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@IT > 日本独特の“帳票”文化をコンピュータ上で妥協なく実現する帳票設計ツール |
意外と認識されていないことだが、システム開発工程のうち2/5を占めているのは、帳票開発だといわれていて、そのニーズは実は大きい。しかも、日本での帳票に関する要求は独自性が強く、品質に関してもユーザーは非常に厳しい目を持っている。ウイングアーク テクノロジーズのSVFは、そういった要求に応えるために生まれてきた製品だ。本稿では、SVFの最新帳票設計ツールである、SVFX-Designerの“すごい”機能について、その歴史を踏まえながら全3回のシリーズで見ていきたい。
世の中の仕組みとして、いわゆる“仕事”と呼ばれるものの周辺に書類はつきものである。モノを買ったら領収書がついてくる。それを送ってもらったら、配送伝票や納品書がついてくる。対面で買うのでなければ、注文書が必要だろう。発注が掛かれば、製造や資材への指図書や出庫依頼書を流す。経理は月次で請求書と明細を相手先に発送する。 それはつまり、人間の取り引きの証拠であり、行動の証拠なのだ。日本では、そうした書類は総称して“帳票”と呼ばれている。仕事は世界中普遍的に存在するから、帳票そのものも世界中どこにでも存在する。しかし、日本の帳票は世界のそれと比較して“独特”だという。 例えば、罫線が必須であること。そして、その種類や太さにもうるさいこと。枠の角を丸めること。紙のサイズも異なることなどだ。日本に来た欧米人は、なぜにそのような細かいことにいちいちこだわるのかと思い、海外へ行った日本人は、罫線のない彼の地の帳票を見て、なぜこのように雑ぱくなのかと思う。
両者の間に横たわる大きな帳票の差異について、ウイングアーク テクノロジーズ株式会社 営業部 部長 清水俊之氏は次のように語る。 「手書き文化とタイプライター文化の違いです。欧米では、アルファベットと数字のように、少ない文字で表現ができ、早くからタイプライターなどでの印字を行えましたが、日本では、ひらがな・カタカナ・漢字・数字と多くの文字を表現するには手書きで行う方法しかなかったのです。手書きを行う際に、間違いなく記入ができて相手へ正確に情報を伝えるために、罫線や矩形を使って表現する方法が定着していったと考えます。」 そのままの状態が続いていれば何も問題はなかったのだが、そこへコンピュータというまったく新しい文明が登場してしまった。そして、手書き文化もタイプライター文化も、コンピュータ文明に吸収されてしまうことになるのだが、どちらの文化においても、帳票の仕様そのものが解体されることはなかった。 大変なのは、日本の方である。手書き文化の所産であった帳票を、コンピュータ上でも扱えるようにしなければいけないからだ。しかも、コンピュータに接続されて印刷出力を担当する、“プリンタ”というシロモノは、通常は左から右への一方向しか動いてくれず、行間隔の設定にも制限がある。 そして困ったのは、プログラマーだ。ユーザーからは「これまで通りの手書き帳票を、コンピュータを使って出力できるようにしてほしい」と要求される。代表的なものは、「罫線の枠は丸くしてほしい」という要求だ。だが、プリンタのできることには限りがあり、ふつうのプログラミングをしていたのでは、罫線の角丸めなど実現できない。両者の板挟みになって苦しいが、プロフェッショナルであるが故に、「できない」とはいえなかった。
何とか解決策はないものかと考えていたところへ現れたのが、ウイングアーク テクノロジーズのSVF(Super Visual Formade)だったのである。これは、高いレベルの帳票出力を求めているプロフェッショナルの頭脳となり手足となるべく生まれてきた帳票設計ツールだったといえよう。長く帳票設計に悩んできたプログラマーは皆、SVFを見て「これはすごい!」と感嘆した。
何がそんなにすごかったのか。SVFの基本的な設計思想が、「プリンタ単体やOSのプリンタ制御ソフトウェアであるプリンタドライバが高い設計要求をかなえられないなら、完全にプリンタを制御できるものを自分たちで作ってしまおう。その仕様がベンダによって違うなら、その数だけ作ればいい」というところにあったからだ。 プリンタには、ベンダごと、または種類ごとに、それを動かしているそれぞれのプリンタ制御コマンド/言語がある(表1、2参照)。
その差異を埋め高い制御を実現するウイングアーク独自のプリンタドライバを使って命令すれば、印字を行うプリンタヘッドを自由自在に操作できる。左端から右端に一方向しか動かないものを、途中で止めてまた左端に戻したり、1インチ単位でしか調整できなかった行間隔や桁数の制約を、1mm単位で自由に調整できるようになる。そして、SVFはユーザーがどんなオープン系プリンタを使っているかどうかにかかわらず、それらの機能を実現したのだ。
特に、ドットプリンタで連続帳票を出力する場合には、数十段にわたって継続して印字を行う。そのため、印字位置の正確さは生命線で、SVFのこの機能はプログラマーにとって大きな福音となった。しかも、角丸めだってできる。複雑なプログラミングをしなくても、マウスをクリックするだけで、罫線の枠に好みのカーブを付けることができるのだ。
すごいところはまだある。例えば、“複写帳票”というものは日本において標準的な帳票の一種だ。カーボン付きの複数つづりになっていて、ドットプリンタであれば、「納品書」「受領書」「請求書」「お客さま控え」といった帳票を一回の印字で作成できてしまう。ところが、これと同様のものをレーザープリンタで出力するとなると話が違ってくる。構造上、複写帳票そのものを扱えず、5枚なら5枚の帳票をそれぞれ別に設計して出力することになるのだ。一般的な帳票設計ツールなら、1つひな型を作ってそれをコピーしては差異部分をデザインし直す、という作業を繰り返すことになるだろう。 しかし、SVFの帳票設計部の“綴り機能”を選択すれば、Excelのシート機能のように、1つのSVFフォームファイル(帳票設計部のデータ)の中で、最初に設計した帳票のレイアウト画面がシート別にいくつも展開される。後は、シートを選択して1枚目の帳票との差異部分を調整するのみである(図1)。
例えば、「納品書に製品名と数量だけ記述して価格は入れない」という仕様があったとしよう。もちろん、ドットプリンタとカーボン付き複数帳票であれば、カーボンのない部分を作って印字しないことも可能だ。しかし、SVFであればレーザープリンタでも同じことができる。“マスク機能”というものがあって、設計時に印字させたくない部分を網掛けしておけばいい。そうすれば、プリンタは網掛けした部分の印字をスキップする。
オフィス環境にパソコンが普及した現在では、ExcelやWordを使って帳票を作成、運用している企業も多くなってきた。手軽に扱えるという点ではよいのだが、どうしても入力が手作業になってしまう。システム化、自動化を考えるとなると、この帳票資産を移行させなければならない。では、すべて一から設計し直すのか? その必要はない。SVFの帳票設計部には、ExcelやWordのデータをSVFフォームファイルに自動的に変換できる機能がある。このときに活躍するのが、“SVF Image Printer”という、これまたオリジナル開発のドライバだ。仕組みを簡単に説明しよう。 まず、印刷実行の機能によりExcelやWordのファイルをイメージデータ化する。次に、それを“SVF Image Printer”で取り込んで、データ変換する。そして、アプリケーションからの印刷データをマッピングできるフォームを仕上げていく。さすがに、特殊文字などは欠けてしまうが、文字の大きさや装飾など、元の帳票資産をそっくりそのまま移行できる(図2)。
同様に、従来紙ベースで使っていた帳票のフォーマットをそのままコンピュータ上で継承したいというニーズもあるだろう。スキャナで読み込んでみたものの、解像度が低いと帳票として使える品質に至らず、解像度が高いイメージデータをそのまま使おうとすると、恐ろしく大容量になってしまい、これまたコンピュータ上で扱えるものでなくなってしまった、という経験をお持ちの方もいるのではないだろうか。 その場合もSVFなら問題ない。解像度が高いビットマップ画像データを利用して、SVFフォームファイルに取り込む“スキャニング機能”がある。さらにそこから、罫線だけを抜き出す“罫線抽出機能”も、文字要素を取り込む“OCR機能”もある。これらの機能を駆使することで、帳票設計の工程を半減することができ、紙の帳票資産も効率よく再利用できるのだ(図3)。
これらの“すごい”機能について、清水俊之氏は次のように語った。 「SVFの帳票設計部が“SVFX-Designer”となった現在でも、昔からの機能はそのまま踏襲され続けています。なぜなら、業務を根底で支える帳票のニーズを真正面から受け止め、それをコンピュータ上で扱う際に、仕様の点でも品質の点でも決して妥協しないことが、ウイングアーク テクノロジーズの考える帳票設計だからです」 ◇ 今回は、すでにある帳票をどうコンピュータ上に持ってくるかということを中心に見てきたが、まったく新しい帳票を白紙ベースから開発する際にも、この帳票基盤は“すごい”威力を発揮する。次回はそうした機能の数々を紹介する予定だ。
提供:ウイングアーク テクノロジーズ 株式会社 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2007年9月30日 |
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