2016年12月、x86サーバー HPE ProLiant Gen9全40モデルの「Windows Server 2016」対応が発表された。Windows Server 2016は、ハイパーコンバージド環境をオプションなしで実現し、不揮発性メモリNVDIMM-Nをサポートするなど注目すべき進化を遂げている。「ハイブリッドIT」「メモリドリブンコンピューティング」が現実的な選択肢となってきたいま、日本マイクロソフトと日本ヒューレット・パッカード(HPE)のキーパーソンの発言に注目したい。
――いよいよWindows Server 2016が登場しました。進化のポイントをお聞かせください。
岡本剛和氏(以下、岡本氏) Windows Server 2016の進化については、3つのポイントがあります。第1が「OSレベルでのセキュリティ強化」です。第2は「Software Defined Datacenter」と呼ぶ高度なハードウェア制御やシステム化の実現。そして第3が、アプリケーション実行基盤としての「クラウドとの連携・親和性の強化」です。マイクロソフトでは、日本ヒューレット・パッカード(HPE)をはじめとするハードウェアベンダーと企画・開発・テスト段階から協力しながら、これらの機能を実現しました。
凌宇氏(以下、凌氏) HPEとしては「Storage Spaces Direct(S2D)」と呼ばれるテクノロジーに注目しています。Windows Server 2016の機能だけで、サーバー内蔵ディスクを使ったスケールアウトストレージやハイパーコンバージド環境を実現できますので、お客さまの期待も大きいと思います。また、SSDよりもはるかに高速な不揮発性メモリ「NVDIMM-N」がネイティブサポートになったことで、さらなるアプリケーション高速化への道がひらかれました。
岡本氏 「ハイパーコンバージド」と「ストレージクラスメモリ」には、マイクロソフトとしても大いに期待しています。HPE ProLiant Gen9サーバーは、これらの先進機能のメリットを今すぐ享受できるという意味で、数あるサーバー製品の中でも一歩リードしている印象です。
凌氏 ありがとうございます。HPE ProLiant Gen9サーバーは、2016年12月時点で全40モデルがWindows Server 2016をサポートしています。より快適なハイパーコンバージド環境を実現するには、SSDやRDMA(Remote Direct Memory Access)のような高速化テクノロジーがキーになりますが、HPE ProLiant Gen9サーバーならこうしたオプションも手軽にご導入いただけます。また、NVDIMM-Nをストレージデバイスとして利用できるのはHPE ProLiant Gen9サーバーだけです。
――Storage Spaces Directが実現するハイパーコンバージド環境について詳しくお聞かせください。
岡本氏 Hyper-Vによる仮想化基盤やプライベートクラウド環境では共有ストレージを導入するのが一般的ですが、Storage Spaces Direct(S2D)の登場で、ホストとスケールアウトストレージを同じサーバー内に組み込む「ハイパーコンバージド構成」が可能になりました。サーバーを追加するだけでストレージ容量とパフォーマンスを拡張できる、シンプルかつ柔軟なオンプレミス環境を実現します。
凌氏 HPEでは、Windows Server 2016の発表に先駆けてSSDの価格を大幅に見直しました。HPE ProLiant Gen9サーバーなら、S2Dによるハイパーコンバージド環境を優れたコストパフォーマンスで実現できます。また、より高性能なオールフラッシュ構成や、SATA SSDとHDDを組み合わせたハイブリッド構成、これにNVMe SSDを加えた3層構成など、お客さまの目的や用途に合わせて最適なサーバー内蔵ストレージをお選びいただけます。
岡本氏 S2Dによるハイパーコンバージド環境では、高速な内蔵ストレージとともに高速ネットワークも必須になります。HPE ProLiant Gen9サーバーはネットワークオプションも充実していますね。
凌氏 はい。10ギガビットイーサネットに加え、より高速なノード間通信が可能なRDMA(Remote Direct Memory Access)もご用意しています。HPEが長年にわたり培ってきたHPC(High Performance Computing)クラスタのテクノロジーとノウハウを、ハイパーコンバージド環境に生かしました。また、HPE ProLiant Gen9サーバーは、ディスクエンクロージャーの増設でストレージ容量を拡張できます。シンプルな機器構成でファイルサーバーを構築したり、中小規模の仮想化基盤を2サーバーノードから始めてビジネスの成長に応じて拡張するような用途にピッタリです。
岡本氏 HPEとマイクロソフトは企画・開発段階から緊密に連携してきました。HPE ProLiant Gen9サーバーは、その成果として「S2Dインテグレーテッドシステム」として提供されます。事前検証済みの環境を短期間で安心して導入いただけることは、お客さまにとって大きなメリットとなるでしょう。
――Windows Server 2016では、不揮発性メモリNVDIMM-Nが正式にサポートされました。
岡本氏 IoTやビッグデータに象徴されるように、データベース/アプリケーション高速化の要求はさらに高まっていくでしょう。Windows Server 2016は、「ストレージクラスメモリ」としてNVDIMM-Nをネイティブサポートすることで高速化のステージを飛躍的に高めました。
凌氏 メモリバスに直結するNVDIMM-Nは、ストレージデバイスとしてSATA SSDやNVMe SSDの10〜100倍というI/O性能を発揮します。さらに、「ダイレクトアクセス(DAX)モード」に対応したMicrosoft SQL Server 2016なら、異次元とも言えるトランザクション処理性能が手に入ります。データベースサイズが大きな場合でも、トランザクションログをNVDIMM-N上に保存する「Tail of Log」の機能を利用すればアクセラレーション効果は絶大です。
岡本氏 サーバー/OS/アプリケーションの全てがストレージクラスメモリをサポートし、いよいよNVDIMM-Nの性能をフルに発揮できる条件が整いました。わずかな投資でMicrosoft SQL Server 2016を数倍高速化できるNVDIMM-Nには、私たちも大きく期待しています。
凌氏 HPEは「メモリドリブンコンピューティング」を提唱し、メモリとストレージを一体化したユニバーサルメモリを採用する「The Machine」の開発を進めています。NVDIMM-NをネイティブサポートするWindows Server 2016とHPE ProLiant Gen9サーバーは、「今すぐ手に入るメモリ主導型システム」と言えるでしょう。
――今後の両社の取り組みについてお聞かせください。
岡本氏 先に開催された「HPE Discover London 2016」では、「ハイブリッドIT」と「Right Mix(オンプレミスとクラウドの最適な組み合わせ)」をキーワードに幅広く意見が交わされました。両社の強固な協力関係を世界中にアピールできたと考えています。
凌氏 マイクロソフトとHPEは「ハイブリッドIT」という共通のビジョンを持っています。私たちはクラウドとオンプレミスの連携において協力し、「HPE HC250 for Microsoft CPS Standard」の提供に際してMicrosoft Azureと連携するバックアップ/リカバリーモデルを共同開発しました。さらに2017年夏には、Azure環境をプライベートクラウドとして利用するための「Azure Stack対応製品」も投入します。
岡本氏 クラウドサービスとオンプレミスのサービスを「統一性を持ったプラッフォーム」として提供することが、Windows Server 2016開発における大きなテーマでした。Windowsアプリケーションをネイティブで稼働させるコンテナーや、軽量なカーネル上にアプリケーションを構築できるNano Serverの提供は、「ハイブリッドIT」の構築・運用をより効果的にするためのものです。私たちの最新のテクノロジーをお客さま価値としてお届けしていくために、HPEとの協力を発展させていきたいと考えています。
凌氏 Windows ServerからSQL Server、Azureまで、マイクロソフトとHPEの戦略的アライアンスはすでに20年以上に及びます。今後はいっそう協力を進め、より深く統合されたハイパーコンバージド製品、ハイブリッドITソリューション、メモリ主導型システムに取り組んでいきたいと思います。
「Windows Server 2016」の登場で、ハイパーコンバージドインフラによる分散ストレージ構成の構築はさらに容易になった。同OSに最適な製品が、そのパフォーマンスをどれだけ向上させるのか、従来型の仮想化基盤との違いを見てみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年2月22日
「Windows Server 2016」の登場で、ハイパーコンバージドインフラによる分散ストレージ構成の構築はさらに容易になった。同OSに最適な製品が、そのパフォーマンスをどれだけ向上させるのか、従来型の仮想化基盤との違いを見てみよう。