Azure Stackとクラウドネイティブ、「儲けるためのIT」を冷静に考える人の選択肢とは開発サイクルを高速化するために

「攻めのIT」あるいは「儲けるためのIT」では、パブリッククラウドを使いさえすればいい――。そうしたイメージを抱きがちだが、本当のところはどうなのか。Azure Stackやクラウドネイティブアプリケーションを冷静に考えると、自社のビジネスに貢献するハイブリッドクラウドが見えてくる。

» 2017年10月23日 10時00分 公開
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 Dell EMCは、包括的なハイブリッドクラウドソリューションを展開している。それは、単一の技術やソリューションを押し付けることが、ユーザー企業の課題を解決することにはならないということを、よく知っているからだ。

 言い換えれば、Dell EMCは、企業がクラウド戦略を立案する際、それぞれの目的や用途に応じて、最適解を追求するだろうと考えている。その最適解は、固定的なものではない。

EMCジャパンのコンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部クラウドプラットフォームスペシャリスト、吉田尚壮氏

 「ハイブリッドクラウドに、固定的な解はありません。用途ごとに、オフプレミスあるいはパブリッククラウドとオンプレミスを、動的に使い分け、あるいは融合して利用していくでしょう。そして、オンプレミスとオフプレミスの利用を常時モニターし、自社にとっての最適解を見直し続けていくと考えられます」と、EMCジャパンのコンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部クラウドプラットフォームスペシャリスト、吉田尚壮氏は言う。

 Dell EMCが提供するハイブリッドクラウドソリューションは、下の図の下半分に示されている。具体的には、企業における一般的アプリケーションをカバーするソリューションとして、別記事でも紹介した「Enterprise Hybrid Cloud」がある。一般アプリケーションをカバーするソリューションは、2017年11月にもう1つ増える。Dell EMCがいち早くMicrosoftと共同開発を進めてきたAzure Stackだ。

 また、「第3のプラットフォーム」あるいは「モード2」ともいわれるクラウドネイティブアプリケーションに向けて期待されるソリューションは「Native Hybrid Cloud」と名付けられている。

 さらにミッションクリティカルな基幹アプリケーションについては、Virtustreamと連携するオンプレミスソリューションの製品投入が予定されている。

 下の図で、オンプレミスのソリューションが、オフプレミスのソリューションと必ず関連付けられていることをご確認いただきたい。これは、他社の一般的な企業向けITインフラソリューション、あるいはハイパーコンバージドインフラ製品との、決定的な違いといえる。

Dell EMCのハイブリッドクラウドソリューションでは、必ずオンプレミスのソリューションとパブリッククラウドが対になっている。そして両方を、その時々のバランスで、併用することができる

 例えば別記事で紹介した「Enterprise Hybrid Cloud(以下、EHC)」は、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、SOFT LAYERや、Dell EMCが連携する他のクラウド事業者と連携した、パブリッククラウドのオーケストレーション機能を提供する。言い換えれば、EHCは「パブリッククラウドとオンプレミスのどちらを選択するか」といった議論のための選択肢ではない。パブリッククラウド、オンプレミスの双方を、社内ユーザーにとって使いやすいマネージドクラウドとして提供できるようにする役割を果たす。

 本記事では、Azure Stackおよび「Native Hybrid Cloud(以下、NHC)」を紹介する。

Dell EMCのAzure Stackは他社と設計が異なる

 Dell EMCのAzure Stackが、とうとう2017年11月に日本国内で提供開始される。Dell EMCは、サーバベンダーとして最も早くからMicrosoftと連携、Azure Stackを共同開発してきた。Microsoftとの緊密なコミュニケーションに基づき、ハードウェアの進化を率先して取り込み、広範な検証およびチューニングを進め、満を持しての登場となる。

 Dell EMCのAzure Stack製品には、大きな特徴がある。「止まらない」ということを突き詰めたハードウェア設計になっている点だ。

 Azure Stackについては、その概略をご存じの読者が多いかもしれない。Microsoftのハイブリッドソリューションであり、パブリッククラウドであるAzureと同一の使い勝手を、オンプレミスに持ち込んだような感覚で利用できるITインフラだ。

 多数の企業がAzure Stackに関心を寄せている。こうした企業のほとんどは、Azureをメインのパブリッククラウドとして使おうとしている。だが、既存の業務アプリケーションに関しては、十分検証したうえでAzureに移行したい、あるいはAzureと連携できるような形で、オンプレミスで動かしたいといったニーズがある。Azure Stackは、こうした用途にぴったりだ。

 こうしたAzure Stackの考え方は、Dell EMCのハイブリッドクラウドソリューションのコンセプトと完全に一致する。ただし、既存アプリケーションをオンプレミスで稼働するユーザー企業の最大のニーズは、「止まらない」「安定して動く」という点。

 Dell EMCはハイパーコンバージドインフラで、豊富な実績とノウハウを蓄積している。これを生かしてAzure Stackソフトウェアを最も安定的に稼働できる構成を検討した結論は、「拡張におけるきめ細かさを犠牲にして、ある程度大きな構成単位で提供すべき」というものだった。Dell EMCのAzure Stackでは、ノードの構成が4、8、12ノードとなっている。他社の製品では、1ノード刻みで構成できるものがあるが、Dell EMCでは安定稼働を目的とし、あえてこうした制限を加えている。

Native Hybrid Cloudは、デジタル変革を推進するためのITインフラ

 「『クラウドネイティブアプリケーション』を、パブリッククラウドで動かすべきであるのは当然ではないか」という人がいる。ちょっと待ってほしい。クラウドを使いさえすれば、クラウドネイティブアプリケーションが実現できるわけではない。

 まず、「クラウドネイティブアプリケーション」の本質とは何か。何よりも、企業の顧客のニーズが変わりつつあることが出発点となる。さまざまな業界で、「すぐに使える」「すぐにアップデートされる」「あらゆるサービスとつながる」サービスが求められるようになってきている。

 ここで最も重要な点は、「顧客が十分に満足することはない」ということだ。顧客は、豊富な機能を備えるものの、一度リリースされると、その後例えば10年間は機能強化がないサービスよりも、当初はある程度限定的な機能でスタートするものの、頻繁なアップデートにより、顧客ニーズを取り込んで進化していく製品を求めるようになってきている。

 継続的にアップデートされるサービスを開発するために必須といえるのが、クラウドネイティブアプリケーションの「マイクロサービスアーキテクチャ」だ。このアーキテクチャではソフトウェアが小規模な機能コンポーネントに分かれ、これらが相互通信に基づいて一体としてサービスを実行する。そのため、機能の改善や追加は、該当するコンポーネントだけを改修すればよく、少ない工数で迅速なサービスの進化が実現できる。

 「どんどん進化していくサービス」を現実のものとするには、当然ながら、こうしたアプリケーションアーキテクチャを活用して、機動的かつ継続的に、機能改善活動を進めていく開発チーム、そしてその活動を支えるスキル、ノウハウ、マインドが必要だ。これはパブリッククラウドを使いさえすれば手に入るようなものではない。

 クラウドネイティブアプリケーションは、もともとインフラの問題というよりも、開発を促進する環境をどこまで整備できるかという問題だ。

 そこでDell EMCがNHCで提供するのは、「Pivotal Cloud Foundry」だ。Pivotal Cloud Foundryは非常にユニークなPaaS(Platform as a Service)製品だ。下で稼働しているサーバ仮想化基盤を抽象化し、サーバ構築、ミドルウェア導入、ファイアウォール/負荷分散/可用性向上技術の設定など、アプリケーション構築・運用のためのインフラ構築および運用作業を、ほぼ全て自動化する。開発者は、コーディングの仕事に専念することができる。

Pivotal Cloud Foundryは、インフラ関連の運用作業を、ほぼ全面的に自動化できる

 Pivotal Cloud Foundryを開発・販売しているPivotalは、Dell EMCグループの一員で、世界中の名だたる大企業を顧客に持ち、これら企業のデジタル変革を助けている。General Electricをはじめ、多数の既存企業がPivotalを頼る理由にはもう1つある。「Pivotal Labs」の存在だ。Pivotal Labsはデジタル変革に向けた開発リーダーを養成するプログラムだ。マイクロサービスアーキテクチャやクラウドネイティブアプリケーションの開発経験がない人々が、デジタル変革の時代に向けた開発スキルとマインドを得られるよう、実際のプロジェクトを一緒に進めることで支援する。

 一般企業にとって、「デジタル変革」「クラウドネイティブアプリケーション」とは、意識変革および人材開発、そして高速な開発サイクルを回せるようにしてくれる、高度に自動化された環境を意味する。クラウドを使えば済む話では全くないのだ。

 Pivotal Cloud Foundryは、主要パブリッククラウド上でも、オンプレミスでも動かせる。オンプレミスとパブリッククラウドの環境を連動することもできる。「場所」にこだわらずに、「環境」を手に入れられる。

 このように、Pivotal Cloud Foundryという環境に着目するのであれば、あとは自社の都合に応じて、これをパブリッククラウドで動かすか、オンプレミスで動かすか、それとも双方を使い、役割分担させるのかを考えればよい。パブリッククラウドにおけるデータのバックアップとオンプレミスにおける保管はコストが高いことなどもあり、Pivotal Cloud Foundryをオンプレミスで動かすケースは、実は多い。

 Dell EMCのハイブリッドクラウドソリューションであるNHCは、Pivotal Cloud Foundryをはじめとする、オンプレミス用の環境一式を、ハイパーコンバージドインフラにインストールし、設定を済ませた形で提供される。

 NHCでは、クラウドネイティブアプリケーションの構築・運用環境を、「構築から利用」に変えることができる。事前検証済みの構成を、Dell EMCが顧客に合わせて導入。NHCは最短3カ月で納品される。到着したら、開発者は即座に、Pivotal Cloud Foundryを利用し始めることができる。運用開始後も、企業のIT運用担当者の仕事は、ほとんど増えない。監視以外にやらなくてはならない作業はない。

 監視ツールは充実している。また、Pivotal Cloud FoundryのコンポーネントやBlobstore、監視データなどを自動的にバックアップする機能を備えている。さらにDell EMCでは、各種の運用支援サービスを提供している。

 既に紹介したように、「クラウドネイティブアプリケーションだからパブリッククラウドが唯一の選択肢」という理由はない。デジタル変革に適した環境をパブリッククラウドでもオンプレミスでも同じように使えるのなら、後は冷静に考えて、どこで動かすかを考えればいい。

 オンプレミスで動かすと、IT運用担当者が負荷に悲鳴を上げるようなものなら本末転倒だ。よほどの理由がない限り、パブリッククラウドで動かすべきだろう。だが、NHCを導入すれば、自社に合った構成の環境を短期間で手に入れられ、運用負荷もほとんどゼロだ。こうした製品を使えるからこそ、企業は自社のITの選択肢を狭めない形で、「事業を駆動するためのIT」を安心して活用していくことができる。

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提供:EMCジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年11月23日

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