとの間に“ワンクッション”を置いて直接連携を行っていないところである。入力・参照フォームはHTMLファイル、入力されたデータはフラットなXMLファイルとして分離保存する。参照要求のたびにStraFormサーバ基本モジュールがフォームと該当するXMLデータを格納先から引き出してフォームと合成し、Webブラウザに表示する。フォームとデータが常に一体化している帳票は人間にとって見やすいが、柔軟な情報流通にとっては障壁となる点を解消している。XMLデータなので、検索性が高いことはいうまでもない。データベースと直接連携していないので、フォーム仕様の変更も自由である。

StraForm-Xのシステム全体像
※は対応予定

 入力データがXML形式で保存されることは、柔軟性というメリットをも生み出す。開発次第でいかようにも活用できる。EAIツールによってERPやCRM/SFAなどの業務アプリケーションで再利用したり、RDBと連携させることも可能だ(そのための専用オプション「データトランジット」も用意されている)。データを分析するなら集計レポーティングツール「Dr.Sum」、大量出力するならSVFなどほかのウイングアーク製品と連携すればよい。XMLデータにはタイムスタンプをはり付けられるので、e文書法に対応したソリューションも作り出せるだろう。また、フィールドごとのデータ暗号化(DES3方式)、複数ドキュメントの統合なども可能だ。

   情報収集の手戻り減らす支援機能

 StraForm-Xが標準技術を使いながら、あらゆる帳票をWeb化して情報をスムーズに流通させる基盤となることは理解してもらえたと思う。だがそれだけではなく、リッチWebフォームとして、Officeソフトや紙と同等の入力しやすさを“Webブラウザだけで”実現できる点が、一般のWeb帳票システムにはない特徴である。StraFormデザイナでWebフォームを設計する際、データ入力時のミスや工数を減らす支援機能をノンプログラミングで簡単に盛り込めるのだ(編注)。

編注:StraFormデザイナによるノンプログラミング開発の様子は、同社サイトに用意されている
製品デモンストレーション(要Flash Player)
が分かりやすい。

 StraFormデザイナでは、マウス操作だけで帳票イメージ(HTML)上に入力フィールドやラジオボタン、ドロップダウンリストを配置できる。その際、フィールドごとに入力制御や入力チェックなどのアクションを指定可能だ。

画面2 ノンプログラミングで開発できるStraFormデザイナ(画像をクリックすると拡大します)

 アクションには、以下のようなものがある。

  • 数字の左右寄せ/カンマ区切り
  • IMEの自動起動
  • 文字サイズ/フォント設定
  • カレンダーからの日付選択入力
  • マイナス数字の赤字表示
  • 四則演算
  • 注意メッセージ表示
  • 最大/最小文字数制御
  • 入力項目の動的な追加
  • [Enter]キーでのフォーカス移動(
  • 値によるフィールド表示/非表示(
    Ver1.1から追加されたもの
画面3 アクション設定ウィザードで選択できるイベント(画面をクリックすると拡大します)

 例えば、事業所コードを入力するフィールドであれば、「マウスをクリックしたら注意メッセージをポップアップ表示」というアクションを選択することで、入力フィールドをクリックした際に「半角で入力してください」など任意の注意メッセージをポップアップ表示させることができる。間違った文字種が入力された際にミスを指摘するメッセージをポップアップ表示させることも可能だ。これらの機能により、エンドユーザーもWebフォームに抵抗なくなじめるとともに、データ表記の不統一を防止して効率を高められる。これらのリッチクライアント的でリアルタイムな入力制御・チェックを、ノンプログラミングで実装できる点は評価できる。

 さらに、サーバ側と連動したリッチなコントロールも実現可能だ。例えば、テキスト型の議事録フォームにフィールド追加のボタンを配置しておけば、エンドユーザーが自由にフィールドを追加して記入できる(サーバ側でフォームを再生成)。また、StraForm-Xの添付ファイル貼付機能には画像のサムネイル表示機能がある。画像ファイルを選択すると、参照要求に応じてサーバ側で画像サムネイルを動的に生成し、Webブラウザに表示する。

 前述したようにStraForm-Xはデータベースとの直接連携は行わない仕組みだが、「マスター参照」機能を使ってクエリーを詳細設定し、データベースから特定のデータを引き出してフィールドに自動的にはめ込むことができる。これらの仕組みにより、入力工数の削減し、入力ミスを防げるのである。

画面4 マスター参照機能用のクエリー設定画面(画像をクリックすると拡大します)

   よりリッチな制御機能を実装

 StraForm-Xは新バージョン「Ver1.1」になり、さらにリッチな環境を実現する。1つは[Enter]キーによるフォーカス移動だ。昇降順も任意に選べる。バックエンド系の業務ならリッチクライアント的なファンクション/テンキー操作も必要だろうが、StraForm-Xが目指すフロントオフィス系のWebフォームなら、[Enter]キーによるフォーカス移動だけでも操作性は十分だろう。

 入力ミスを減らすナビゲーション機能も充実し、「値によるフィールド表示/非表示の切り替え」が可能となった。ラジオボタンのチェックに合わせて、必要フィールドだけを表示(不要フィールドを非表示)するといった使い方ができる。例えば、アンケートの回答項目を「男・女」に分けて動的に変更したり、チェック項目が多い品質管理表でチェック済み項目だけを表示など――工夫次第でさまざまな応用が考えられる。

チェック項目の動的な表示/非表示動作デモンストレーションへ。
なお、デモを動作させるには、Internet Explorer 5.01以上で、JavaScriptを有効に設定しておく必要がある。

 また、マウスのフォーカスを受け、指定した入力ヒントを表示することも可能だ。これらの機能により、さらにリッチなWebフォームを作成できる。

画面5 入力エリアへのマウスクリックに表示/非表示のアクションを割り当てることで、ツールチップを実現することもできる(画像をクリックすると拡大します)

   企業内アプリケーションの開発に大きな効果を発揮

 リッチWebフォームという新しい概念を打ち出したStraForm-Xは、Webフォームの運用範囲を広げる可能性を秘めていることは間違いないだろう。LDAPやActive Directoryによるユーザー認証に対応。簡易的なチーム(ワーク)フロー機能も持っているので(Webフォーム上でユーザーリストから送信先を選択、逐次的にフローを設定する)、社内で回覧するりん議書や交通費精算書のWeb化などにも使えるだろう。標準技術なのでイントラネットとの連携や既存のアプリケーションへの組み込みも容易なはずだ。

 ビジネス・アプリケーションの開発では、データ入力する画面を作成すると同時に、その画面を表示するためのブラウズ専用画面を別個に作成するのが一般的である。しかし、StraForm-Xでは、データ入力用の画面と同時にデータを表示する画面を作成することができる。これにより、アプリケーションの開発工数は大幅に削減される。しかも、その際には、チェックしたデータ行のみを表示するなど、表示画面作成に特化した機能まで指定できるのだ。

 ある大手建設会社は、ISO関連のシステムの画面フォームにStraForm-Xを使おうと導入を進めている。大幅に開発工数が削減されるうえに、既存のHTML帳票を流用しながら現場がそれぞれのニーズに合わせて自由にフォームを変更できる点を評価しているという。大量の文書を必要とする業務のシステム化は、それだけ多くの画面フォームが必要になる。しかも、それらの文書は制度や環境の変化によって変更が生じることが予想される。保存データがXMLで統一されるため将来のデータ・スキーマの変更にも柔軟に対応できるし、後々の再利用もやりやすくなる。エンドユーザーコンピューティングの自由度と最低限のガバナビリティが両立できるわけだ。

 ウイングアークとしては今後、StraForm-XにAjaxなどの機能を盛り込むことも計画している。リッチWebフォームとして、さらに進化しそうな気配である。バックオフィス系やBtoC系のリッチクライアントとすみ分けながら、新しいクライアント環境を打ち立てるだろう。


提供:ウイングアーク テクノロジーズ 株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2005年12月14日
 
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ウイングアークテクノロジーズ

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