ウオーターフォールとアジャイルを融合した“超高速開発”手法が日本の古いSIビジネスモデルを変える顧客のビジネス価値創造を支援することで“代わり”が利かないSIへ

急激に変化するビジネス環境の中では、必要なタイミングで迅速にシステムを立ち上げ、市場ニーズに柔軟に対応していくことが顧客から求められる。業務システムにおける“超高速開発”実現に向けた有力な方法の一つとしてオープンストリームが提案するのが業務システム専用ブラウザー「Biz/Browser」によるUIプロトタイピング開発だ。

» 2015年02月25日 10時00分 公開
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業務システム開発におけるウオーターフォールとアジャイルの課題

 今、SIerの業務システム開発ビジネスは大きな曲がり角を迎えつつある。本格的なクラウド時代に突入し、急激に変化するビジネス環境の中で、顧客からは必要なタイミングで迅速にシステムを立ち上げ、市場ニーズに柔軟に対応していくことが求められてきているからだ。

 開発のスピードアップというと、開発プロジェクトの工程でもプログラミングの期間を短縮化するという発想を持つ人が多いが、残念ながらそのアプローチはあまり効果を産まない。なぜなら、依然としてシステム開発は人手による労働集約的な色合いが強く、同じ開発環境や言語を前提として見た場合、個人差はあるが平均的なプログラミングのスピードに何倍も差がつくような方法は残念ながら存在しないためだ。

 ではいったい、どうすれば開発プロジェクト全体の期間を短縮できるのであろうか?

オープンストリーム プロダクト事業部 製品開発部 部長 大矢義憲氏

 「例えばウオーターフォール型の開発手法では、システムの要求定義から始まり、設計、プログラム開発、テストといった各工程を経て、最終的に完成品が顧客に納品され、カットオーバーとなる。この開発手法の課題は、各工程を段階的に進めていく必要があるため、開発に時間がかかることが挙げられるが、何より問題なのが、納品後にトラブルになるケースが多いことである」と指摘するのは、SIビジネスを行うオープンストリームのプロダクト事業部 製品開発部 部長、大矢義憲氏だ。

 「ウオーターフォール型開発が失敗する要因としては、要求定義と基本設計のフェーズで顧客のニーズを吸い上げきれていないことが大きい。SIerが、顧客が本当に求めている要件を把握できていないと、納品後に顧客が期待しているシステムとズレが生じてしまい、手戻りになるケースも少なくない。また、設計・開発に時間がかかることで、顧客側に新たな要求が発生し、それが反映されずに最終的に満足度の低いシステムとなってしまうケースもある」(大矢氏)

 このようなウオーターフォール型開発の課題を解決する手法として、最近導入が進んでいるのがアジャイル型開発だ。この手法の特徴の一つは、開発対象を小さな機能単位に分割し、「イテレーション」(反復)と呼ばれる短い期間で開発を行うことにある。通常、1回のイテレーションは週単位で行われ、その中で設計、開発、テスト、リリースまでが実施される。そしてイテレーションを繰り返すことで、手戻りを最小限に抑えながら顧客満足度の高いシステムを開発できるのである。

 「こうして見ると、ウオーターフォール型開発に比べて、アジャイル型開発は“超高速開発”の手法として非常に適していると思われるが、業務システムの開発現場においては、アジャイル型開発にもさまざまな課題が浮かび上がってくる」と大矢氏。

 いくつかの課題を挙げると、まず、従来のウオーターフォール型開発のプロセスとは管理方法が全く異なるため、実践できる開発者が少ないという点。また、各担当者が一人で何役もこなさなければならないため、高い開発スキルが必要になってくる。さらにアジャイル型開発では、開発チームがチーム内で密にコミュニケーションを取って、迅速にイテレーションを行う必要があるが、業務システムの開発は大規模プロジェクトになることが多く、コミュニケーションを取るのが難しい。そして、イテレーションの回数が顧客の要求によって変化するため、工数見積もりが出しにくいなどだ。固定スコープ・固定費用での一括契約を好む日本企業では、初期に工数を確定できないやり方は契約形態としてもなじみにくい。

 つまり、アジャイル型開発は、手法としては“超高速開発”に適していても、これを業務システム開発の現場に適用するにはハードルが高いというのが現実。そのため、SIerのほとんどはアジャイル型開発に踏み切れないのである。

UIプロトタイピング開発で大規模システム開発の要求定義と設計に掛かる工数を約半分に

 そこで、ウオーターフォール型開発とアジャイル型開発、双方の長所を生かし業務システムにおける“超高速開発”を実現する手法として注目を集めているのが、「UIプロトタイピング開発」だ。

「UIプロトタイピング開発」の流れ

 「UIプロトタイピング開発は、ウオーターフォール型開発の工程を維持しながら、設計フェーズで集中的にアジャイル型開発を進めるという、フロントローディング(設計重視)の手法。具体的には、設計フェーズにおいて、要求定義に応じたプロトタイプ画面を作り、アジャイル型開発のイテレーションのようにレビューを繰り返す。そして、設計が完全に固まってから、開発に移行する。その後の工程は、基本的にウオーターフォール型開発を踏襲して、カットオーバーまで進めていく」と、大矢氏は説明する。

 UIプロトタイピング開発のメリットは、設計段階で本番同様に動作するプロトタイプ画面に触れられるため、完成したシステムのイメージがつかみやすいことが挙げられる。これにより、ウオーターフォール型では稼働テスト時まで分からなかった隠れた要件を早期に掘り起こすことが可能だ。

 また、プロトタイプ画面のレビュー時には、SIerと顧客の担当スタッフが顔を突き合わせて議論することで、顧客の要求をより多くあぶり出すことができ、手戻りを防ぐことにもつながる。さらに、開発全体の工程管理はウオーターフォール型の管理方法をそのまま用いることができるため、従来の開発スタイルを大きく変えずに移行しやすいというメリットもある。

 このUIプロトタイピング開発を強力に支援するツールとして、オープンストリームが提供しているのが、業務システム専用ブラウザー「Biz/Browser」である。「UIプロトタイピング開発では、本番同様に動作するプロトタイプ画面を、いかに迅速に開発できるかが重要になる。これに対して『Biz/Browser』では、専用の開発環境『Biz/Designer』を用意し、Visual Basicのような感覚で部品を配置していくだけで、簡単にプロトタイプ画面を設計できるようになっている」(大矢氏)という。

 また、「Biz/Browser」の大きな特徴として見逃せないのが、設計したプロトタイプ画面を、そのまま本番システムの開発に適用できるという点だ。通常、プロトタイプ画面は、レビューのためだけに設計され、本番開発で使われることはない。一方、「Biz/Browser」で作ったプロトタイプ画面は、データベースからデータを取得する項目については、CSVやXMLのダミーデータをローカルに用意して読み込ませる設計としている。これにより、本番開発の際にはダミーデータを読み込む部分を、実データのあるサーバーとの通信に置き換えるだけで、プロトタイプ画面をそのまま活用できるのである。

 さらに同社では、「Biz/Browser」でUIプロトタイピング開発をすぐに始められるスタートアップパッケージとして「Biz/Block」も用意している。「Biz/Block」には、業務システムに必要な代表的な画面機能を搭載した画面テンプレートと、簡単な設定ですぐに動作するUI部品、そしてサーバー通信やデータ操作などの内部処理を効率化する機能が集約されている。このテンプレートを活用することで、設計/開発工程における作業負荷や非効率な作業を軽減し、設計/開発効率・生産性・品質が向上するとともに開発コストも大幅に削減できるという。

Biz/Blockで用意しているUI部品の例

 「実際に、医療系メーカーの基幹システムのリプレースを、『Biz/Browser』によって短納期で実現させた事例がある。このケースでは、1年後にリプレースを完了するという納期が決まっており、納期から逆算すると要求定義から設計までを1カ月程度で行わなければ間に合わないスケジュールだった。しかも、システム規模は100人〜200人月という大規模なもので、従来のウオーターフォール型開発では、短期間でのリプレースはまず無理な状況であった。そこで、『Biz/Browser』によるUIプロトタイピング開発を実施。要求定義と設計に掛かる工数を約半分に圧縮し、納期に間に合わせることに成功した」(大矢氏)。

バージョンアップやシステム改修に頼らないSIビジネスモデルへ

 このように、「Biz/Browser」によるUIプロトタイピング開発は、業務システムにおける“超高速開発”実現に向けた有力な方法の一つといえそうだ。しかし、そうと分かっていても、「Biz/Browser」のようなシステムのライフサイクルを大幅に延長するプラットフォームへのシフトに腰が重いSIerも少なくない。これには、システム保守や改修での収益をベースにした従来型のSIビジネスモデルが、日本のSIerに深く根付いていることが背景にある。

 「Biz/Browser」で開発した業務システムは、「Biz/Browser」が動作しさえすればOSやブラウザーの環境変化に影響されることなく動作し続ける。このため、バージョンアップやシステム改修の費用が見込めなくなり、SIerにとっては従来型のSIビジネスモデルを継続できなくなるというわけだ。

 この点について大矢氏は、「ITによる企業イノベーションが求められる時代に向けて、これからのSIerは従来型のビジネスモデルを見直していく必要があるだろう。システム開発を行い納品し、そのお守りをしているだけのビジネスモデルでは、付加価値要素がほとんどなく、いずれは顧客側からリプレース対象にされてしまう」と、従来型のSIビジネスモデルを続けていくことの危うさを訴える。

 最後に大矢氏は、「Biz/Browser」によって顧客のニーズにはUIプロトタイピング開発で迅速に応え、その上で付加価値要素を提案する新たなSIビジネスモデルを切り拓いていくことに意欲を見せた。

 「これからのSIerに求められる役割は、顧客にとってのビジネス価値を最大化するシステムを提案することだと考えている。その意味で、顧客のニーズに即した業務システムを迅速かつ低コストで開発できる『Biz/Browser』は、顧客に大きなビジネス価値をもたらすことができると確信している。そして、バージョンアップ費用や改修費用に依存したSIビジネスモデルではなく、顧客のビジネス価値創造を支援することから利益を生み出していくSIビジネスモデルへと、SIerの意識を変革させていきたい」(大矢氏)

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提供:株式会社オープンストリーム
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月24日

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